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〈助太刀兵法43〉 北斎蛸踊り(5) (無料公開)
[【時代小説発掘】]
2015年5月17日 12時14分の記事


【時代小説発掘】
〈助太刀兵法43〉 北斎蛸踊り(5)
花本龍之介



(時代小説発掘というコーナーができた経緯)


梗概
 深川のはずれ砂村にある古屋敷に、兆吉たちがひそんでいることを花川戸の藤次が突きとめた。心配する北斎親娘を尻目に、飛十郎はふところ手をすると、近所でも散歩するような足取りで砂村へむかった。
目指す破れ屋敷の近くで奇妙な野良犬に出会った飛十郎は、犬の案内で鬼の棲み家に乗り込んだ。敵は数十人、奇策をたてて一人ずつ退治するが、数人片付けたところで、思わぬ豪剣を使う用心棒と遭遇する。相手が繰り出す難剣に、飛十郎の居合は通用するか? 息を呑む斬り合いがはじまった!


【プロフィール】:
尾道市生まれ。第41回池内祥三文学奨励賞受賞。居合道・教士七段。
現在、熱海に居住している。


これまでの作品:

〔助太刀兵法31〕御家人馬鹿囃子
〔助太刀兵法32〕御家人馬鹿囃子(2)
〔助太刀兵法33〕御家人馬鹿囃子(終章)
〈助太刀兵法34〉夢泡雪狐仇討 ゆめのあわゆききつねのあだうち
〔助太刀兵法35〕夢泡雪狐仇討(2)
〈助太刀兵法36〉夢泡雪狐仇討(3)
〔助太刀兵法37〕夢泡雪狐仇討(4)
〈助太刀兵法38〉夢泡雪狐仇討(終章)
〈助太刀兵法39〉北斎蛸踊り
〈助太刀兵法40〉北斎蛸踊り(2)
〈助太刀兵法41〉北斎蛸踊り(3)
〈助太刀兵法42〉北斎蛸踊り(4)



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【時代小説発掘】
〈助太刀兵法43〉 北斎蛸踊り(5)
花本龍之介



一 隠亡堀

 江戸でも腕ききの岡っ引、といわれるだけあって藤次の仕事は早かった。
 あくる日の昼すぎ、北斎とお栄と飛十郎が町内の蕎麦屋で取り寄せた、ざるをすすり込んでいた時、
「兆吉たちの巣がわかりやしたぜ、早船の旦那」
 藤次が裾前についた土埃を、手ではたきながら入ってきた。
「ほう、早かったな。さすがは花川戸の藤次だ。やつらは、どこにいた」
 蕎麦ちょこの底に残っていた最後の一筋をのみ込むと、そう言って飛十郎は湯桶(ゆとう)から蕎麦湯をつぐと、うまそうに喉を鳴らして飲み乾した。
「へい。隠亡掘の傍の、崩れかけた古屋敷に巣くっておりやした」
 そう言いながら、藤次は三人の前にきちんと膝を揃えて座った。
「隠亡掘といえば、砂村じやったな」
 割り箸ではさんだ蕎麦を、ほんのちょいと割り下にひたすと、北斎は音を立ててすすり込む。
「さようで」
 どこかで耳にした地名だと、首をかしげている飛十郎に北斎が、
「ほれ、大南北の四谷怪談に出てくる場所じゃよ」
 奥歯にはさんだ蕎麦を、指で取りながら教えてくれる。
「それにしても、隠亡堀とは奇妙な名だな」
「近くに焼き場があるから、そう呼ばれてんだよ。芝居で民谷伊右衛門がさ、釣りをして流れてきた戸板を引き上げるだろ。あそこだよ。旦那は、侍のくせに見事なほど、なんにも知らないねえ」
 早くも蕎麦を喰い終ったお栄が、口をはさんできた。
「そういえば、そんな場面があったな」
 どろどろと不気味に鳴る太鼓の音とともに、戸板返しで髪を振り乱したお岩の顔と、小仏小平の顔が入れ替わる仕掛けに驚きながら感心したことを思い出した。
「あっしも見にいきやしたが、何度見てもようございますな。成田屋の色悪の伊右衛門に、音羽屋の哀しげではかないお岩さん。とくに髪すきの場で、お歯黒をつけるとこなんぞは、いつ見てもぞっとするほど見事ですな」
 いかにも芝居通の藤次らしく、三人の話に合わせて知識を披露した。
「なんだ、音羽屋より成田屋が贔屓だと言っておきながら、菊五郎もほめるとは、ちと変ではないか藤次」
 北斎のとがめ立てに、藤次は心外そうな顔をした。
「そいつは違いますぜ、先生。役者の好き嫌いと、いい芝居ってのは、まったく別ものでございますんで」
 うんざりした顔をすると、飛十郎は無精髭をこすりながら藤次と北斎を睨んだ。
「わかった藤次、芝居の話はもういい。その砂村にある古屋敷というのは、どんなところだ」
 飛十郎にきめつけられて、藤次は面目なさそうに頭を掻いた。
「あいすいません。芝居のことなると夢中になるのが、あっしの悪いくせで。へい、その屋敷には数年前までは、無役の小旗本が住んでいたんですが、相手もあろうに夜鷹と心中しちまったんで」
「ほう。旗本と夜鷹が心中とは珍しいな。で、二人はどうなった」
「死にましたが、もちろんお家は断絶でさあ。不吉だってんで、誰も住まず屋敷は荒れほうだい。近所の連中も夜鷹屋敷と呼んで、気味悪がって近寄る者はいないようでございます」
「ふむ。そこへ、これ幸いとばかりに兆吉たち無頼の若者たちが住みついたわけだな」
 飛十郎はそう言って、蕎麦ちょこを傾けると底に残っていた蕎麦湯をうまそうに飲み乾した。
「なんじゃ。あいつらは夜鷹屋敷を、ねぐらにしておったのかい」
 筆を動かす手を止めて、北斎は口をはさんだ。
「へい。北斎先生は、あの屋敷のことをご存知で?」
「ああ。あのへんは、よく絵を描きにいったからな。中までは知らんが、枝ぶりのいい松の木が何本か塀越しに見えたな。もっとも塀といっても、あちこち崩れ落ちてな、どこからでも忍び込める代物(しろもの)じゃ」
 それを聞いて、飛十郎はにやりと笑いながら立ち上がった。
「ならば、ことは簡単だ。北斎どの、これから行って孝太郎を連れ戻してくる」
 刀を帯に差すと、右腕を袖に入れてふところ手になると、近所で遊んでいる子供をむかえに行くような顔で、土間へむかった。
「すまんが藤次、その夜鷹屋敷とやらへ案内してくれ」
「へい、もちろんで。じゃ、北斎先生ごめんなすって」


