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アボリジニにナデシコとサムライ魂を見た
 
2011年12月27日 13時16分の記事



第9回 アボリジニにナデシコとサムライ魂を見た
※日豪プレス2011年10月号掲載
http://nichigopress.jp/nichigo_news/goleaks/28827/

本コラム第6回「アボリジ ニ、ウラン、そして原発事故 …」で、地震と原発事故に 見舞われた日本人への同情を 綴った手紙を国連事務総長に 送った、先住民アボリジニの 女性と原子力大手の仏アレバ 社の巨額オファーを蹴って先 祖から受け継いだ土地を守っ た男性を紹介した。先日世界 遺産のカカドゥ国立公園内に 住むその2人に直接会って話 を聞くことができたが、逆に 2人から日本人が忘れかけて いる大切なスピリットを思い 起こさせられた。

◇カカドゥのジャンヌ・ダルクに 会う

ユネスコの世界遺産に指定されている北 部準州のカカドゥ国立公園は、自然と野生 動物の宝庫だが、地下には大量のウランが 眠ってもいる。そのためウラン鉱床がある 地域は、世界遺産の指定から除外され、そ こから採掘されたウランは、長年日本など に原発の燃料として輸出されてきた。

しかし、今年3月に起きた福島第1原発事 故後、カカドゥのウラン鉱山周辺の伝統的 土地所有者である先住民ミラル族の長老イ ボンヌ・マルガルラさんは、「自分たちの土 地から掘り出されたウランが日本の原発事 故の一因になった」とし、日本国民への深 い悲しみとウラン採掘中止を訴えた1通の手 紙を国連事務総長宛に送った。

1998年に元ミュージシャンで現在は政治 家のピーター・ギャレット氏とともに、カカ ドゥのジャビルカ鉱山を数千人で封鎖した 大規模抗議運動のシンボル的存在として一 躍有名になり、環境保護に功績のあった活 動家に与えられるゴールドマン環境賞も受 賞しているイボンヌさんに会うべく、我々 はカカドゥへと向かった。



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ダーウィンから東へ約250キロ。カカドゥ 観光の拠点で日本人観光客も多く訪れる人 口1,100人ほどの小さな町ジャビルーに、 当地のアボリジニ・ミラル族の支援団体グン ジェイッミ先住民法人のオフィスがある。

 建物はこぢんまりとはしているが、革張 りの椅子と大きなフラット・スクリーン・モニ ターが設置された立派な会議室もあり、その オフィスのテラスには、月に1度の会合のた め、ミラル族の理事たちが集結していた。

 理事のほとんどは女性で、その中にイボ ンヌさんもいたのだが、写真やニュース 映像の中で拝見していた、数千人のデモ隊 の先頭でウラン鉱山を睨みつける、まるで ジャンヌ・ダルクのような勇ましい姿のイ メージとはかけ離れたシャイな感じの女性 で、こちらがあいさつをすると、はにかん だ笑顔で握手をしてくれた。

 しかし、その後カメラを向けてインタ ビューを始めると、彼女の表情はまるで別 人のように変わっていき、ミラル族の言 葉で「私たちの土地からのもの(ウラン) が、日本の原発事故の一因になったことは 間違ったことで、心から悲しく思う」 と熱 く語ってくれた。

 半ば騙されるようにウラン鉱山開発の同意書にサインをさせられ、失意のうちに亡 くなった父の跡を継ぎ、若くしてミラル族 の長老となったイボンヌさんは未婚。先祖 から受け継いだ土地を守るために、その生 涯を捧げているといっても過言ではない。

 インタビューが終わり、柔和な表情に 戻ったイボンヌさんは、我々をオフィスの 裏庭に呼び寄せ、草の葉で作る伝統的な籠 の作り方を見せてくれた。イボンヌさんに はたいへん失礼だが、その仕草や眼差し は、幼いころ日本の田舎で草笛の作り方を 教えてくれた祖母の姿と重なった…。

※写真:クンガラ地区を見据えるジェフリー・リーさん

◇50億ドルを蹴った男

もう1人、自然の命を育む大地を守り続け る男にも会った。フランスの世界最大の原子 力関連会社アレバ社が権益を持つ「クンガラ・ ウラン鉱床」の伝統的土地所有者、ジョック 族のジェフリー・リーさん(40)だ。

