小規模企業と収益の低さ | |
2010年11月12日 10時12分の記事 | |
区域トラック事業の企業は、すでに述べたように、経営成績が免許を受けた路線網の規模・性格によって大きな影響を受ける路線トラック事業とは異なり、規模にかかわりなく、同一の市場で荷主をめぐって競争しているので、 企業の規模による経営成績の差異、あるいは同一規模の企業間の経営成績の差異は、企業が荷主に対して提供する広義の運輸サービスの質と収受する料金、および運輸サービスの供給にかかわる費用の差異に依存します。 業界では経営成績の良し悪しは、企業が安定した良い荷主を顧客にしているかどうかにかかるといいます。 運輸事業者にとって「安定した」、「良い」荷主とは、好不況にかかわりなく安定した量の貨物を同一の事業者に十分に採算のとれる料金で運送することを託する荷主を意味すると受け取られていますが、 経営成績の良い事業者がこのような業者にとって都合の「良い」荷主に恵まれているが故に経営成績が良いわけではないでしょう。 公表されている統計から結論を引き出すことはできないが、比較的規模の大きい企業のなかに荷主の物流効率化に適合した質の高い運輸サービスを供給し得る企業が多く、規模の小さい企業のなかに他企業の傭車に依存する度合いの高い企業が多いのではないでしょうか。 不況期には貨物輸送需要が減少するので、傭車の需要も減少します。 傭車による収益に依存する度合いの大きい企業の経営成績が低下することはいうまでもありません。 また、供給する運輸サービスの質が同業他社のそれより優れている企業は、料金引下げによる「価格競争」によって荷主を確保する必要性が小さいのです。 比較的規模の小さい企業のなかには、こうした同業他社との間の競争に関して有利な立場に立つことができる企業が少なく、不況期には料金を引き下げて荷物を集めようとするために収益性が低下するように思われます。 運送業界アナリスト大木一雄
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