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胎盤形成と細胞間相互作用
 
2017年8月6日 9時56分の記事

コピー(下書きメモ) 公開設定に変更 2020.5.14



Structure of the NOTCH2 protein. Based on PyMOL rendering of PDB 2oo4.



胎盤形成と細胞間相互作用
Members
助教
濱田 義雄
技術支援員
権田 尚子

陸生脊椎動物は地上生活を行うために乾燥から身を守る方法を獲得しなくてはなら
なかった。は虫類や鳥類の胚は乾燥を防ぎ、かつ水中と同じ環境を保つために様々
な組織や構造物で保護されている。胚は羊水で満たされた膜(羊膜)の中で成長し、
その胚の成長に必要な栄養供給源となる卵黄は卵黄膜に包まれ、胚によって作り
出される老廃物は尿膜の中に貯蔵される。胚の呼吸は卵膜を通して行われる。これ
ら全てが固い構造物の卵殻に包まれている。哺乳類は卵黄と同時に卵殻を失い、そ
の代りとして母体の子宮に着床するようになった。それにより乾燥を防ぎ、栄養や
酸素を母体から吸収し、老廃物を母体に渡すように進化した。ヒトやマウスの胎盤
は呼吸に必要な卵膜と老廃物を貯蔵する尿膜が一体化した組織である。われわれは
Notch2 遺伝子を通してみた、マウスの胎盤の発生や進化を研究している。

図:発生中のマウスの胎盤での血流。
母親の血液は図の上から下方に向かって胎盤の中に入ってくる。一方、胎児の血液は図の下から上方に向かっ
て入る。胎盤の中では双方の血液は合胞体栄養細胞に依って仕切られる。A,B,C は妊娠 9.5, 10.5, 11.5
日頃の胎盤の模式図である。

 胎盤は哺乳類の胚が発生するために必要な栄養物や酸素を
母体から吸収し、老廃物や二酸化炭素を母体に渡す器官であ
る。図1に示しているようにイヌ、ブタ、ウシ、マウスの胎
盤の形態は変化に富んでいる。
 この器官の目的は効率の良い母子間の物質交換である。そ
のためには(1)物質交換が可能な面積の拡大、(2)母子
の血液を可能な限り接近させること、そして(3)双方の血
液が混じり合わないように間にバリアーが形成されることが
不可欠である。マウスでは臍から伸び出した胎児性血管が胎
盤の中で絨毛のように枝分かれ、表面積を広げている。また、
母親の血液が胎児性の栄養膜細胞に直接触れながら流れるこ
とによって胎児の血液の間近に母親の血液がくるようになっ
ている。母親と胎児の血管の間には多核の合胞体栄養細胞が
形成され、これが母子間のバリアーとなると同時に物質交換
の場となる(左ページ図)。
 われわれの研究室は1人の研究者と1人の技術補佐員で構
成され、乏しい研究費で胎盤の主要研究テーマである (I) 胎
児性の血管形成と (II) 母親の血流形成について研究を行って
いる。これまで行ってきた Notch2 遺伝子の発現やその変
異マウスの解析の研究成果に基づいて独自の視点から (I) と
(II) についてアプローチしている。
胎児性の血管形成
 胎盤では尿膜の細胞(将来の臍帯)が栄養膜細胞層上の
Gcm-1 遺伝子を発現しているところから侵入し、栄養膜細
胞層の中に空間を形成する。出来上がった空間中に胎児性血
管が形成される。Notch2 遺伝子は尿膜細胞で発現してい
るが、侵入個所の尿膜由来と考えられる細胞にはこの遺伝子
の発現は見られない(図2)。尿膜細胞は均一な細胞集団で
はなく、栄養膜細胞層への侵入とその後の血管形成に役割
が分化している細胞の集まりであると考えることが出来る。
我々は栄養膜細胞層に侵入する細胞の性質を解析することに
より、胚体外組織の血管形成について新たな知見を得たいと
思っている。

図 2. 尿膜細胞の栄養膜細胞層への
侵入と Notch2 遺伝子の発現。
妊娠 9.5 日では Notch2 遺伝子の
発現は尿膜細胞と合胞体栄養細胞
より母親側にある栄養膜細胞(青く
塗ってある)に検出される。胎児の
血管が入りところでは尿膜細胞由来
と思われる細胞には Notch2 遺伝子
の発現は見られない(白い細胞)

