ギリシャ選択的デフォルト環境が完了;「集団行動条項」を承認ギリシャ議会 | |
2012年2月24日 23時32分の記事 | |
世界の金融は実体経済を覆い隠すかのようなはかないお祭りを演じています。 FRBがQE3を実施するとか、ECBがまたバラまきを実施すると報じています。
実体経済の参考指標としてのバルチック海運指数(不定期船の運賃指数)が先日、リーマンショック後の最低を下回り史上最低指数を記録し未だに低迷が続いているのが世界貿易の実態です。 これは、EU、日本のGDPがマイナス傾向にあり、中国なども減速が明らかであることを忠実に表しているものと思います。 ところが、アメリカで発表される統計値は比較的好調なものが多く、金融市場を煽る結果になっています。 欧米のマスコミも一部好調な企業のニュースを大きく取り上げ、ギリシャ・デフォルト問題も第二次支援が決まり、ほとんど解決したような論調に流れています。 まるでリーマンショック前夜を演出しているように見えます。 しかし、ギリシャ・デフォルト問題は第二次支援が決まったからもう解決したのでしょうか。 たとえ第二次支援が実施されたとしても、2020年のGDP比債務残高は126%程度であり、今の経済減速情況からその目標さえ困難であると思われます。 やがて、国民の不満が爆発し、いずれデフォルトを招くものと予想されます。 しかし、その第二次支援を受ける前に民間債権団との交渉を3月12日までに終了しなければなりません。 そのためギリシャ議会は自主的債務減免に応じる債権額が全体の3分の2以上であれば残りを強制的に減免させる「集団行動条項」を承認してしまいました。 これについては、既報のようにS&Pが自主的減免であっても実質的に損害が発生した場合は「選択的デフォルト」であると見なすと宣言しています。 「ギリシャに死刑宣告;S&P、フィッチ」 2月11日 http://blog.kuruten.jp/katukan01/195240 このS&Pの宣言は減免による損失があっても、その何倍かのCDSを掛けている債権者に対し減免を拒否するように働きかけていることになります。 拒否して選択的デフォルトとなれば元本の何倍かのCDSの保険金がもらえることになります。 直接の債権者でない第三者も同様です。 このように、CDSは破綻させる凶器になるのです。 そして、そのCDSを販売している金融機関が倒産します。 それが、EU金融機関に連鎖しアメリカへと連鎖し世界に波及します。 この仕組は何度もお伝えしてきましたが、とうとう始まりそうです。 3月13日〜3月20日の間に起こりそうです。 そうなれば、ギリシャの第二次支援は見送られ、これによりギリシャはユーロを脱退し、自国通貨に戻ることになりそうです。 そのときには、サルコジとメルケル、ECB首脳、EU首脳は格付け会社を猛攻撃し、私たちはギリシャ救済の最善の努力をしたと言いながら、第二次支援の無駄金を投入せずに済んだと「ほくそ笑む」のでしょうか。 とても、そんな余裕のある事態では収まらないに情況に追い込まれことは解りきったことです。 あるいは、世界支配層の命令通りことが運んだと祝杯をあげるのでしょうか。 後、3週間足らずです。 くれぐれもマスコミに騙されないようにしましょう。 以下、参考記事 時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012022400635 市場受け止めは「デフォルト」=ギリシャ、損失強制なら 【フランクフルト時事】ギリシャは同国国債の債務減免計画に同意する民間債権銀行が十分に集まらない事態に備え、銀行に損失を強制できる用意を整えた。同国は「減免は債権者の自由意思に基づくため、デフォルト(債務不履行)でない」としてきたが、強制減免が実施された場合、少なくとも市場ではデフォルトという烙印(らくいん)を押されることになる。 ギリシャ議会は23日、全体の3分の2の債権者が借金棒引きに同意すれば、残りの債権者にも減免を強制できる「集団行動条項」導入を承認。24日から始まる減免手続きで、目標額である1070億ユーロ(約11兆4000億円)分の債権者の同意が集まらなければ、同国は強制措置の発動を目指すとみられる。(2012/02/24-15:33) ロイター ギリシャ議会が債務交換法案可決、民間の実質負担73─74%に http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE81M00I20120223 [アテネ 23日 ロイター] ギリシャ議会は23日、民間債権者による債務交換を可能にする法案を可決した。 民間債権者による債務交換は、ギリシャ債務の対国内総生産(GDP)比率を2020年までに現在の160%から120.5%に圧縮することを目指す第2次支援の中核部分で、同国の債務を1000億ユーロ(1320億ドル)削減する見通し。 連立与党を形成する全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と新民主主義党(ND)は議会で過半数を占めるため、投票は行われず、法案は審議終了後に自動的に可決された。 ギリシャのベニゼロス財務相は採決に先立ち、「議会が法案を可決することにより、われわれは危機脱却に着手することができる」とし、「成功するには、結束して真剣に取り組むとともに、信頼ある一環した態度で多大な努力を払う必要がある」と訴えた。 政府は債務交換について、3月20日の145億ユーロの国債償還を乗り切るには、24日までに民間債権者に交換案を提示し、3月12日までに完了する必要があるとしている。 民間債権者が保有するギリシャ国債の規模はおよそ2000億ユーロで、債権者はそのうち額面で53.5%の債務を減免。実質で73─74%の損失を負担する。 可決された法案では、投資家に債務交換について検討する時間を少なくとも10日間与えており、債権者の一定以上の合意で全ての国債交換を進められるようにする集団行動条項(CAC)を盛り込んだ。 提示した交換案に債権者の50%が応じた時点で債務交換が実施され、そのうち3分の2以上が債務交換に賛同すれば、集団行動条項(CAC)が発動される仕組みになっている。 <ギリシャへの懐疑的見方根強く> 支援条件である緊縮措置の実施を背景に、ギリシャのリセッション(景気後退)は深刻化しており、失業率は20%を突破。若者の半分は失業者だ。 緊縮策に反対するデモがギリシャ各地で発生しており、この日も医師・医療関係者が24時間ストを決行した。 国内の反発を抑えながら、ギリシャ政府が選挙後も果たして厳しい財政再建措置や改革を断行できるのか懐疑的な見方が依然として強く、とりわけドイツなど北部の欧州諸国からの視線は厳しい。 ギリシャは向こう数日間で、支援条件である公的セクターの歳出削減や年金カットの実施に向け、一連の法案を可決する必要がある。 一方、国際通貨基金(IMF)関係者によると、ギリシャが借り入れ限度額に迫るなか、IMFはギリシャ支援の規模について検討している。 欧州・IMFの関係筋によれば、IMFは第1次支援に盛り込まれた未使用分の99億ユーロに加え、130億ユーロを拠出する可能性がある。 ただIMFの最大出資国である米国は、ギリシャ追加支援合意を歓迎しながらも、欧州は危機波及の阻止に向け、一段の取り組みを行うべきとの立場を示している。 ブレイナード米財務次官(国際問題担当)は22日、「IMFは引き続き欧州について建設的な役割を果たすべきだと考えるが、IMFの財源は、強固で信頼に足るファイアウオール(防火壁)の代わりにはなれない」と述べた。 | |
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