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「道行き」
[詩]
2009年6月28日 21時25分の記事

とおく
地平にも遮られることなく
揺るぎなく真っ直ぐに
どこまでも伸びる道

けして立派な見映えではなく
時折失われそうにさえ
されど確かに
貫く一本の道

ああ

この道を
私は往くのだ

確かな約束

道行きの困難も
辿り着く最果ても
すべてが未知数というのに

それだけは確りと
約束されている
決まっている
変わることなく
変えられることもなく

暮れゆく地平に目を細め
もの言わぬ道の先を眺める
その私の後ろに

例えば仕事であるとか
例えば家族であるとか
例えば世間であるとか
例えばそんな柵の数々の
総ては私の後ろにあって
行く先を見る時
それらはもう私の目には入らないのだ

だから、
置き去りにするのではない
振り払うのでもない
私が明日を目指す時
それ以外はもう無いのだ

私は只
この道を
顔を上げて往けば良い

識っていたようで
知得らなかった
判っていたようで
理解らなかった

身軽だったあの時代
それは少年の特権と思っていた
自分の質量を
こんなにも軽く感じるとは
箱庭で描いた夢想を容易に絶する

この軽さがあれば
どこまでもゆける
すばらしきかな
道は果てない


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とおく
地平にも遮(サエギ)られることなく
揺るぎなく真っ直ぐに
どこまでも伸びる道

けして立派な見映(ミバ)えではなく
時折失われそうにさえ
されど確かに
貫く一本の道

ああ

この道を
私は往(ユ)くのだ

確かな約束

道行きの困難も
辿り着く最果ても
すべてが未知数というのに

それだけは確(シッカ)りと
約束されている
決まっている
変わることなく
変えられることもなく

暮れゆく地平に目を細め
もの言わぬ道の先を眺める
その私の後ろに

例えば仕事であるとか
例えば家族であるとか
例えば世間であるとか
例えばそんな柵(シガラミ)の数々の
総(スベ)ては私の後ろにあって
行く先を見る時
それらはもう私の目には入らないのだ

だから、
置き去りにするのではない
振り払うのでもない
私が明日を目指す時
それ以外はもう無いのだ

私は只(タダ)
この道を
顔を上げて往けば良い

識(シ)っていたようで
知得(シ)らなかった
判(ワカ)っていたようで
理解(ワカ)らなかった

身軽だったあの時代
それは少年の特権と思っていた
自分の質量を
こんなにも軽く感じるとは
箱庭で描(エガ)いた夢想を容易に絶する

この軽さがあれば
どこまでもゆける
すばらしきかな
道は果てない

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小村 細輝(Komura Sasaki)

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