金融恐慌は続いています | |
2011年8月2日 22時57分の記事 | |
米国債が震源地となる奇妙な金融危機(英フィナンシャル・タイムズ紙) ほぼすべての人はまだ議会が時間内に債務上限を引き上げると見ているが、神経質な政策立案者やトレーダーたちは、議会が債務上限を引き上げなかった場合に何が起きるか考え始めている。 上限が引き上げられなければ、通常は全世界が困った時の逃避先にしている資産――米財務省証券――が疑わしい資産になるという奇妙な金融危機が発生することになる。
財務省は、最後の審判の日が8月2日だと推定している。財務省はこれまで緊急時対応策について議論することを断固拒否してきたが、議会が債務上限を引き上げられなかった場合には、市場のパニックを避けるために迅速に行動しなければならない。 一般的な前提は、財務省が利払いを優先させて米国債のデフォルト(債務不履行)を回避するというものだ。 市場は、財務省が支払いを続けるのを助けるために、さらなる会計上の操作――政府系金融機関のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)からの借り入れなど――を隠し持っているのではないかと思案している。 以上、英フィナンシャル・タイムズ紙7月22日より転載 今回のUSA債務上限問題は、上記の記事にあるように、市場で最も信頼されているUSA国債があわやデフォルトかという極めて奇妙な危機であったわけです。この騒動により市場参加者は今後のUSA国債の投資について、従来とは異なるより慎重な姿勢に転ずることになると思われます。 しかし、元々、USA国債が最も信頼される?。ほとんどリスクのない「AAA」格付け? そんなわけないでしょう。 「グローバリゼーションとドル基軸通貨の矛盾」で指摘したように、この数十年、USAの企業は「グローバリゼーション」の名の下に世界中に進出してきました。このことは、USAの資本と製造付加価値の流失でもありました。国債の基本的な裏付けは、その国の資産と今後生み出すであろう付加価値にあります。その両方の裏付けが年々失われるUSA国債の価値は当然失われていると見るのがまともな見方です。 USAのGDPは約14兆ドルと言われています。国債発行残も14兆数千億ドルで、現在はGDP比約100%で日本より数段良いから格付けは「AAA」ですか? ほんとにGDPは14兆ドルですか?。 昨日、中国は、金融を除くUSAのGDPは5兆ドルだと言っていました。 これは少し極端だと思いますが、3年前のリーマンショック後の金融恐慌時に、私個人で今後7年間のUSAのGDPの推移を計算してみました。その結果、2011年末での金融を除く(金融市場が崩壊するとの仮定)USAのGDPは約7兆ドルでした。この推測が正しいかどうかは別にしても、現在のUSAのGDPは14兆ドルで国債残とほぼ同じなので、まだ安全だと判断するのは極めて危険なことです。その上、今度は債務上限の2兆ドル余の加算を決定したわけです。来週、財務当局は860億ドルの借り換えの国債発行を計画しているそうですが、FRBがQE3を宣言しないとすれば誰が応札するのでしょうか。応札するとすれば欲の張ったファンドがCDS(破産時の保険)を賭けて応札するかもしれません。しかし、有名な投機家のジョージ・ソロスは数日前に撤退宣言をしました。世界中の市場参加者は格付け機関、マスコミ、各国政府責任者に騙されています。事実が隠されています。2008年からの金融恐慌は続いています。 | |
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