二 悪党の巣

 雪駄(せった)に足を通して、藤次が来るのを待っている飛十郎を見ながら、お栄はあきれ果てたような顔をし
「なにを脳天気なことをいってんだよ。裾継あたりの岡場所で、居続けしている孝太郎をむかえにいくのとは、わけが違うんだよ。わかってるのかい」
「なんのことだ」
 ふところ手の指を、衿の後ろから出して頭を掻くと、飛十郎はわけがわからん、といった顔でお栄を見た。
「あきれたねえ。あの夜鷹屋敷ってのは、兆吉たちだけが巣くってるんじゃないんだ。ゆすりたかりが本業の無頼浪人や、女をさらって地獄宿へ叩き売る鬼女衒や、人殺しなんざへとも思っちゃいない悪党たちが大勢たむろしている所なんだ。ひとりやふたりで乗り込んだひにゃ、命がいくらあっても足りないよ」
「ほんとうか、藤次」
 どことなく楽しげな声で、飛十郎が聞く。
「そうらしゅうございますな」
「うむ。おもしろい」
 飛十郎は、愉快げに無精髭をこすった。
「おやめなよ。手足の骨を折られるだけじゃすまないんだよ。死んじまうんだ。命をとられちまうんだよ」
「そいつは、ますます楽しみだ。ちょうど躰がなまってきたところだからな。腕だめしにちょうどいい」
 お栄は、地団太を踏むように、古畳を飛びはねた。
「ちくしょう! これだけいっても、まだわかんないのかい。人がこれだけ心配してるのに、なにが楽しみだよ。そんなのん気な顔で行っても、帰りは戸板の上に乗ってるといってるんだよ! 悪いことはいわないから、やめときな」
「ほほう。おれの心配をしてくれているのか、お栄は」
 笑いをこらえるような顔で、飛十郎はお栄を見た。
「ようやくお前にも、飛さんの良さがわかってきたとみえるの」
 北斎が鼻の頭を掻きながら、お栄の顔を皮肉な目で見た。
「べら棒め! だれが汚ねえ貧乏浪人の、心配なんかするかい。こいつらが死んじゃ、孝太郎を助けだせないからいってるんだ」
 憤然とした顔をすると、お栄は手に持っていた割り箸を、飛十郎めがけて投げ付けた。「おっと。危ねえ、危ねえ」
 ひょいと首をすくめて、飛んできた割り箸をかわすと、にやにやしながら無精髭を指でつまんだ。
「おい、お栄。おまえに汚いといわれる筋合いはないぞ」
 座敷中に散らばった描きそんじの反古紙や、喰い散らかしの折箱や、竹皮や糸屑や綿ぼこりに目をやって、飛十郎は苦笑いをした。
「おきゃあがれ! わっちは、この家の嬶(かかあ)でも、女中でも賄い婦でもないんだ。北斎の娘で弟子なんだ。この部屋が気に入らなきゃ、とっとと出ていきゃあがれってんだ!」
 血相を変えて掴みかかってくるお栄の見幕に、飛十郎は慌てて路地へ逃げ出した。
「くわばら、くわばら。藤次、女ってのは怒ると怖いもんだな」
「まったくで。けど旦那、お栄さんは、ほんとに北斎先生の弟子なんですかい」
 裏店の、狭い路地のどぶ板を鳴らしながら、藤次が聞いた。
「そうらしい。絵草子問屋から頼まれて、黄表紙の挿絵を描いているのを見たことがある。一人前に画号も持っているようだな。やはり、父親の血筋だろうな」
「へええ、そうですかい。人は見かけによらねえ、とはこのことでござんすねえ」
 藤次は感心したように首を振った。
「ふ、ふふ、いつか武者絵を描いているのを見たことがあるが。なに、その武者よりお栄のほうが、よっぽど怖い面(つら)をしておった」
 飛十郎の軽口に、藤次が思わず吹き出した。
 大笑いをしながら、肩を並べて歩いていく浪人者と岡っ引きを、行きかう物売りや、店の奉公人たちが不思議そうな顔をして見送った。


