くる天 |
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プロフィール |
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飯島浩樹 さん |
シドニー通信員の『豪リークス』 |
地域:海外 |
性別:男性 |
ジャンル:ニュース 世界情勢 |
ブログの説明: オーストラリア在住 某民放局シドニー通信員からの情報。 |
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中国が“完全制覇”豪最大貿易相手国統計 |
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2010年12月23日 6時38分の記事
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2010会計年度のオーストラリアの最大貿易相手国は「中国」だったと豪外務貿易省が22日発表した。
中国は豪州の最大輸出先でも前年度1位の日本を抜き、観光、金融、教育などのサービス産業の輸出市場でも初めてアメリカを超えトップに立った。これで中国は輸出入とサービス産業のいずれの分野でもオーストラリアの最大貿易相手国になり、いわば貿易分野の“完全制覇”を果たした。
日本企業もオーストラリアで資源関連の投資や豪食品飲料会社などへのM&Aを積極的にすすめているが、中国のパワー&マネーの前に後塵を拝した…。
このように中国の勢いはここオーストラリアでも止まらない。日本を抜き世界第二の経済大国にのし上がった今、中国はどこへ向かおうとしているのだろうか?
アメリカの新聞が興味深い記事を載せた。「中国が欲しいのは他国からの尊重と畏敬、世界覇者の座は狙っていない」http://rchina.jp/article/47966.html というものだ。
昨今の「中国脅威論」を一蹴するような内容とも言えるが、アメリカ人がこういう風に思い出したという点が非常に興味深い。
記事では、「中国は現在自らがすすめる『一党独裁政権のもとでの資本主義モデル』をかつてのソ連の共産主義やアメリカの自由資本主義のようにイデオロギーとして世界に広めようとしているのではなく、ただ自国の利益を考えた政策を行っている」とし、「アメリカ人は、世界中の人々が「自分と同じ」であることを望んでいるが、中国人は他国から尊重され、畏れられる存在になりたいと願っているだけだ」としている。
これはまさしく東アジア地域で古来から何千年も続いた「華夷秩序」への回帰にほかならない。
わずか百年ほど前までは、日本をはじめとする(日本は幸いにも独立を守リ通すことができたが..)東アジア諸国は、中国という“スーパーパワー”の前にひれ伏し、「朝貢」というシステムにより地域の安定を図ってきた(日本は「鎖国」という掟破りの奥の手を出したが...)。
これは産業革命以来、力で相手をねじ伏せ、「植民地」とした国から収奪のかぎりを尽くしてきたイギリスをはじめとする欧米諸国とはとは違い、中国は、恭順した国々に絹や陶器などの宝物や中国の先進文化、技術をを惜しげもなく分け与えるという方法をとってきた(もちろん反抗すれば完膚なきまでに叩きのめされたが…)。
この点は、近藤大介氏の「日・中・韓準同盟時代」や、現シドニー総領事の小原雅博氏の「東アジア共同体」などで詳しく述べられている。
アヘン戦争などで欧米列強に国を蝕まれ、しっかり自信を失くした中国だが、ここに来てようやく世界のマウンドに再登板を果たした。
中国人は排他主義で自己中心の「中華思想」を持つと言われるが、「アングロサクソン人」、「アラブ人」そして「日本人」だって似たような考え方は多かれ少なかれ持っている。
自由資本主義経済を“万能”だと過信し、力で世界をねじ伏せようとした「アメリカ」が、どうやら自分の犯した“罪”に気づきはじめている昨今、新“スーパーパワー”中国が“マジ“で「他国から尊重され、恐れられる存在になりたい」とだけ願っているのか?
日本はこの大国の真意を見極め、これからどうつきあっていくかを真剣に考える時期にきている。
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