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『読売新聞』の小沢氏報道に対する異常性
[マスコミ評論]
2011年2月2日 16時19分の記事

小沢氏強制起訴 政治的なけじめをつける時だ(2月1日付・読売社説)

 以下、『読売新聞社説』引用 

元秘書3人に加え、自らも刑事責任を問われる事態は、極めて重大だ。民主党の小沢一郎元代表には、政治家としてのけじめが求められよう。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る事件で、裁判所から検察官役に指定された弁護士が、小沢氏を政治資金規正法違反で強制起訴した。

 検察の不起訴処分に対し、検察審査会が2度にわたり「起訴すべきだ」と議決したことによる。政治家の強制起訴は初めてだ。

 小沢氏の起訴事実は、2004年に陸山会が都内の土地を購入した際の原資の4億円を政治資金収支報告書に記載しないなど、虚偽の記載をしたというものだ。

 実際に会計処理をしたのは石川知裕衆院議員ら元秘書だが、小沢氏も事前に報告を受けて了承しており、共謀が成立する、というのが指定弁護士の主張である。

 ◆道義的な責任は重い◆

 これに対し、小沢氏は強制起訴後、「何一つやましいことはない」と記者団に語り、法廷で無実を主張し、争う方針を表明した。「引き続き民主党国会議員として誠心誠意取り組む」とも述べ、離党や議員辞職を否定した。

 強制起訴について小沢氏は、「検察によって有罪の確信を持って行われる起訴とは全く異質なものだ」と主張した。

 刑事裁判の「無罪推定の原則」が通常の起訴よりも強く働き、政治活動の自由がより保障されるべきだ、という独自の論法だ。

 しかし、現職の国会議員が法廷に立たされることは重い意味を持つ。刑事被告人が政権党の中で、隠然と影響力を行使することが果たして許されるのか。各種世論調査で、多くの国民は強い疑問を示している。

 特に小沢氏の場合、石川議員を含む元秘書3人が政治資金規正法違反で起訴されている。その政治的かつ道義的な責任は重い。

 石川議員は起訴後、民主党を離党した。小沢氏についても、菅首相が「政治家としての出処進退を明らかにすべきだ」と語るなど、党内外には、議員辞職や自発的な離党を求める声が少なくない。

 小沢氏は、そうした政治的なけじめをつけることを真剣に検討すべき時ではないか。

 小沢氏がこれまで、国会での説明責任を果たそうとしてこなかったことも、問題である。

 小沢氏は昨年末、自ら記者会見し、衆院政治倫理審査会への出席を表明した。ところが、「予算成立が一番大事で、国会審議を促進するなら」といった条件を付け、出席を先送りし続けている。

 結局、自己保身の論理を優先したということだ。

 民主党執行部の対応も、厳しく問われている。

 ◆証人喚問が欠かせない◆

 菅首相や岡田幹事長は、通常国会召集前の政倫審開催の議決を目指したが、小沢氏を支持する民主党議員らの抵抗などで、断念せざるを得なくなった。

 小沢氏の国会招致は昨年6月の菅政権発足以来の懸案だ。首相は今年の年頭記者会見でも、「政治とカネの問題にけじめをつける年にする」と明言している。

 それなのに、党内の意思統一さえ図れず、政倫審を開けないようでは、まさに「有言不実行」である。政権としての問題解決能力に疑問符がつく。

 小沢氏が政倫審出席という民主党の方針に従わない以上、菅首相は、野党の要求する小沢氏の証人喚問に同意し、国会招致の実現に積極的に動くべきだ。小沢氏に対する離党勧告などの重い処分も、検討に値しよう。

 小沢氏の公判の焦点は、捜査段階で小沢氏の関与を認めた石川議員らの供述調書の評価だ。検察は「具体性に欠ける」と評価しなかったが、検察審査会は「信用性がある」と、起訴議決の根拠として重視している。

 これに対し、石川議員らは「取り調べで誘導があった」と主張し、調書の任意性や信用性を徹底的に争う構えを見せている。

 ◆法廷で真実を語れ◆

 検察官役の指定弁護士は、供述を補強する状況証拠を積み重ね、示していく必要があろう。

 小沢氏は、検察審査会について「秘密のベールに包まれ、民主主義国家の中で特異な制度だ」などと繰り返し批判している。

 だが、検察審査会は、審査補助員の弁護士の助言を受け、法と証拠に基づいて判断している。3人の指定弁護士も、3か月にわたり補充捜査を重ねてきた。

 小沢氏の批判は、検察審査会制度の趣旨を理解しないもので、行き過ぎだろう。

 小沢氏の公判は、夏以降に始まると予想される。小沢氏は「公開の法廷で全国民が分かるまで真実を述べる」と明言した。その言葉を誠実に実行すべきだ。

(2011年2月1日01時19分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110131-OYT1T01145.htm

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 上記は、『読売新聞社説』の引用である。
 『読売新聞』の社説の主張は単純で、
 1、小沢氏の道義的な責任は重い
 2、小沢氏の証人喚問は欠かせない
 3、小沢氏は法廷で真実を語れ
ということである。
 
 すなわち、「小沢氏の場合、石川議員を含む元秘書3人が政治資金規正法違反で起訴されている。その政治的かつ道義的な責任は重い」というわけである。ここには、検察による調書の改竄や国策捜査という視点が全く欠落している。
 石川氏に対する検察の誘導があったことも無視して村木事件の教訓がマスコミには活かされていないことがわかる。

 また、『読売新聞』は
「検察審査会は、審査補助員の弁護士の助言を受け、法と証拠に基づいて判断している。3人の指定弁護士も、3か月にわたり補充捜査を重ねてきた。小沢氏の批判は、検察審査会制度の趣旨を理解しないもので、行き過ぎだろう。」
という。

しかしながら検察審査会が二度、起訴相当の議決をしたとされているが、交代するはずの審査委員が交代しなかった疑いが濃い。また、起訴事実の一部に一度目の起訴相当議決に含まれていなかったものが含まれており起訴議決そのものにも問題がある。さらには、議決の日が代表選の日であり、充分に議論をしていない疑いが極めて高いと言われている。
 このような問題には、全く『読売新聞』の社説は触れていない。

 なお、『読売新聞』は2月1日付けの「編集手帳」にて「前議員バッジ」なるものがあるとして、(小沢氏には)「議員バッジ」より1文字多いバッジ(すなわち前議員バッジ)のほうがふさわしいとまで記している。〈()内筆者補入〉「編集手帳」というより「偏執手帳」と名前を変えるべきでは無かろうか。

 その他、『読売新聞』には、「衝撃 強制起訴」「陸山会裁判」という特集記事があるが、検察批判や、検察審査会批判の立場はほとんど無い。まったくもって、異常事態である。もう少し、様々な立場を取材し総合的な記事を書く必要があるのではないか。このような記事を今後とも『読売新聞』が流し続けるとやがて新聞そのものに対する信用を失墜してしまうと思う。

 新聞メディアは、まさに既得権益の代表選手ではあるが、「社会の木鐸」としての使命を今一度思い起こして、自らも変らねばならないと思うのである。


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