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第十二話 「百日歩く・船岡山の思い出・その2」(近世百物語)
2009年6月5日 14時0分の記事
 
◎近世百物語・完全版
 第十二話 「百日歩く・船岡山の思い出・その2」



 百日のコースに船岡山を選んだのには、特別な理由がありました。
 それは、まだ百日の行をするつもりもなかった頃、ふと、
 「船岡山へ行ってみようか。」と思いたち、とぼとぼと歩いていた時のことです。
 しばらくすると、夕方になりました。

 山に昇った時は、どおってこともなく過ぎたのですが……降りた時、妙な匂いがしました。

 祖母から幼いころに聞いた、
 「鬼が人の腹を裂く時に、血のような、栗の花に似た匂いがする。」と言う言葉を思い出し、
 「違うかもしれないが……きっと、これがそれだ。」と思いました。


 伝承では、この世界に危険とされる匂いが三種類あります。

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はじめまして、播磨陰陽師の尾畑雁多《おばた・かりんど》です。

 陰陽師には京都系統の「都《みやこ》陰陽師」と、播磨の国の「播磨陰陽師」の二種類の系統があります。  播磨陰陽師は、応仁の乱の時に京の都から播磨に戻った陰陽師達の子孫のことですが、播磨の国はもともとの陰陽師達のふるさとでした。

 播磨陰陽師には、夢に関してや、武術のことなど様々な伝承を持ちますが、今回はその中から「不幸のすべて」に関するお話と私が体験した不思議な体験「近世百物語」をお届けさせていただいております。



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