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「ウィキリークス」天才アサンジの野望
 
2010年12月8日 22時27分の記事



連日“凄すぎる”情報が出るわ出るわ、まさに“インターネット民力”をみせつけてくれている「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ氏(39)が7日、ロンドンの警察署に出頭し逮捕された。容疑は2人のスウェーデン人女性への強姦などの“性的犯罪(SEX CRIME)”ということだが、アサンジ氏側は、“同意の上の性交渉で、避妊の備えをしなかった(コンドームをつけなかった)だけ”と反論している。

アサンジ氏が出廷したロンドンの裁判所前にはメディアが殺到し、著名ジャーナリストなどもアサンジ氏擁護のため駆けつけた。しかしアサンジ氏は保釈を許されず、今や塀の中。一方、生まれ故郷のオーストラリアのラッド外相は、「アサンジ氏を豪国民として保護する」と8日朝地元テレビ番組に生出演して述べている。

世界中の政治家やメディアを翻弄し続ける今最も“ホット”なオーストラリア人、ジュリアン・アサンジ。彼の“野望”とは一体何なのか?


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今月6日、オーストラリアのラッド外相が首相時代の今年3月、ヒラリー・クリントン米国務長官と会談した際「米国は中国への軍備展開を準備すべきと」進言。ラッド氏が提唱したアジア太平洋共同体構想は「中国の影響を抑えるためのものだ」と話したことが「ウィキリークス」により暴露された。当のラッド外相はもとより、ギラード首相も「豪中関係は強固なものだ」と、この日は終日“弁明”に追われた。

きょう8日には、シドニーの日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」が、アメリカ大使館関係者が、ラッド氏を「粗暴で衝動的、他人のコントロール好き」だとした外交公電をウィキリークスが公表したと報じ、ラッド外相はその日の早朝、まだ多くの人がその記事をゆっくり読んでもいない時間から地元テレビ局チャンネル7の人気番組「サンライズ」に地元のブリズベーンから生出演。
一生懸命“さわやかな笑顔”をつくりながら(どうしてもそう見える…)、「全然気にしてないよ〜。」と強がってみせた(腹の底は煮えくり返っているだろうが…)。

25万点もの“マル秘”アメリカ外交公電を暴露している「ウィキリークス」。創設者のオーストラリア人、ジュリアン・アサンジとはどのような人物なのだろうか?

白銀色の長髪で昔の坂本龍一のような髪型。色白(白人だからしょうがないか…)でスリムな体型、まさにITオタク風だが、結構イケメンで、笑顔がカワイイ!とコロッと惚れてしまう女性もかなりいそうな感じだ。

今年6月にアメリカの大学で開かれたパネルディスカッションでの話ぶりは穏やかだが、時折みせる鋭い眼光と、譲れないトピックには語気を強めるところに、芯の強さが伺える。

パネルディスカッションで「小さなスイッチで大きな影響をもたらすシステムの構築を目指している」と語ったアサンジ氏は、1971年7月3日にオーストラリアのクイーンズランド州タウンズビルで生まれた。若い頃からヒッピー生活をしていた母親と30回以上引越しを繰り返し、ほとんど学校に通わなかった時期もあったという。

16歳で「天才ハッカー」との異名をとり、ペンタゴンのコンピュータへの侵入などを行って逮捕されたこともある。18歳で16歳の幼妻と結婚、19歳で父親になったが、その後妻は失踪。男手ひとつで一人息子を育て、メルボルン大学まで卒業させる。母親によるとその苦労で、濃い茶色だった髪の毛が今のように真っ白になってしまったという。

「ウィキリークス」の活動を始めたのは、2006年。2007年にロイターのカメラマンなどが死亡したアメリカ軍のヘリが行ったバグダッドでの銃撃の映像を今年4月に公開したことで、「ウィキリークス」とジュリアン・アサンジの名前が世界に知れ渡った。

そして、今回の25万点にも及ぶアメリカの秘密外交文書の暴露。次々と明らかにされる驚きの事実の数々に、文書の内容を否定することもできなかったヒラリー・クリントン国務長官が各国に謝罪行脚を強いられるなどしたことから、アサンジ氏逮捕のXデーが遅かれ早かれやってくることは周知の事実だった。

今回のアサンジ氏逮捕の直接の容疑である”性的犯罪”とは、イギリスの新聞デイリー・メールによれば( www.dailymail.co.uk )今年8月にスウェーデンで知り合った“セーラ”と“ジェシカ”と名乗る2人の女性からの訴えられたもので、1人の訴えは性行為中にコンドームが破れたこと。もう1人は、夜の行為の際はコンドームを装着したが、翌朝再び“コト”に及んだ際にはアサンジ氏が“装着”を拒んだというものだ。

えええ!それで“強姦罪”になるの??スウェーデンでは、たとえ合意の上での男女の行為でも、もし男性が避妊をしなかった場合、訴えることができるというのだ。
そういうアホみたいな(失礼…)な罪でアサンジ氏は国際手配され、イギリスで逮捕されたのだ!