三 夜鷹屋敷

 夜鷹屋敷は、深川十万坪をのぞむ石川町のはずれにあった。
 北斎が言った通り、屋根瓦は波うち、土塀は何か所も崩れ、野良犬や猫が気軽に出入りできるように見えた。
「うむ。あたりは見渡すかぎり、田圃や畑ばかりだ。これならば、悪党どもが酒盛りや博奕で大声を上げて騒ごうが、町奉行所の与力や同心の耳には入らんな」
「へい、おっしゃる通りで。多いときには数十人のならず者や無宿人たちが集まって、騒いでいるらしゅうございます。なかには、お尋ね者もまじっているようですが。あっしら岡っ引きが七、八人たばになってかかっても歯が立ちやせん。なにしろ暴れ者ぞろいの火付け盗賊改めの旦那がたが、手を出せねえそうですから」
 あまり感情を表に出さない藤次が、この時ばかりはくやしそうに唇を噛んだ。
「そうか。ならば、おれがこれから乗り込んで、兆吉やその仲間や手向かう悪党どもを叩きのめしても、どこからも苦情は出んな」
 指でぽりぽり胸元を掻きながら、飛十郎はあたりを見廻した。
「そりゃもう、苦情どころじゃございやせん。奉行所は大助かりで、」
 と言ったあと、藤次は小首をかしげた。
「大助かりでございやすが。こいつは、いくら早船の旦那でも、ちっとばかし無理じゃございませんか」
 腰の十手を引き抜くと、藤次は肩を叩きはじめた。
「ふ、ふふ。藤次の目でも、やはり無理か」
 頭を掻くと、飛十郎は苦笑した。
「なんせ相手は、少なくとも十五、六人から上はおりやす。旦那が居合の達人ってのは、ようく知っておりますが。飛び道具こそないものの、刀はもちろん長脇差、匕首をはじめ竹やり、六尺棒やこん棒のたぐいまで揃えているそうでございます」
「そうか。そいつは、ちと面倒だな」
 思案するような顔で、無精髭をつまむ。なに、考えるまでもない。飛十郎の気持はとうに決まっている。
「旦那、お栄さんの言う通りだ。戸板に乗って帰るはめになっちまいますぜ。どうか、おやめなすって」
 飛十郎の胸の内を読み取ったのか、藤次の顔色が変わった。
「どうあっても打ち込むってんなら、旦那どうか、あっしが手先を連れて戻ってくるまで、お待ちくだせえ四、五人でも、ひとりで行くよりましだ」
 思わず十手を横にして、藤次は飛十郎を押し止どめるようにした。
「馬鹿をいうな。あやつらは、お前の可愛い子分たちではないか。おれの身を守るために使えるか」
 飛十郎は、十手を押しのけるようにして歩き出した。
「いいから、ここにいろ藤次。すぐに孝太郎をつれて戻ってくる」
「けど、旦那。もし連中が、手当たりしだいに竹やりや六尺棒を投げつけて、押し寄せたらどうなさるんで? たとえ早業で一人や二人斬ったって、おっつきませんぜ。押し倒されりゃ、おしまいだ」
「は、はは。藤次、おまえは思ったより苦労性だな。心配するな、なんとかなる。これまでも、なんとかなった。人生とは、そういうものだ」
「そんな、無茶な。切った張ったは、人生とは関係ありませんぜ」
 我慢強い藤次も、さすがに堪忍袋が切れそうな顔で、飛十郎を睨んだ。
「なにごとも、やってみなくてはわからん。といっているのだ。真剣勝負は、とくにそうだ。いいから、そこをどけ」