 彼は今年6月、アレバ社の本社があるパリ で開催されたユネスコの世界遺産委員会に乗 り込み、良質なウランが地下に埋蔵されてい るため世界遺産から除外されてきたクンガラ 地区を、世界遺産に付け加えるよう訴えた。

「お金なんて重要じゃない。この大地に意 味があるんだ。今ここを掘り、荒らしてし まうなら、永遠に元通りの姿には戻らない んだ」 。アボリジニの壁画が多数残るノー ランジ・ロックの岩山を見渡す高台で我々の インタビューに答えたジェフリーさん。ア レバ社側からは諸々のインセンティブなど を含め、総額50億ドルにも上る保障が提示 されたというが、日本円にしてわずか20万 円ほどの月給で国立公園のレンジャーを続 ける道を選んだ。

 小柄だがしっかりと前を見据える彼の眼 光の鋭さに、何か戦国武将に相通ずるもの を感じた。「父も祖父も知らなかったが、あ の土の中に毒(ウラン)があることを僕は自 分で学んだんだ」と言うジェフリーさんは、 6月28日、生まれ育った土地の世界遺産への 指定を見事勝ち取った。



◇国連事務総長も何らかの対応を約束
※写真:共同記者会見で記者の質問に答える潘基文国連事務総長(キャン ベラ9月3日)

9月3日、オーストラリアを訪問していた 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が キャンベラでギラード首相と共同記者会見 を行った。我々もその記者会見に出席し、 そこでイボンヌさんの手紙について潘基文 氏に直接質問することができた。

 「イボンヌさんの手紙について考慮されましたか ?」と聞くと、潘氏は「まだその手紙 は受け取っていないが、必ず読んでどうす べきか対応する」と答えた。

潘基文国連事務総長と隣で記者会見に臨 んだギラード豪首相は、2人とも東日本大震 災後に被災地を訪問している。特に潘事務 総長は福島にも足を運び、日本の野田新首 相に対しては「原発事故の経験や教訓を生 かすよう期待する」と述べている。

 イボンヌさんの訴えに関しても、単なる オーストラリアの田舎の1先住民からの手紙 とせず、真摯に対応してもらいたいものだ。

 一方、ジャビルーの住民の多くが世界のウ ランの約10%を産出するレンジャー鉱山で 働いていて、前述したミラル族支援団体の素 晴らしい施設の建設費用の多くも鉱山会社側 からのロイヤリティーから捻出されているこ とを、誤解のないように記す必要がある。

また、ジェフリーさんにも、近隣の別の 部族からアレバ社からのオファーを受け るよう圧力がかかっていることも事実で、 現代社会で生活していく以上、お金が全く 必要ないなどとここで言うつもりは毛頭な い。ただ、日本でとんでもない原発事故が 起きてしまった今、イボンヌさんやジェフ リーさんたちが信じ、そして本当に心配し ていることがあるのだ。

 それは、カカドゥのウラン鉱山周辺の聖 地が荒らされるなら“ジャン”と呼ばれる“壊 滅的な恐ろしい力”が世界に解き放たれると いうアボリジニの伝説だ。

 イボンヌさんの父、トビー・ガンガーレさ んも1980年に撮影されたドキュメンタリー の中でこう語っている「もし鉱山開発が始ま れば、大雨や台風または何か悪いことが起き る。世界中で人を殺しかねないのさ…」。

 もうこれ以上、フクシマのような悲劇が 起きてほしくない…。イボンヌさんやジェ フリーさんは、自分の利益や幸せを犠牲に してまで本当に大切なものを守り、そして 遠い日本のために思いを馳せて立ち上がっ てくれたのだ。彼らの気概は、小さな島国 で自然への畏敬の念を抱き、貧しいながら も尊厳を持って生きてきた本来の日本人の 生き方に通ずるのではないだろうか ?

 「人間が大地を所有するのではなく、大地 が人間を所有する」と考えるアボリジニの 人たちに“ヤマトナデシコ”と“サムライ”の魂 を見たような気がした。

※写真付の記事はこちらから
http://nichigopress.jp/nichigo_news/goleaks/28827/

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