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日本は国家や国民が「永世中立」という言葉を誤解し過ぎる!!現代の国際社会で利害関係の永世中立など不可能!!
[防衛]
2021年7月3日 0時0分の記事

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スイスが、かのナポレオン戦争以降、「永世中立国家」として、一応、第一次、第二次世界大戦でも戦果を逃れられたのは、歴史的に良く知られてはいます。

しかしながら、例えば第二次世界大戦でも連合国、枢軸国双方がスイス領空侵犯をした際に、相当数を撃墜もしています。
また、「自分の息子の頭の上に載せたリンゴを弓矢で打った」弓矢の英雄の物語など過去の逸話でも有名なように、スイスは過去、フランス等からの過酷な支配をされた歴史もあります。
スイスが文書に出来ない、歴史に記録されないようなドロドロした苦難の歴史を歩んできた事は、ここで申し上げたいと存じます。

更に、「民間防衛」という書籍でも有名なように、スイスは山岳国家で内陸国家であるにも関わらず、20世紀の冷戦時代、国家国民総動員体制でシェルター設置を義務づけ、徴兵制度や民兵制度、銃の備蓄、有事動員体制、小麦粉等を収穫したら1年は備蓄するなどの徹底した防衛策を講じました。

これらは20世紀仏独伊という国家に挟まれ、海から遠く、地の利も少ないという小さな「ハートランド」だったことも幸いした点や、国際社会のバランサーとして政治や経済、そして「スイスの銀行」は顧客情報を不開示にする政策、スイスの時計等の高度技術の保有なども効果があったのでしょう。

尤も、現在はスイスの銀行もマネーロンダリング関与がバレて顧客情報も開示され、金融面での存在感は急速に薄れ、国際政治等でも存在感が薄れているという、「汚いスイス」の悪い面が出ていますが。
永世中立政策を綺麗事のように甘く見てはなりません!!
まだまだ、日本は国家や国民も、「永世中立」という言葉を誤解し過ぎる面があるのは非常に残念に思います!!

特にこれらの緊張感や緊迫感を背景にスイスが歩んできた政策を理解された上で、次の記事をお読み頂けるならば、筆者が掲題に掲げた意味をご理解しやすいのではないでしょうか。

7月1日11時29分にロイターがmsnにて、「スイス、次期戦闘機にF35選定 米国製の迎撃ミサイルも購入へ」の題で次のように伝えました。

『[チューリヒ 30日 ロイター] - スイス政府は30日、次期戦闘機に米ロッキード・マーチン製ステルス戦闘機「F35Aライトニング2」を選定したと発表した。55億ドルで36機購入する計画で、F35を採用する15番目の国となる。

米レイセオンの地対空誘導弾「パトリオット」を購入することも決めた。購入額は21億ドル。

欧州の競合社は戦闘機、ミサイルシステムの両方で選考に敗れた。

スイス政府はF35Aが「全体のコストが最も低く、メリットが最も大きい」と判断した。

F35の選定には兵器購入反対派から非難の声が上がった。複数の左派政党はこの問題で国民投票の実施を働き掛ける見通し。実現すれば、戦闘機購入に関する3回目の国民投票となる。

7年前の国民投票ではスウェーデンのサーブの戦闘機「グリペン」の購入計画が否決された。昨年行われた60億スイスフラン(65億ドル)の次期戦闘機購入資金を巡る投票では、賛成票がわずかに反対票を上回り、承認された。』

スイス政府としては、最近まで同じ「永世中立」を保ってきたスウェーデン製の戦闘機「グリベン」を購入したかったのでしょうが、今や日進月歩どころか日進年歩のご時世。
戦闘機も高性能化が進み、スイスの国土は台湾や九州を一廻り大きなレベルの面積しかない内陸国家となれば、周辺諸国との協調や関係強化無しでは、航空機や鉄道の運行すらままなりません。

更にスイスの産業も、兵器産業を含めて考えれば、相当のハイレベルな企業は日本も機関砲のライセンス生産をしているエリコン社くらいで、そのエリコン社も最近は苦戦しています。

現代兵器は、訓練教育や運用ノウハウの提供、部品の製造・生産や供給、ハード・ソフト両面の支援無しに戦闘機やミサイル、それを支える設備等はとても運用出来ません。

一例を挙げましょう。
戦闘機のエンジンやレーダーでも、コア部分の部品や、ハード・ソフト面のパーツがあります。

それは、指定された製法、指定された部品等を輸入し、加工、使用して組み立て造らねば、望まれる性能が発揮されないのです。
その部品が、今回話題のスイスが購入を計画しているF−35Aや迎撃ミサイルの部品であれば、例えば「A」や「B」のパーツが米国から輸入出来なければ、製造も運用も出来なくなります。

更に、本記事の話題のF−35Aステルス戦闘機やミサイル防衛システムの一端を持つ迎撃ミサイルならは、何を況んや、です。

(念のために記載しますが、製造業の経歴が長い筆者もこれらの事を、実体験を含めて痛感しています。単なる伝聞の類いではない事も明記しておきます。)

冷戦末期に米国で大スキャンダルになった「イラン・コントラ事件」を思い出して下さい。
イラン政府はF−14戦闘機のレーダー等の機器を米国から「裏取引」で入手したのは、F−14戦闘機の運用が危機的状況であったからです。

スイス政府が打ち出した政策、特に今回の追い打ちを掛けるような今回の米国製F−35A戦闘機や迎撃ミサイルの購入は、スイスの国民にとっては、米国兵器が国防の柱になる事になり、それはすなわち米国との友好協力関係が国家の防衛にも政治や外交でも不可欠となることで、事実上の「永世中立政策」の放棄と同じ意味なのです。
「建前」はともかく。

近年、永世中立政策を放棄してNATOへの接近を推進しているスウェーデンは、兵器の国産化の限界や兵器の更なる高度化に国家として産業の能力がついて行けなくなった現状に加え、テロ・ゲリラや特殊部隊対処、宇宙、サイバー、電磁波への対処などでは多国間協力が不可欠であることを痛感したため、政策変更をした側面もあります。


敢えて逆に申し上げるならば、我が日本は日米同盟の深化を推進した故に、F−35Aや迎撃ミサイル等のライセンス生産も可能になり、更に日米共同開発したSM3ブロック2Aも完成させ、配備までにこぎ着けるようになったのです。
これは、世界的にも、希なケースなのです!!
我が日本は、各種産業製造力や技術力等で優れており、これが防衛の面でも有効に発揮される為、世界的にも、非常に恵まれているのです!!


日本は国家や国民が「永世中立」という言葉を誤解し過ぎる!!
現代の国際社会で利害関係の永世中立など不可能!!
我が日本は各種産業製造力や技術力等で優れており防衛の面で世界的にも、非常に恵まれている!!





(上)F−35A戦闘機
(下)迎撃ミサイルペトリオット(パトリオット)
出典:航空自衛隊HP

上下とも、日本が導入し、ライセンス生産出来る米国製兵器です!!


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