EU金融危機対策の偽り | |
2011年12月11日 16時11分の記事 | |
米国株(9日):反発、米消費者指数上昇と欧州の財政協定を好感(1) ブリュッセルで開催されたEU首脳会議は、財政規律の厳格化のほか、国際通貨基金(IMF)を通して最大2000億ユーロを救済基金に上乗せすることで合意。将来の債務急増を阻止するための新たな「財政協定」を打ち出した。また、5000億ユーロ規模の恒久的救済枠組みである欧州安定化メカニズム(ESM)の開始時期を来年に前倒する一方、債券保有者に損失負担を迫る要求は緩和した。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LVYGII1A1I4G01.html
今日のブルームバーグニュースでこのように報じられています。 昨日までの危機感はどこに飛んでいったのでしょうか。 将来の債務急増を阻止するための新たな「財政協定」は当然のことであり、本来、ユーロ発足時に厳正に決めて置くべきことを危機が起きた今になって後追いで決めただけのことです。 そして、今回イギリスを除くEU26ケ国で合意されたとの事ですが、以下のニュースも同時に報じられています。 ドイツは欧州安定化メカニズムの拡充に反対−メルケル首相 12月9日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相は、欧州の恒久的な救済プログラムである欧州安定化メカニズム(ESM)を拡充することに同国は反対だと述べた。 メルケル首相は9日の欧州連合(EU)首脳会議閉幕後にブリュッセルで記者団に対し、ESMが「拡充されることはないとの自身の立場をかなり明確にした」と発言。交渉することは常に正しいことだとしながらも、目標に向かって前進できるのは予算の制限や財政協定を通じて「危機の根本原因に立ち向かう時だけだ」との認識を示した。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LVYWF01A74E901.html 今回のEU金融危機解決策はユーロ圏救済のための資金や仕組をどのように構築するかが本来のテーマでした。それがIMFの2000億ユーロの上乗せと欧州安定化メカニズム(ESM)5000億ユーロを2013年に予定していたことを来年に早めることが決まったとのこと。このESMの5000億ユーロもEFSF(ユーロ金融安定化基金)のESMへの移管分も含まれていると思われます。そうなると、今回合意での実質支援額は40兆〜50兆円程度と言うことになります。元々ユーロ金融危機に必要な資金は200兆〜300兆程度必要であると言われてきました。 その数分の1の増額ではたして解決策になりえるでしょうか。とても無理だと思われます。 さらに、ドイツのメルケル首相はESMの増額には反対していることを明言しています。 今後は各格付け会社がどう出てくるかで情勢が変わってきますが、今回の合意は単なる目くらましであり、偽りの策であると言わざるを得ません。 しかし、EUの首脳や世界の金融市場、マスコミはEU危機の解決が大きく前進したかのような評価をしています。 この偽りの評価でEU金融危機が2~3ケ月延びるかもしれませんが、なんら根本的な解決には程遠い現実だと認識しておくべきでしょう。 やはり2012年初頭にタイミングを合わせているのでしょうか。 EUに限らずアメリカ、日本も色々な問題に対して真摯に向き合うこと無く先延ばしの小手先の策でいかにも解決できたような芝居を演じているように見えます。 世界市民を騙す偽りの演技です。 | |
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