 大手を広げて、とうせんぼをしている藤次を、飛十郎はぐいと押しのけた。
「旦那、どうかお願いだ。あっしだけでも、お供させてくだせえ」
 すがるような目をして、藤次は言った。
「だめだ。桃太郎の鬼退治ではあるまいし、お供なぞいらん。よく聞け、藤次。お前がいると、かえって足手まといになるのだ。孝太郎のように、やつらに捕まって人質にされてみろ。それこそ、どうにもならん。おれは、刀を捨てねばならん。わかったか」
 飛十郎が、決めつけるように言い放つと、藤次は素直にうなずいた。
「へい。さようですな」
「よし。聞きわけがいいぞ、藤次。おとなしく、ここで待っていてくれ」
 道を開けた藤次に、にこりと笑いかけると、飛十郎はふところ手になった。
「おれが、ならず者たちを片付けて、孝太郎を追い出すからな。捕り縄でもなんでも掛けて、ひっとらえておいてくれ」
「え! 孝太郎さんは、北斎先生のお孫さんでしょう。お縄にしてもいいんですかい」
「かまわん。どうせ同じ穴のむじなだ。あやつが、もう少し真面目に生きておれば、北斎どのもこんな苦労はせずともよかったのだ。なんなら、その十手で二つ三つぶん殴ってもいいぞ」
「そうですかい。じゃ、遠慮なくこれで」
 藤次は二の腕まで袖をまくり上げると、十手を顔の前にかざした。
「思いっきり、殴り飛ばしてやりやしょう」
「おう。たのむぞ」
 飛十郎は、無精髭をひとこすりすると、顔見知りの家でも訪ねるような気楽な足取りで歩き出した。
「そうだ。聞いておいたほうが、いいかも知れんな」
 五、六歩行ったところで足を止めると、むずかしい顔で引き返してきた。
「夜鷹屋敷というからには、今でも夜鷹稼業の女たちが出入りしているのか」
 夜鷹というのは、昼間は樹上でねむり、夜になると動き出して餌をあさる。別名・蚊吸鳥(かすいどり)とも呼ばれる鳥のことである。それが転じて、暗くなって土手の柳の下や道端で客の袖を引く、下級な売女のことをいう。
「へ。それが、なにか」
「いや。女たちが居るとな、どうも思い切って動けないからな。怪我でもさせると、寝ざめが悪い」
「それは、おやさしゅうございますね」
 なんだそんなことか、という顔で藤次は笑った。岡っ引きにとっては、夜鷹女なぞ人の数には入らないらしい。
「お天道さまが出ているうちは、ぐうぐう寝て日が沈むと起き出して動き廻る、夜働きの小悪党や盗すっ人や博奕うちどもが巣くってるんで、夜鷹屋敷と呼ばれてるんで。あっしが調べたとこじゃ、女なんぞ一人もいないようでございます」
「そうか。それなら心おきなく討ち込めるな。藤次、一刻(二時間)たっても、戻らなかったら。お栄の言い草ではないが、戸板の上だと思ってくれ」
「旦那、困りますぜ。そんな縁起でもねえことを、言いなすっちゃあ」
 藤次は、不安そうな声を出した。
「この世の中は、一寸先は闇だ。なにが起こるかわからん」
「もし、おれが死んだら、骨はひろってくれ。たのんだぞ」
 にやりと笑って手を上げると、歩き出した。
「冗談は言いっこなしですぜ、旦那。帰ってこねえと、迎えにいきますよう!」
 夕暮れの青く澄みきった空気の中を、呼び掛ける藤次の声が鳴きはじめた田圃の蛙の声にかき消された。


