| ホッピー・モツ焼・闇市の世界 第1回 横須賀ホッピー編（その1） | |
| [ホッピー・モツ焼・闇市の世界] | |
| 2008年12月12日 10時41分の記事 | |
またしても強力連載の登場です。  「ホッピー・モツ焼・闇市の世界」 by ライター桶谷 筆者：ライター桶谷 プロフィール。 当方のボスと中学校の同級生。経済、企業、経営、高度医療のライター＆エディターで、財界、経済界に顔が広い。しかし、本人のライフワークは「ホッピー・モツ焼・闇市」。離婚歴2回（たぶん）、3人の子持ち（たぶん）。ボスとはいわゆる腐れ縁。今回、当サイトでは、ライター桶谷として登場。エントリーは、ひたすら「ホッピー・モツ焼・闇市」。本稿連載後、単行本になる予定なので無断転載禁止。 聞き書き 大衆酒場 ホッピー・モツ焼・闇市の世界 第1回 横須賀ホッピー編（その1） 一回目につき、無料公開！
************************************************************ 当サイトからの引用、転載の考え方 ・有料情報サイトですが、引用は可能です。 ・ただし、全体の文章の３分の１内程度を目安として、引用先として「ニュースソース・NewsSource（有料版）」と必ず明記してください。 ・ダウンロードしたＰＤＦファイル、写真等は、透かしが入っている場合があります。これは情報管理上のことです。現物ママの転載を不可とします。ただし、そこから情報を引用しての表記は可とします。その場合も、全体の３分の１内程度を目安として、「ニュースソース・NewsSource（有料版）」と引用先を必ず明記してください。 ・商業利用の場合は必ず、連絡下さい。 メールは、info＊officematsunaga.com （*を@にかえてください） ************************************************************ 聞き書き 大衆酒場 ホッピー・モツ焼・闇市の世界 第1回 横須賀ホッピー編（その1） 初めてホッピーを飲んだのは19歳の頃だから、いまから30数年も前になる。当サイトを主宰するボス松永の音頭で、山谷の労働者を支援する映画を撮ろうという企画が持ち上がり、そのロケハンのために千住に行った時のことだった。確かマンモス交番にもほど近い、路地裏の居酒屋だったと思う。そこで初めて、ホッピーなるものに遭遇したのである。 いわく「ビールのように美味く、焼酎のように酔える。しかも安い！」。 ビール好きの私は、喜んで、焼酎と氷の入ったジョッキに、ホッピーをドボドボと一気に注ぎ入れた。と、横から、宍戸錠のようなダメ出しがきたのだ。 「チッチッチ。お前は、なんてもったいないことするんだよ！」。 その道のベテランの親父さんだった。 彼によると、ホッピーはたいへん美味しく、焼酎よりずっと高価だから、一杯で使い切るべきではない。最低でも3回に分割して、焼酎を3杯は飲むべきだ。親父さんのようなベテランになると、ホッピー1本で5〜6杯の焼酎を飲むことも可能だという。 そのために、ホッピーを出す店にはナカという変則的なメニューがある。飲み終わったジョッキに、焼酎だけを1杯、足してくれるのだ。また、不幸にして、ホッピーが足りないと感じた時には、ソトを頼めば良い。ソトとはつまり焼酎抜きのホッピーだけのことである。 なるほど、素晴らしいシステムだ！ 以来、この親父さんの教えを守り、ホッピーを頼んだ時は、男らしく、焼酎はできるだけ3杯飲むように、心がけてきた私だった。もっとも、つい最近まで、ホッピーはごく限られたお店でしか飲めなかったので、そう頻繁には飲んでなかったけどね。 正当派ホッピーの飲み方 で先頃、ホッピー醸造元のホッピービバレッジで、この飲み方は邪道だと教わった。氷は厳禁。ホッピーが薄まる。摂氏3度くらいにキンキンに冷やした焼酎、ホッピーを、500mlのジョッキに焼酎100ml、ホッピー360ml（1本分）の割合で入れ、40ml分の泡を出すのが、一番美味しくホッピーを飲むためのセオリーだという。なるほどと納得したが、実はホッピービバレッジでも、始めからこんなセオリーを考えていたわけではない。 それどころか、当初のホッピーは品質の良いノンアルコールビールとして発売されたのだ。戦後すぐ、昭和23年のことである。ところが、意に反して、ホッピーは焼酎の割り材として使われた。割り材としてのホッピー人気に火がついたのは闇市の酒場で、下町の深川あたりが最初だったという。そこから新橋などの闇市伝いに広がり、ホッピーは第一のブームを迎えたのだった。 ホッピーとモツ焼きの出会い この話を聞いた時、反射的に連想したのは、モツ焼だった。 関東で、いまのように一般的にブタのモツが食べられるようになったのは、戦後だという。進駐軍の兵士たちはポークをよく食べたが、モツは苦手で食べなかった。おかげで、豚のモツが大量に、安い値段で出回り、それを闇市の業者たちが串に刺し、焼いて「やきとり」として売り出したのだという。浅草や新橋あたりの闇市界隈の酒場では「やきとり」の粒の大きさを競ったものだそうだ。 ホッピーと闇市、そしてモツ焼はたいへん相性が良いのである。 いま老舗の大衆酒場に行って、カウンターに坐り、モツ焼を肴にホッピーを飲んでいると、私の胸中には戦後の青空が広がってくる。 裸一貫の日本人が前のめりに生きていた、組織とシステムにがんじがらめになっていない時代の青空である。 原点 戦後の青空がひろがる 酒場の仕事一筋の親父が、昔話をしてくれると、青空の下の情景がトポス（場）として甦ってきて、それもまた心地良い。 この連載は、そんな心地良さを読者と共有するための試みだ。まあ趣味の飲み歩きの記録なのだが、取り上げるお店は、その店の社長（親父さん）が、インタビューに応じてくれた店に限ることにする。 親父さんに、ホッピー・闇市・モツ焼について聞くことで、戦後の青空の一端が描き出せるかも知れない。 そんなふうに夢想している。 以上 | |
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