カオスに秩序はあるのか? いまだ解決できない物理学上の9つのミステリー | |
2016年4月26日 11時59分の記事 | |
面白い記事があったのでご紹介します。 (シェアさせていただきます)
<全文引用です> イギリスの物理学者のケルビン卿は1900年にこう言った。「もはや、物理学上に新たな発見はないであろう」。しかし、それから30年も経たないうちにアインシュタインによる相対性理論と量子力学によって物理学は革命的な変化を遂げてしまった。現代の物理学者にとって世界はまだ謎に満ちているのである。大手サイエンス系ジャーナルの「Live Science」のレポートによる物理界の9つの「未解決」問題を紹介しよう。 ■ダークエネルギー(暗黒エネルギー)とは何か? 天文物理学者が知りうる物質をすべて加算しても、宇宙を構成するには足りないということに気がついた。そしてそのつじつまを合わせるために、宇宙を構成する足りない物質のひとつを仮説的に「ダークエネルギー」とした。 時空は重力によって内側に引っ張られているにもかかわらず、宇宙全体は膨張し続けており、その膨張速度は加速度的に上昇している。したがってダークエネルギーは負の圧力を持ち、重力によって収縮されるはずの時空を逆に押し広げていると考えられている。 時空の膨張によって広げられた空間には、空間以上にダークエネルギーがあると考えられている。宇宙の膨張の観察によって計算されたダークエネルギーは、この宇宙空間の約70%をしめるというが、まだ誰もダークエネルギーそのものを発見できていない。最新情報は、2015年8月に研究発表されたもので、ダークエネルギーのほんの一部が発見できるかもしれないという場所を探し当てた程度であるという。 ■ダークマター(暗黒物質)とは何か? 観察によれば、宇宙の84%の物質は光を放ったり、吸収したりはしていないという。「ダークマター」は、またの名を暗黒物質と呼ばれるように宇宙空間に存在しながらも見ることのできない物質ということになる。直接確認をとることはおろか、いまだに間接的にさえもその存在の確認はとれていないのだが、放射線や宇宙の構造上の重力の作用などからそこにあるとされている物質である。 ダークマターは、銀河系の周辺部分に充満していて、素粒子物理学の観点からは「WIMPS」と呼ばれる、質量は持つものの相互作用をほとんど持たない素粒子として、天文物理学の観点からは「MACHO」と呼ばれる、電磁波を放出しているものの暗すぎて現時点の観察能力では見つけることができない物質として考えられてはいるが、いまだに発見には至っていない。最新の研究では、ダークマターは宇宙全体に髪の毛のように細長く流れていて、地球からも放出されているとの仮説も出てきている。 ■なぜ時間は一方向に進むのか? 宇宙の特性として、エントロピー(乱雑さ)は増大する一方で、そのエントロピーを逆転する方法がないからこそ、時間は一方的に進むと考えられている。エントロピーの増大とは(ちょっと危険だがものすごく乱暴に言ってしまうと)、水の入っているコップにお湯を注いだ時には自然に混ざってぬるま湯になるが(混ざる=エントロピー増大)、逆にぬるま湯を熱湯と冷水に分離することはできないという例に置き換えることができる。 閉鎖された環境の中では、他からなんらかのエネルギーが加わらない限り、整った状態から乱雑な状態へと進んでいくということで、エントロピーは低い状態から高い状態へと移っていくことになる。そこで問題になるのが、「なぜ宇宙は過去にエントロピーが低い状態であったのか?」という疑問である。言い換えれば、莫大なエネルギーが小さな空間に詰め込まれていたものが爆発し、膨張している宇宙だが、ではもともとの整った状態である宇宙とはどういうものなのだろうか? と、いうことなのである。 ■パラレルユニバースは存在するのか? 天文物理学上のデータにおいては、時空は曲面ではなく完全な平面であり、したがって時空は永遠に続いているものと考えられる。もしそうであるならば、宇宙と考えられている領域は、単につなぎ合わされている多元宇宙(マルチバース)の一部分であることになり、量子力学的にはそれぞれの宇宙には有限の組み合わせ(10の10乗の122乗)が無限に繰り返されていることになるということになる。 有限なモノの組み合わせを無限回繰り返すということは、例えば私たちの宇宙の組み合わせと全く同じ組み合わせをもった同じ宇宙が存在する可能性や、粒子1つ分だけずれている組み合わせ、2つだけずれている組み合わせから、すべての組み合わせが異なっている宇宙まで、無限に平行した宇宙が存在するということになる。このロジックは正しいのであろうか? もしこのロジックが正しいとすれば、その幾重にも平行する宇宙の存在は確認することができるのか? これも、未解決の問題であるとされている。 ■なぜ物質は反物質よりも多く存在しているか? 反物質とは、物質と同じ質量を持ちながら、反対の電荷を持ち、スピン角運動量が反対の素粒子から構成される物質であるが、その反物質はなぜ物質よりも少ないのかが謎のままなのである。物理が、物質と反物質に同様の作用を及ぼすならば、物質自体がなぜ存在しているのかさえも謎になってくる。 物質と反物質が対照的に扱われるならば、ビッグバンによって産み出された宇宙に最初に放出された物質と反物質の量は同等のはずである。つまり、陽子と反陽子、中性子と反中性子、光子と反光子が宇宙の中で同等の量であれば、お互いにその存在をキャンセルしあい、物質は存在しなくなるはずであるが、現実には物質は存在している。最新の研究によれば、一部の反物質の寿命が物質よりも短いことがわかってきてはいるのだが、それだけでは謎はまだ解明していないのである。 ■宇宙の運命はどうなるのか? 宇宙の運命は、宇宙空間の曲率(物質とエネルギーの運動密度を表す)Ωという単位の定数によって定められている。 仮にΩが1よりも大きければ、時空は巨大な球のように閉ざされたものであると考えられる。そこにダークエネルギーが存在しなければ、宇宙はいつか膨張を停止し、逆に収縮し始め、最終的にビッグクランチと呼ばれる特異点に収束すると考えられる。 もしそこにダークエネルギーが存在しているならば、球状の宇宙は永遠に膨張し続けるとされる。Ωが1よりも小さい場合は、宇宙は馬の鞍のような形で、開いたものになる。そして最終的な運命はビッグリップと呼ばれる、宇宙空間が自分の膨張によって引き裂かれた状態となり、ビッグフリーズと呼ばれる超低温の状態になるであろうとされる。 また、もしΩが1であるならば、宇宙はすべての方向に無限に伸びる平面であると考えられる。そこにダークエネルギーが存在しなければ、膨張速度は徐々に遅くなり、最終的には膨張を停止すると思われるが、仮にダークエネルギーが存在していれば、宇宙の膨張は加速度的に高まり、最終的にはビッグリップに陥ると考えられてはいる。しかし、現時点ではその定数Ωがいくつであるかはわかっていない。 ■量子力学でなぜ波動関数は収縮をするのか? 電子や光子などの素粒子の世界は、量子力学の法則によってすべてが支配されている。素粒子は粒子と名がついているが、決して小さなボールのようなものではなく、波のように広範囲にわたって存在していて、その存在は波動関数と呼ばれる数式で表すことができる確率によって存在している。 ごく簡単にいってしまうと、素粒子は波動関数で表される波形であるのだが、それを確認するとその波形としての存在から1つの点になってしまうのである。観察をしなければ素粒子は波動関数の波形として存在しているが、観察によってその素粒子を確認すると、波動関数そのものがなくなってしまうということになる。なぜ、その波動関数が観察によって収縮するのかは謎のままなのである。 ■弦理論(ひも理論)は正しいかどうか? 素粒子が粒のようなモノではなく、一次元的に振動している紐のようなモノであるならば、いくつもの物理の法則をもっと簡単に説明することができるようになる。想像しにくいならば小さな輪ゴムやゴム紐がはじかれて振動していると考えると、少しはわかりやすくなるといわれている。 弦理論によれば、時空を支配する物理の法則と、一般相対性理論と、物理学上の基本的な4種類の力の法則は、弦理論によってひとつの法則に収束することができる。宇宙は10次元もしくは11次元でできていて、3次元プラス時間以外の次元はコンパクト化されてしまっていて認知できないとされる弦理論では、物理学上の多くの謎を解くことができるという。ある意味、究極の素粒子論でもあるのだ。 しかし、そのひもは原子核の1兆の10億乗分の1というサイズであるとされるので、観察・確認することなどは不可能なのである。はたして、その理論が正しいのか正しくないのかは、まだわかっていない。 ■カオスに秩序はあるのか? 実は、水や空気、その他さまざまな液体や気体の動きについては、物理学的にその動き方を解くための完璧な関数や方程式がまだない。流体の運動についてのナビエ・ストークス方程式と呼ばれる微分方程式がそれに近いとされているが、物理学的にも数学的にも不完全で、初期条件を与えなければ計算をすることはできない。物理的、数学的な見地に立てばカオスの性質はまだ理解されていないのである。 もし、このカオスが解明できれば天候を100%の正確さで予測することも可能になるといわれているが、現時点ではまだまだ未知の領域ということである。(文=高夏五道) | |
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