EU財務省創設か | |
2011年9月15日 21時18分の記事 | |
EUのデフォルト問題、3首脳電話会談で合意をみて一時、表面的に解決したように見えますが?
ウオール・ストリート・ジャーナルより 【コラム】ギリシャのデフォルトに備えよ ユーロ圏は道を外しそうだ。ギリシャ債務問題は、通貨ユーロの存続が危ぶまれるほど制御不可能な状態にある。不明瞭さや言い逃れ、約束破棄がない交ぜになったこれまでのユーロ圏の戦略は、完全な失敗に終わっている。そのため、市場では現在、ギリシャのデフォルト(債務不履行)は避けられな いとみられており、ユーロ圏がこの結果に備えて断固たる行動を取らない限り、今なお同通貨圏にわずかながら存在する希望すら消えてしまうだろう。 Angelos Tzortzinis/Bloomberg ギリシャ危機に対処するためにユーロ圏がこれまで講じてきた戦略はシンプルなものだった。ギリシャにはびこる税金逃れの文化を是正するとともに、競争力を強化する対策を実行するよう同国に厳しい条件を提示し、同国がそれを満たすとの条件で、財政赤字を穴埋めするための金融支援を続けるというものだ。 ギリシャがその条件を満たしている限り、ユーロ圏は同国の基礎的財政収支(プライマリ―・バランス)が黒字になるまで、デフォルトを回避できるよう支援を続ける姿勢を取ってきた(基礎的財政収支が黒字になれば、同国の債務再編は実行が容易になる)。さらに、ユーロ圏はできれば、その他の高債務国が財政再建を進めるとともに銀行に公的資金を注入し、危機の拡散リスクを最小限に抑えるようギリシャ支援を続けていく意向だった。 しかし、この戦略は現在のところ、失敗に終わる公算が大きい。ギリシャ政府は即時のデフォルトを回避するだけで精一杯だ。同政府は先週、財政赤字穴埋めのために不動産税の導入を決定したが、これは、ギリシャ救済のトロイカと呼ばれる欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の3機関による支援の次回融資を実現するためだった。この融資が実行されなければ、ギリシャ政府の資金は10月に底をつく見通しだ。 しかし、ギリシャは救済の条件となる目標の達成には程遠い状況にあり、トロイカがそれを無視できるのもそろそろ限界に来ている。財政赤字の対GDP(国内総生産)比率は目標より2.5%ポイント上回る見通しだ。さらに、国営企業の民営化も公式計画からかなり遅れており、構造改革も軌道に乗っていない。 また支援実施の条件となっていた銀行が自主的にギリシャ国債の借り換えに応じるプログラムについても、銀行の90%の受け入れが求められているにもかかわらず、その目標を達成できそうにない。 市場はもうだまされない。ギリシャがデフォルトに陥るとみている。したがって、市場の懸念は、損失がどのくらいの規模になるのか、だれがそれを負担するのか、ユーロ圏にはデフォルトの拡散を食い止める戦略があるのかという点に移っている。 現時点ではっきりしているのは、域内の銀行システムがデフォルトに耐えうるだけの十分な資本を有していないということである。そのため、ここ数日はギリシャ向け融資が最も大きいフランスの銀行に注目が集まっている。 ユーロ圏の銀行をギリシャのデフォルトの悪影響から保護し、ユーロ圏の他の非中核国の債務問題による損失にも耐えることができると市場を安心させるためには、これから数日間中に域内の銀行システムに大規模な資本注入が不可欠である。 記者: Simon Nixon ロイターより 再送:欧州債務危機が大恐慌引き起こす恐れ=ソロス氏 [15日 ロイター] 著名投資家のジョージ・ソロス氏は、ユーロ圏首脳が欧州の債務危機解決に向けて「欧州財務省」の創設を含む抜本的な措置を講じない限り、債務危機が大恐慌を引き起こす恐れがあると警告した。 ソロス氏は、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスとロイター・ドットコムに寄稿し、政策当局者はギリシャ、ポルトガル、そしておそらくアイルランドがデフォルト(債務不履行)に陥り、ユーロ圏離脱に追い込まれる可能性に備えなければならないと指摘。「たとえ破滅を回避できたとしても、赤字削減の必要性がユーロ圏を長期的なリセッション(景気後退)に導くことは間違いない。それは計り知れない政治的結末をもたらすだろう」と述べた。 ソロス氏はそのうえで、1)弱小国家の銀行破たんを防ぐため、銀行預金を保護する必要がある、2)デフォルトした国の経済を支えるため、一部の銀行の機能を維持する必要がある、3)欧州の銀行システムの資本再編を実施し、国家でなく「欧州」の監督下に置く、4)赤字を抱えた他の国の政府債を保護する必要がある──とする4つの大胆な政策措置を提言。「それらはすべてコストがかかるが、課税権限を持ち、借り入れもできる『欧州財務省』を創設する以外に選択肢はない」と述べた。 以上二つの記事を読まれてどう思いましたか。 WSJコラムでは、ギリシャの再建計画は予定を大幅に下回る状態であり、トロイカ方式の救済策実施も難しく失敗に終わるのでは。市場はデフォルトを織り込もうとしている。EUにはデフォルトの拡散を食い止める戦略があるのか。そして当面はEU域内の金融機関の資本の増強が不可欠だ。といい。 ソロス氏はギリシャ、ポルトガル、アイルランドがデフォルトになりユーロ離脱に追い込まれEUは長期の景気後退に陥る危険性があり最悪の状況をもたらす。これらの危機を解決するために欧州財務省を創設し、その配下にEU内の銀行を再編、統合し、預金保護と債務保証をするしかない。といっています。 一方、今日のフランス、ドイツ、ギリシャの3者電話首脳会談ではギリシャはEUにとどまり、フランス、ドイツも支援の継続を確認したようです。市場は一瞬納得しましたがすぐに不安定になるでしょう。結局、この数日間3首脳が会談しても具体的な対策が出ることなく、もう、これは茶番に過ぎません。 上記、2つの記事のほうが現状を的確に表していますし、それがシナリオのようです。元々、結論はサルコジ大統領もメルケル首相もわかっているのですが、それぞれの国内の国民や議会の合意が得られないので、どうもサル芝居を演じるしかないようです。 | |
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