国際手配といえば、反捕鯨団体のシー・シェパードのカナダ人ポール・ワトソン代表も日本の要請でIPOに国際手配されているが、アメリカ当局もオーストラリアも何もしていない(アメリカでは一応取り調べをされたらしいが、すぐ開放された..)。私は国際手配が出された直後、実際にワトソン代表とブリズベーンで会ったが、彼は全く問題なくノコノコと巨体を揺らして現れ、ホテルのバッフェランチをムシャムシャ食べていた。

こんな無茶苦茶な容疑で逮捕されたアサンジ氏。彼が今回の逮捕には「政治的意図が背景にある」と主張しても不思議はない。

ところで、アサンジ氏は、作家のフランツ・カフカやロシアの文豪ソルジェニーツィンに影響を受けているそうだ。カフカ好きなんて、村上春樹みたいだが、ちょっと調べてみたらカフカとアサンジ氏は誕生日が7月3日で一緒だった。な〜んだ!そういう理由か!とともに、カフカが孤独な幼少時を送り、実証主義や社会主義に影響されていたことにもきっと共感したのだろう。ここに「ウィキリークス」とアサンジ氏の思想のバックグラウンドを垣間見るような気がする。

というのも「ウィキリークス」やアサンジ氏の“暴露”の対象は、主に政府や大企業といった官僚的組織に向けられ、彼らの活動の動機に何か社会変革や革命思考的な匂いを感じるからだ。

ニューヨーカーwww.newyorker.com という雑誌に掲載された長〜い短編小説のような特集記事によると、アサンジ氏は、人間の闘争とは、右翼対左翼だとか信仰対理性とかいう闘いではなく、個人対組織(institution)の闘争で、真実や、創造性、愛や思いやりの気持ちなどは、この“組織”によって歪められているというのだ。

そして、「ニュース報道も組織によって歪められている」と彼らは主張する。

「ウィキリークス」のホームページには、「我々の最も重要な活動は、ニュース報道における真実でオリジナルの情報元を読者に提供すること」と書かれている。

つまり、組織に属するジャーナリストによって歪められたニュース報道のオリジナルの情報ソースを誰もが簡単に入手し検証する機会を与えることを目的としているのだ。

アサンジ氏の言う「小さなスイッチで大きな影響をもたらすシステムの構築」というのはこのことで、自宅でパンツ一枚でワイングラスを片手にパソコンのキーボードを叩くだけで、世界中で行われている欺瞞や不正、うそ八百を暴き、“個人”の頭で検証し、行動する機会を与えるということなのだ。

確かに、アメリカが曲がりなりにも“マル秘“のスタンプを押した文書だから秘密にしておきたいのはわかるが、どこかの国の大統領は怒りっぽいだとか、あの首相は小心者だとかという、近所のおばちゃんの「ゴシップ」程度の情報が暴露されたところで、何の問題があるのだろうか?問題はそれをおもしろおかしくスキャンダラスな部分だけを切り取って、金儲けに使おうとする一部マスメディアのほうではないだろうか?。

よほど暇な人でない限り、25万もの文書の中から、「アメリカがラッド豪首相は“粗暴”だ」と1行書いた部分を探す奇特な輩は少ないだろう。いたとしても、2008年モノの安物シラーツを一口すすりながら、ムフフと一人笑いするのが関の山だ。

「何かを知りたければ自分で探せ、そして自分の頭で考えろ!」とアサンジ氏はそう“世界の中心”で叫んでいるように私には聞こえる。

人間の生の営みとは、言ってみれば日々新しい情報を頭にインプットし蓄積し、何が正しいのか?何をすべきなのか?を常に考えていくことではないだろうか?

その営みを止めたとき、人間は人間でなくなり、まさにジョージ・オーウェルの小説「1984」に出てくる人々のようにビッグブラザーの支配下に置かれた「家畜人間」に成り下がってしまうのだ。

私にはジュリアン・アサンジが、小説「1984」の主人公ウィンストン・スミス とダブって見えて仕方がない。

ビッグブラザーの目を盗み、空想の世界に浸り、貧しい生活を強いられているが、“自由”に生きる被差別階級“プロール”に希望を見出し、思考の単純化と思想犯罪を予防するために開発された新語法ニュースピーク(Newspeak)に反発し、禁じられた日記を密かにつける主人公のスミス。

結局若い女と恋に堕ち、思想警察に捕まり拷問される。そのとき主人公のスミスは39歳…まさにジュリアン・アサンジと同年齢だ。しかも女でつまづき、同じロンドンで思考警察…いや警察に逮捕されている。

カフカ、村上春樹、「1984」…偶然にしては出来すぎていると思いませんか....?

「1984」の主人公ウィンストン・スミスは「自由とは、2足す2は4だと言える自由だ」と言った。

「ウィキリークス」のジュリアン・アサンジは、「使命は世界の人々に真実を伝えることだ」と言っている。

ジュリアン・アサンジの野望とは、「自由に真実を語れる世の中を作り守っていくこと」にほかならない(…と思う)。

インターネットがこんなにパワーを持つ媒体だったとは….、アサンジ氏とほぼ同世代のオヤジの私には想像もつかなかった(これが天才と凡人の違いだ…フーっため息..)。

アサンジ氏は逮捕前、「膨大な未発表の重要文書を暗号化し、10万人に送ってある。自分に何かあれば、これらの文書を自動的に公開させる」と警告している。

ジュリアン・アサンジという天才が始めた“革命”を、もう誰にも止めることができそうもない…….。

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◆この記事へのコメント(投稿順)
1. ドーナツ 2012年11月26日 23時24分 [返信する]
はじめまして。
アサンジで検索していて辿り着きました。
この記事いいですね!
英語が分からずアサンジ情報が手に入りにくくて困っています。
エクアドル大使館で体調を崩しているらしく心配していますが……。
飯島さんのアサンジ記事は他にもありますでしょうか?

 ■このコメントへの返信■
1. 飯島 2012年12月1日 5時5分
ドーナツさん。コメントありがとうございます。このブログは最近更新していなかったので、お返事遅れてすみません。アサンジ氏についてはTBSのニュースでも何度か取り上げています。記事はシーシェパード代表との類似性について書いたものがありますhttp://nichigopress.jp/nichigo_news/goleaks/26508/ それでは今後とも宜しくお願いします。


 

2. ドーナツ 2012年12月2日 23時41分 [返信する]
有難うございます。
読ませて頂きます!

 


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