母親の血流形成
 母親の血液は互いに強く接着している上皮性の栄養膜細胞
の間を流れる。この血液の流れ道がどのように出来るのかが
我々が胎盤の研究を始めた動機である。Notch2 遺伝子の
変異は血液の流れが出来ないために胚への栄養供給が出来な
くなり胚致死となる(1)。Notch シグナリングが母親の血
流形成に関与していることが知られるようになった(3、4)。
母親の血液の流れは栄養膜細胞が消失することによって出来
上がることを発生生物学的手法により証明しているところで
ある。また、その消失は necroptosis によって起こされて
いる可能性を探っている。
 われわれの体が正しく形成されるには様々な細胞間相互作
用が必要である。分化誘導、細胞融合、細胞増殖、細胞選
別、細胞の排除等がその相互作用の結果として引き起こされ
る。これらの現象に関与する分子は相互作用の種類によって
異なっている。胎盤の形態形成ではこれらの全ての現象が2
〜3日の間で行われる。われわれは胎盤固有の問題を取り上
げ、それが体全体の問題になり得るかどうかを常に意識して
いる。例えば、胎盤では多倍体の細胞が多数見出され、何故
存在出来うるかを解明することはわれわれの体が2倍体の
細胞で出来ている基本原理にせまることになる。


Notch 2   Alagille syndrome   Hajdu–Cheney syndrome

Notch 2
From Wikipedia, the free encyclopedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Notch_2

ノッチ2
ウィキペディアから、無料の百科事典
NOTCH2
Protein NOTCH2 PDB 2oo4.png
利用可能な構造
PDB オルソログ検索: PDBe RCSB
PDBのIDコードのリスト
識別子
エイリアス NOTCH2 、AGS2、HJCYS、hN2、Notch-2、notch 2
外部ID MGI: 97364 HomoloGene: 7865 GeneCards: NOTCH2
遺伝子オントロジー
RNA発現パターン
PBB GE NOTCH2 202445 s at fs.png

PBB GE NOTCH2 212377 s at fs.png

PBB GE NOTCH2 202443 x at fs.png
より多くの参照発現データ
オルソログ
種 人間 マウス
Entrez
4853

18129

アンサンブル
ENSG00000134250

ENSMUSG00000027878

UniProt
Q04721

O35516

RefSeq(mRNA)
NM_001200001
NM_024408

NM_010928

RefSeq(タンパク質)
NP_001186930
NP_077719

NP_035058

ロケーション(UCSC) Chr 1:119.91 - 120.07Mb Chr 3:98.01〜98.15Mb
PubMed検索 [1] [2]
ウィキダータ
人間の表示/編集 マウスの表示/編集
ノッチ2としても知られている神経原性ノッチホモログタンパク質2は、ヒトにおいてNOTCH2 遺伝子によってコードされるタンパク質である 。 [3]

NOTCH2は、 Alagille症候群 [4]およびHajdu-Cheney症候群と関連している 。 [5]

内容
1 機能
2 インタラクション
3 参考文献
4 さらに読む
5 外部リンク
関数 [ 編集 ]
ノッチ2はノッチ・ファミリーのメンバーです。 このタイプ1膜貫通タンパク質ファミリーのメンバーは、複数の表皮成長因子様( EGF )反復からなる細胞外ドメインおよび複数の異なるドメインタイプからなる細胞内ドメインを含む構造的特徴を共有する。 Notchファミリーのメンバーは、細胞運命の決定を制御することによって、様々な発達プロセスにおいて役割を果たしている。 Notchシグナル伝達ネットワークは、物理的に隣接する細胞間の相互作用を調節する進化的に保存された細胞間シグナル伝達経路である。 ショウジョウバエでは 、その細胞結合リガンド(デルタ、鋸歯状突起)とのノッチ相互作用は、発生に重要な役割を果たす細胞内シグナル伝達経路を確立する。 ノッチ - リガンドのホモログもヒトにおいて同定されているが、これらのリガンドとヒトノッチ同族体との間の正確な相互作用は未だ決定されていない。 このタンパク質は、 トランスゴルジネットワークにおいて切断され、細胞表面上にヘテロ二量体として提示される。 このタンパク質は、膜結合リガンドの受容体として機能し、血管、腎臓および肝臓の発達において役割を果たす可能性がある。 [6]

PESTドメインを除去し、 ナンセンス媒介性mRNA崩壊を免れるNotch2の最後のコードエクソン内の突然変異は、 Hajdu-Cheney症候群の主な原因であることが示されている。 [7] [8] [9]

インタラクション [ 編集 ]
NOTCH2は次のものと対話することが示されています。

デルタ様1 [10] [11] [12]
GSK3B 、 [13]
JAG1 、 [10] [11] [14]および
JAG2 。 [11]


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