四 老いぼれ犬

 田の畦(あぜ)を抜けて、埃っぽい道を夜鷹屋敷にむかってのんびりと歩いていると、何処からあらわれれたか野良犬が道の真ん中にうずくまると、後足で耳の横を掻きはじめた。病い持ちなのか、茶色の毛が半ば抜け落ち、横腹に肋骨が浮いて見える。みすぼらしい老犬である。
「おい、どうした」
 声をかけた飛十郎を、しばらく眺めていたが何を思ったものか、のっそりと立ち上がると案内するように先に立って夜鷹屋敷にむかって歩き出した。
「うふふ。こやつ、おれの手助けをするつもりか……。面白いやつだ」
 飛十郎の、つぶやき声が耳に届いたのかどうか。少し行くと野良犬は立ち止まって、尻尾を振りながら待っている。
「や、待たせたな。すまん」
 飛十郎の言葉がわかるのか、見上げて顔を見ると安心したように歩き出す。屋敷を囲んだ道をぐるりと廻ると、ひっそりとした人気のない場所へ案内してくれた。
「そうか。ここから入れというのか」
あたりを見廻した飛十郎が、感心したほど淋しい所である。日が沈みきったとみえて、遠くにうっすらと見える下総の山々と筑波山のむこうから、急速に空が暗くなってきた。
「わるいが、喰う物はなにもない。案内料は後払いにしてくれ」
 言葉の意味がわかったものか野良犬は、
「う、うう」
 不服そうに唸ると、両袖を振って見せる飛十郎に背中を見せると、塀の破れ穴から慣れた足取りで屋敷の中へ入っていった。
「さて、と。せっかくだ。ここから入って見るか」
 犬と話しているあいだに独り言の癖がついたものか、ぶつぶつ言いながら野良犬のあとを追って、塀に開いた大きな穴をくぐり抜けた。飛十郎が姿をあらわした所は、荒れ果ててはいたが夜鷹屋敷の広い庭の築山の後のようだった。築山の上には雑木や背丈ほどもある雑草が生えて、よじ登ってあたりを眺めても誰もいなかった。
――これでは広すぎて、どこに孝太郎や兆吉がいるのか見当がつかん……
 飛十郎が顔をしかめた時、築山のむこうの大きな池に面した母屋に、灯りがともって男たちの騒ぐ音や笑う声が聞こえた。
「しかたがない。仕掛けてみるか」
 つぶやくと飛十郎は、築山を降りていった。


五 始末勘定

――先手必勝、うろうろして見つかれば、元も子もなくなる。囲まれて身動きできなくなれば、それまでだ。騒ぎを起こせば、兆吉が顔を出す。その後を追えば、孝太郎の居場所が自然とわかる道理だ……
 胸の内でそう思案すると、飛十郎は姿勢を低くすると、雑草のあいだを母屋にむかった。
 大きな池である。水音がするのは鯉か鮒か、あるいは雨蛙が住みついているのだろう。苔むした庭石から顔を覗かせると、池をへだてた母屋の座敷が手に取るように見える。広さは、十八畳はあろうか。行灯や燭台の明りに照らされて、盆茣蓙が敷いてある。賭場を開帳する前らしく、部屋の隅で浪人者が三人、茶碗酒をあおっているのが見える。部屋へ入ってきた男が、腹に巻いていた晒(さらし)の中から賽子(さいころ)を二個とり出すと、所在なげに転がしはじめた。
 飛十郎は庭石にもたれて、指を折りだした。
―座敷に四人。兆吉の仲間が、およそ六人とみて、まず十人か。悪党どもがあと四、五人いるとして、合計十五人ほどか。それ位なら、なんとかなるが……
 なんと銭勘定ならぬ、始末勘定をはじめたものだ。
「ま、そうは問屋がおろすまい、な」
 飛十郎がそう小さくつぶやいた時、がやがや騒ぐ人声と共にざっと十二、三人の男たちが部屋に入ってきた。いずれも、すばしこそうな身のこなしで、ひと癖もふた癖もある面構えをしている。侍は、いない。刀を持っているのは、酒を呑んでいる三人の浪人者だけである。
 飛十郎は、また指を折りはじめた。
「しめて、二十三人か……」
 しぶい顔をして、無精髭をごしごしこすりはじめた。この男の困惑した時の癖である。 目の前の男たちの中には、昼間見た兆吉の仲間はひとりもいない。
――ということは離れか土蔵か、いずれにしても別棟にいるということになる。ならばここいる十七人を早めに片付けなくてはならん、ということだな……
「兆吉一味に気づかれると、面倒になる」
 やれやれ、というように頭を掻くと、飛十郎は庭石の陰から後ずさりしはじめた。
 いかに飛十郎でも、部屋にいる十七人の無頼どもに一気に襲われては、手のほどこしようがない。ここは気長に待って、二、三人づつ始末するのが一番いい兵法ということになる。
 座敷から見えない所までくると、飛十郎は立ち止まった。木綿の古袴には雑草の葉や実が、無数にこびり付いている。袴の裾をはたこうともせず、顎の先に手をあてて飛十郎は、黒い布を広げたように暮れはじめた夜の空を見上げた。一番星が明るく輝きはじめたが、飛十郎は気付ていない。


