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「アブ−・コウジおじちゃん」こと駐イラク大使の岩井文男氏の外交姿勢は賞賛に値する!! |
[国際情勢] |
2018年7月20日 0時0分の記事
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日本の外交も、中国や南北朝鮮などとの「不和や成果の乏しさ」で批判に晒される事が多いのですが、外交とは結局、「落とし所を探る」事なのです。 それ故に、人、人材が大切なのです。
7月18日20時30分にAFP=時事が「アラビア語とSNSを駆使、イラク人の心つかんだ日本の大使」の題で次のように伝えました。
『【AFP=時事】イラクに駐在する外国大使にとって、現地の人々の心をつかむのは容易なことではない。だが、ユーモアに富んだソーシャルメディアの動画と現地なまりのアラビア語を駆使し、それを成し遂げた大使がいる。間もなく任期を終えようとしている日本の岩井文男(Fumio Iwai)大使(67)だ。 バグダッドへ赴任してから3年に満たない岩井大使だが、そのファン層は厳重な警備が敷かれた旧米軍管轄区域「グリーンゾーン(Green Zone)」をはるかに越えて広がっている。
特に昨年6月、サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)行きを賭けたアジア最終予選の戦いを前に撮影された動画は、他のものに比べ圧倒的な視聴者数を集めた。やせ型で眼鏡をかけた大使が着ていたのはイラクのユニフォーム。イラクの対戦相手は、日本だった。
73万人を超える人々が嬉々として視聴したこの動画の中で、岩井大使が「私たちのチーム(日本)が勝ったらうれしいが、イラクが負けたら悲しい」と語っていたことを、イラク人の公務員ハイダル・バンナー(Haydar al-Banna)さん(35)はよく覚えている。
米国主導の侵攻によってサダム・フセイン(Saddam Hussein)政権が倒れてから15年。いまだ混乱から抜け出すことができていないイラクで岩井大使の動画は共感を呼び、人々は大使のことを自分たち自身のように感じたという。バンナーさんは「彼はイラク人だとみんなが言っている。ここに50年間、住んでいる人みたいだ」と語った。
■「彼の新しい動画見たか?」 岩井氏のアラブ世界への旅が始まったのは30年前。外務省からアラビア語を学ぶように命じられたことが発端だった。若き外交官だった岩井氏は家族と共に2年間エジプトで過ごし、アラビア語の学習に没頭。それから30年、今もこの言語を極める「出発地点」にいると岩井氏は語る。
バグダッドで岩井氏の名前を口にすると「彼の新しい動画を見たか?」という言葉が一様に返ってくる。 伝統に敬意を払いつつ、スマートフォンとソーシャルメディアに夢中な現代のイラク人にアピールするにはどうしたらよいか、岩井氏はよく知っている。動画は短く、通常1〜2分。アラビア語のあいさつ「サラーム・アライクム」やイスラム教の慣習をちゃんと行い、それから話題へと入っていく。
ある動画ではイラクの伝統衣装に身を包み、黒と白の模様が入った男性用のスカーフ「カフィーヤ」を肩にかけて登場。「この素晴らしい格好を見てほしい。正真正銘のバグダッド市民のようだ」と笑顔で語り掛けた。
岩井大使はAFPに対し、他の外交官たちが市民との交流にソーシャルメディアを活用していないことに驚いていると語った。岩井氏いわく、「アラビア語を話せる大使は数人いるが、アラビア語で現地の人々に話しかけることはまれだ」という。
岩井大使はイラクを離れるにあたり、寂しく感じるものがいくつかあると言う。例えばイラク版のすしともいえる野菜の詰め物「ドルマ」だ。
だが、もうこりごりと思っているものも一つある。それは「気候」だという。イラクでは夏の気温がしばしば50度を超えるが、岩井大使は「ここに来るたび、どんどん暑くなっているように感じている」「コンクリートの壁や緑地の減少、大気汚染と関係しているのかもしれない」と語った。
岩井大使は今月イラクを発つ予定だが、ファンたちは大使がイラク国民になってほしいと願っている。ネットでは将来の復興相にと推す声もある。だが、岩井氏は日本で二重国籍は認められていないと指摘し、外交官らしい礼儀正しさで当惑を引き起こす事態を避けた。』
岩井大使は、在イラク日本国大使館HPを通じて霞関会への6月21日の投稿「「アブー・コウジおじちゃん」」で、次のように指摘しています。
『(前略) イラクの人たちは、新生イラクで政を生業としてきた人たち(為政者)に極めて強い不信感と失望の念を抱いています。私が政治家との面談をFBに投稿でもしようものなら、読者からは大抵、「大使、後生だからイラクの富を盗むだけのこんな輩と話をするのは止めて。時間の無駄」といった否定的なコメントばかりが寄せられます。この政治不信は5月12日に実施された国会議員選挙で噴き出しました。選管から正式発表された投票率は44.5%と、イラクの選挙史上最低でした。そして、最大得票数を獲得したのは「サーイルーン」というポピュリスト的政治グループでした。さらに今回の選挙では、国会議長、副議長はじめ閣僚複数、名だたる議員が落選の憂き目に遭うことになりました。
お国の人たちの間でこのような政治不信が蔓延しているのはなぜか。究極のところそれは、新生イラクを統べてきた為政者は大半が元亡命者であって、そもそも生活の基盤をイラク国内に有していないという事実に帰着するように私には思えます。
マアスーム大統領が大統領職就任に当たり英国籍を抜いたことが国民の間で大きな話題となりました。これは裏を返せば、政治家の大半が二重国籍者と一般に認識されているからです。そして、子女の教育や治安状況を理由に家族をかつての亡命先である外国に住まわせたままであることも多いようです。つまり、彼らは当国には単身赴任、理由を付けては家族がいる国に頻繁に公費で出かけているのではないかと思われているのです。一方で、国民は電気や水、医療、子女教育等基礎的サービスも満足に享受できないで喘ぐ日々が続いています。しかも政治家たちはバグダッドにいる間は、庶民から見れば別世界の「グリーンゾーン」に居を構えているわけです。
「イラクの行く末を真剣に憂い、国を良くしていこうと本当に思っているのか。自らを肥やすことしか考えてないのではないか。」こうした冷たい眼で国民から見られても無理からぬものがこの国の政治家たちの振る舞いにはあるような気が私にはしてなりません。それだからこそ、「日本大使にイラク国籍を与えて、選挙に出てもらおう。同じ二重国籍でもきっと日本大使の方がよほどマシに違いない」などという考えが人びとの間で出てくるのでしょう。 (以下略)』
正に、正論です!!
「アブ−・コウジおじちゃん」こと駐イラク大使の岩井文男氏の外交姿勢は賞賛に値する!!
駐イラク大使の岩井文男氏(右)がファンから肖像画の贈り物を受け取る様子 出典:在イラク日本大使館 HP
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