第8話「祖父の思い出」 | |
[播磨陰陽師の独り言] | |
2018年10月8日 19時0分の記事 | |
播磨陰陽師の独り言 第8話「祖父の思い出」 祖母のことは良く書きますが……祖父のことは、あまり書いていなかったと思います。 母方の祖父は、元々『堀部』と言って、堀部安兵衛の血筋だったそうです。 しかし、実父を嫌って、彼の母方の苗字である『村瀬』を名乗っていました。 どこの出身だか、聞いたことはありませんが……若い頃に、人に、だまされて、内地から強制労働に連れてこられたそうです。 いわゆる『タコ部屋』と言うやつです。 タコ部屋について辞書で引くと、 「北海道や樺太の炭鉱などで、監禁同様にして働かせた飯場。そこに拘束された労働者をタコと言った」とあります。 昔は、このような、人権無視の人さらいが、あちこちで人身売買をしていたそうです。 祖父は、その時に……逃げられないように、片足にクイを打たれ……片目は潰されて、生涯、足を引きずっていました。 そのせいか、何の因果か応報かは知りませんが……従兄《いとこ》も、弟も、足の同じ場所に、何らかの大怪我を負っています。 そして私の足も、今は怪我を負って入院しているのでした。 子供の頃、祖父に……タコ部屋について、尋ねたことがありました。 「悪い人に騙されて、北海道に来たんだね」 すると祖父は、 「人に騙されて辛い思いをしても、正直に生きる方が、良い人生じゃ」と言って、笑っていました。 祖父は、誰から見ても正直者として、人から信頼されていました。 祖母は、そんな祖父のことを、堅物の代名詞である「石部金吉」と呼んでいました。 祖父の、若い時の仕事は知りませんが……定年してからは、雪印の工場で、受け付けの警備の仕事をしていました。 会社から、とても信頼されていて、いつも何かもらって来ては、孫達のお土産にしていました。 よく、スキムミルクなどを、貰って来たものです。 あまり、美味しい物ではありませんが……スキムミルクを見ると、祖父のことを思い出して、今でも懐かしくなります。 播磨陰陽師の独り言 前回の話◀︎[もくじ]▶︎次の話
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