六 潮来節

「ふむ。やはり、厠で待つか……」
 この規模の屋敷だと、便所は少なくとも二個所ある。室内に一つと、屋外に一つである。飛十郎の狙いは外に設置している使用人のための厠である。蒸し暑くて暗い屋内の厠で用を足すより、広々した星空が見える厠ですます方が、よほど気分がいい。飛十郎なら、そうする。
 母屋の板壁に添って裏手に歩いていくと、台所の入口らしい格子戸が見えた。その手前に朽ち果てた小屋が見えたが、それがどうやら目指す外厠のようだ。近付くにつれて、江戸市中どこを歩いても鼻につく、なじみの香りがぷんと臭ってきた。
 飛十郎は帯から刀を抜き取ると、厠のうしろに生えている大きな松の根元に腰をおろした。江戸もここまでくると空気が綺麗なのか、すっかり暮れた夜空に数え切れないほどの星が明るく煌めいている。ときおり星空をひらひらと黒く横切るのは、羽虫を捕らえるために飛びかっている蝙蝠であろう。
 かなり待たされると覚悟していたのが、意外に早く格子戸が開く音がした。
「は、ははは、妙じゃのう。わしが尿意をおぼえて厠ヘ立つと、きまってお前があとについてくる」
 人影が二つ、もつれあうようにして厠へむかって歩いてくる。
「へ、へへ。連れしょん、というやつで。けど不思議でござんすねえ。先生が席をお立ちになると、あっしも必ずいきたくなるんで」
 下帯をたくしあげる気配がしたかと思うと、すぐにひそやかな水音が二筋聞こえてくる。二人のうちの町人のほうが、上機嫌に鼻唄をうなり出した。
「潮来出島の真菰のなかに、あやめ咲くとはしおらしや。と、くらあ。先生、どうです。いい唄でしょう」
「なんだ、それは?」
「潮来節ってんで。芸者衆がお座敷で唄って、いま大流行りでさあ」
「ほほう。知らなかったなあ」
 刀を落とし差しにしたほうが答えたとき、後ろから飛十郎がその浪人の肩をぽんと叩いた。
「おう」
 仲間だと思って気軽に振り向いた浪人の脇腹にむかって、刀の柄頭を叩き込む。袴をたくし上げたまま、浪人は声もたてずに崩れ落ちた。
「てめえ!」
 驚愕した町人が振り向く前に、飛十郎は鉄鍔で首の付け根を殴りつけた。
「うっ」
 低いうめき声を出して、町人の躰が後ろへひっくり返った。気絶した二人の襟首を掴んで、飛十郎は松の根元へ引きずっていくと、もたせ掛けた。浪人者の懐から手拭いがはみ出しているのを見ると、四つに引き裂いて素早く手首と足首を縛りつけた。
「まず、二人」
 にんまり笑って手をはたくと、二人と肩を並べるようにして、また松の木に背中をもたせ掛けた。
 四半刻(三十分)ほどして、凶悪な顔の遊び人ふたりの、連れしょん組が厠にきたのを同じ手口で始末したが、後が続かなかった。
「これで四人か、まだ十三人のこっているな。ここは、あと三人は片ずけておきたいとこだが……」
 独り言をいいながら指を折っていた飛十郎が、顔をしかめて星を見上げた。
 しかし、いくら待っても、後はぱったりと姿を見せない。厠に行った仲間が、いつまでたっても帰らないのを、別に不審とも思わないらしい。博打というものは、それほど人を熱中させるのか。およそ賭博的なものは、寺社の富くじから賭け碁、賭け将棋おろか駄菓子屋の札めくりまでやらない飛十郎は、首をひねりながら無精髭をなぜ廻した。
「これは、いかん」
 いたずらに時刻が過ぎれば、敵の数が増えるだけだ。飛十郎は立ち上がると、うろうろと松の木の周囲を歩きだした。
――ちと手にあまる人数だが、やってやれぬ十三人ではあるまい。なに頭株を二、三人倒せば、あとはひるむに違いない……
 半分は神だのみの策だったが、飛十郎が座敷に乗り込む決心をして一歩足を踏み出したとき、ふいに誰かが袴の裾を掴んで引き止めた。ぎょっとして飛十郎は振りむいた。


