年金を早めに受け取りたい方は、個人自営業の方が多いようです。株価が急騰し景気が回復しているような雰囲気を醸し出していますが、地域で商売をしている高齢自営業者は、その恩恵をあずかれていないのが実態のようです。
国民年金――基礎年金は受給開始年齢が65歳なのですが、60歳まで繰り上げることができます。ただ、ここで注意しなければならないのは、早めに受け取ると、早めに受け取る月数ごとに一定割合の減額があることです。通常は、1ヵ月早く受給を開始すると、0.5%減額されます。
つまり、5年間(60ヵ月間)の早めの受け取りになるので、65歳になってもらい始めるフル年金額の30%減の年金額になってしまうことを指摘すると、「えぇっ!」と絶句します。「65歳になれば、元の年金額がフルでもらえるんですよね?」との質問に、「いいえ、亡くなるまでずっと減額のままです!」との指摘で、蒼ざめた表情になります。
それはそうでしょう!「ずっと減額されたままの年金額しか受け取れませんね」と冷ややかに言われたら、二の句が継げなくなります。
しかも、繰り上げで受給すると、60歳以降に重い病で障害者になっても障害年金をもらえないし、ご主人が亡くなった後に寡婦年金を受給できなくなってしまいます。ここまで説明すると、自営を手伝っている専従者の奥方は「それ、止めましょう!」と打ち切ります。
それと、当然のことながら国民年金を60歳から受給する手続きを取ると、国民年金の任意加入ができなくなります。それはそうでしょう、国民年金をもらっているのに、任意加入制度で国民年金を支払うなんて――もらって、出すの繰り返し――堂々巡りみたいになります。
年金は支払った年金料を運用(最近は博打みたいに、株式市場で運用している割合が増えています)して支給しているので、その意味では「もらって、出す」の自転車操業と同じでは、国民年金制度は立ちいかなくなります。すでに立ちいかなくなっている感はありますが、年金本来のベースを変えるわけにはいきません。任意加入ができないのは、普通に考えてみれば分かることです。
だからといって、人の寿命は分からないので、「早めにもらいたい」という気持ちも分かります。しかし、物は考えようで、健康診断を毎年欠かさず行い、結果が思わしくなかった部分を徹底的に調べてもらい、65歳まで第一線で事業に精を出して、65歳一区切りをつける方がいいでしょう。
5年後に事業が好調なら繰り下げ受給をして、1ヵ月間で0.7%の割増措置を受けられる方が手取りの年金額は増えます。ただ、70歳までの42%割増しをお勧めできるかというと、そうではないので、毎年のライフプランニングのローリング(見直し)をお勧めしています。
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迷ったらまずはFPにご相談ください。ライフプランニングの面で何歳辺りから基礎年金を受給すると、いいのか概略が分かって安心できるはずです。
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