 
七 犬の策略

 気絶した四人の中の一人が、息を吹き返したのかと思ったが、違った。道案内をしてくれた、老いぼれ犬だった。
「なんだ、きさまか。どうした? 袴をはなせ」
 野良犬の口から袴を振り離そうとしたが、唸るだけでいっこうに口を開けない。
「う、うう」
 ちぎれるように尾を振って、四本の足を踏ん張る姿は、飛十郎をどこかへ連れていこうとしているように見える。
「わかったよ。いけばいいんだろう、いけば。今度はどこへ案内する気だ」
 野良犬に話しかけながら素直に歩きだすと、安心したように噛んでいた袴を離して、尻尾を振り振り先に立って歩き出した。
 老いぼれ犬は、厠と勝手口を離れると裏庭にむかって歩いていく。炭小屋らしい納屋や壊れた大八車が、星明りにぼんやりと照らされている。その先の荒れ果てた庭のむこうの、木立の間に土蔵があった。
 白壁は無残に剥がれ落ち深いひび割れが走っているが、小さな窓と観音開きの出入り口からは明りがもれていた。
「うむ、そうか。ここが兆吉たちの、寝ぐらだな」
 思わず出た飛十郎のつぶやきを裏づけるように、土蔵の中からどっと笑う若者たちの声があがった。
土蔵から少し離れた場所に離れ座敷のような建物が見えたが、これは用心棒の浪人たちの部屋に違いない。
「よく教えてくれた。これでは案内料を値上げしなくてはならんな」
 しゃがみ込んで野良犬の耳の後ろを掻いてやると、うれしげに飛十郎の顔を舐めはじめた。
「やめろ。なめるのは、かんべんしろ」
 無精髭を舐められて、閉口して立ち上がったとたん、策がひらめいた。
「この手があったな。おい、ついてきてくれ」
 くるりと振り返ると、飛十郎はふところ手をすると、さっさと来た道を引き返していった。
 勝手口の前に立つと、追ってきた老いぼれ犬にむかって、恐い顔で拳を振り上げた。
「こら! いつまでも、おれにまといついて、うるさいやつだ。ぶん殴るぞ」
 睨まれて、いぶかしげに首をかしげていた老いぼれ犬は、それでも身の危険を感じたのか、低く唸りながら後ずさりした。が、動きはそれだけで、大声で吠えようとはしない。哀しげな表情で、飛十郎を見上げているだけである。
「いいか、野良公。たのむから吠えてくれ。きさまが鳴かんと、芝居の幕があがらんのだ」
 懇願するような顔で、あたりを見廻していた飛十郎は、落ちていた太い枝を見つけて拾い上げた。枯れ枝を大きく振りかぶって威嚇したが、なんの反応もない。仕方なく飛十郎は、犬の足をめがけて枝を叩きつけた。とたんに尻尾を振るのをやめた野良犬は、白い牙をむき出すと猛然と吠えかかってきた。
「よしよし、その調子だ。いいぞ、もっと吠えろ」
 にやりと笑うと、飛十郎は続けざまに枝で地面を叩いた。
「おれじゃない。そっちへ吠えろ」
 言い聞かせながら勝手口を指差すと、ようやく理解したような光が犬の丸い目にひらめいた。向きを変えると、中にむかって凄まじい声で吠えはじめた。
「なんだ、どうした!」
「なにか起きたのか」
 話しながら廊下を踏み鳴らしてやってきた二人につづいて、三人目が刀を帯に差しながら姿を現わした。
「この吠え声は、ただごとではないぞ。気をつけろ」
 その声が消えないうちに勝手口に走り入った飛十郎は、乱雑に脱ぎ捨てた履物の中から自分の草履をさがそうと下を向いた男二人の鳩尾(みぞおち)めがけて、つづけざまに刀の柄頭を叩きつけた。
「う、わっ」
 腹に晒(さらし)を巻いた遊び人たちは、悲鳴をあげて背中の派手な彫り物を見せるように倒れ込んだ。遅れてきた浪人者は剣の心得が相当あるらしく、飛十郎が放った鋭い抜き付けを、ひらりと身をひる返して躱(かわ)した。
 無双直伝英信流居合の初発刀は〔正座・前〕と呼ばれる横一文字の抜き付けである。この抜き付けが浅い場合、刀を反転させ頭上に大きく振りかぶり四十五度の角度から振りおろす。これが英信流居合の技前すべての基本になる。
 抜き付けを躱した浪人者にむかって、飛十郎は目にも止まらぬ早さで、刃筋の音も鋭く半ば身をひねった背中にむかって斬り下げた。これを予期したように、浪人者は倒れ込むように地面に膝をつくと、抜いた刀の刃で頭上すれすれに受け止めた。がちり、と刃と刃が噛み合う音がして二人の顔に、玉鋼の鉄片が跳ね散った。飛十郎と浪人者は、同時に顔をしかめた。刃こぼれした刀を研ぎ師に出して研ぎ直す高額な費用が、頭に浮かんだからである。
 刀で刀を受ける場合、鎬(しのぎ)か棟で受けるのが、斬り合いのときの侍の心得であった。これが出来なかったということは、浪人のほうに余裕がなかったということである。当然、飛十郎は勝ったと思ったのだが、それが違った。


八 質草秘剣

「むむっ」
 力まかせに押しても引いても、浪人の刀はにかわで張り付けたように、びくとも動かなかった。これは剣の技も互角なら、力もほぼ同じということだ。これでは時間ばかりかかって、らちがあかない。飛十郎は、しぶい顔をした。
「どうだ。ものは相談だが、刀を引かんか」
 目の前の浪人の丸顔にむかって話しかけた。
「だめだ。そうはいかん」
 丸顔の下半分が、髭に埋まっている。その髭面の口が動いてそう言った。飛十郎の無精髭など勝負にならないほど髭が濃い。
「どうして、だめなんだ?」
「用心棒代をもらっているからな。その代金分は働かんとな」
 聞いた飛十郎も、答えた浪人者も、顔に冷や汗を浮かべている。
「ふ、ふ。今どきの用心棒にしては、律儀ではないか。気に入ったぞ」
「あんたに、気に入られても、仕方がない」
 答えた浪人の腕の筋肉が、かすかに震えている。
「ま、そういうな。ところで、なんという名だ。おれは早船飛十郎、剣は無双直伝英信流だ」
 そう言う飛十郎の腕も、震えはじめる。
「飛十郎とは、また変わった名だな。おれは、両角(もろずみ)周五郎だ」
 白い歯を見せて笑ったが、すぐに歯を喰いしばった。
「そろそろ、限界だ。どうだ、両角さん。一、二の三で離れんか」
「これでは、どうしょうもないか。いいだろう。ただし、早船さん、柄打ちや、足蹴りはなしだぞ」
「あたり前だ。おれは、そんな卑怯なことはせん」
「よし。信用しょう」
 この言葉が終ったとたん、飛十郎と両角周五郎が、ぱっと飛び離れた。その瞬間、両角は高々と刀を垂直に立てた。左右の肘を折り曲げるようにして、右耳の横に突き出している。
「お。その構えは、蜻蛉(とんぼ)。珍しい、両角さんは示現流を使うのか」
 示現流の構えは、蜻蛉が尾を立て両羽根を広げた姿に似ているところから、呼び名が付いたと言われている。
「示現流は、薩摩の御止め流と聞いているぞ。両角さんは、元は薩摩藩士だったのか」
「そうでごわす」
 両角は頭上に刀を立てたまま答えた。黒々とした髭の上の丸い目が、くるりと動いた。愛嬌のある表情は、蜻蛉そっくりだ。
「と、いいたい所だが。おれは江戸生まれだ。おまけに、侍でさえない。本郷の質屋のせがれだ」
「自分から言うとは、正直な男だ。質屋のせがれが、どうして門外不出の秘剣を習うことが出来たんだ」
 飛十郎はそう言いながら、ゆっくりと両腕を脇にたらした。刀は飛び離れたときに鞘に納めていた。
「質草だ。新吉原の遊女に惚れて金に困った若侍が、島津公拝領の短刀を質入れにきた。流れれば腹切りものだ。泣きついてきたから、示現流伝授と引き替えに短刀を返してやった」
「ふうむ。面白い話だ。だが、町人あがりにしては、相当な使い手にみえるが」
 両拳を軽く握りながら、飛十郎は言った。それを見て、人の良さそうな両角周五郎の顔が引き締まった。
「英信流の受け流しでは、受けきれんと思うがな、早船さんよ」
 示現流の稽古は、地面に埋めた太い棒杭めがけて、ゆすの棒で撃ち叩く。立木打ち、ただそれのみである。鹿児島の町角や、藩士の家の庭には必ずこの棒杭が立ち、朝から晩まで暇さえあれば撃っていたといわれている。その斬撃の破壊力は凄まじく、うかつに受けようものなら刀は二つに折れ散るか、刀もろとも頭まで割られるという。
「そうだろうな。その昔、関ヶ原の合戦で、わずか千名たらずの薩摩勢が伊吹山方面に退(しりぞ)こうとせず、総大将の島津義弘の下知により徳川勢八万のど真ん中を敵中突破し、堺港に着いたときには、わずか八十名あまりになっていたのは有名な話だな」
 飛十郎はそう言うと、白い歯を見せて笑った。
「よく知っているな」
「なあに、祖母どのの寝物語で聞いたのよ。そのおりの白兵戦で、示現流の初太刀を受け止めた東軍の将兵たちが、刀もろとも兜まで撃ちおろされ昏倒したというが、あれは本当かな、両角さん」
「ほんとうだ」
 両角周五郎も、蜻蛉の構えをしたまま白い歯を見せた。
「その島津越えの功名で、藩公から短刀を賜(たまわ)った勇者(もののふ)の子孫から、この耳で聞いたのだから間違いない」
「なるほど。その子孫というのが、短刀を質入れにきた薩摩藩士というわけか」
「そういうわけだ」
 居合腰をさらに低く下げながら、飛十郎は思案した。
――受け流しは、その名の通り右手の刀を額の上五、六寸(約二十センチ)ほどで敵の刀を斜めに受け、左横下ヘ流す技である。
 並みの流派を相手なら通用するが、示現流の斬撃を受けるのは無理だ。となれば相討ちを覚悟して、斬り上げるしかなかった。
                  
             了〈助太刀兵法44・北斎蛸踊り―6―につづく〉












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