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『読売新聞』10月15日「社説」に喝「かぁぁつ」
 
2010年10月16日 9時57分の記事

取材源と信頼関係を築いて歴史の真実を明らかにする。冤罪(えんざい)を生み出す検事の不正を調査報道で暴き出す――。

 今年度の新聞協会賞(編集部門)を受賞した二つの特報記事は、報道の使命、記者の原点を具体的に語って余りある。

 本紙の「核密約文書 佐藤元首相邸に 存在、初の確認」は、記者が、文書を保管していた元首相の次男、佐藤信二・元通産相に5年近くにわたる取材の末、公表にこぎ着けたものだ。

 「おやじ(元首相)がどう考えたかわからないが、歴史に真実を残すことが大事だと思う」。公表に際し信二氏は、記者に言ったそうだ。深い信頼関係があったからこそ報道を任されたのだろう。

 関係者の証言などがあっても、外務省は長く「密約はない」と言い続けてきた。こうした論争に終止符を打つ、歴史的意義は大きいと言える。

 もう一つ、朝日新聞の「大阪地検特捜部の主任検事による押収資料改ざん事件」の特報は、他紙ながら見事というほかない。

 主任検事がフロッピーディスクを改ざんしたようだ、との情報をつかみ、取材班は関係者からディスクを借り受け、その解析結果を検察幹部にぶつけた。

 最高検が捜査に乗り出し、今や検察組織の見直しが迫られる事態にまで発展した。新聞の調査報道の威力を十分に見せつけた。

 最近のメディア批判の中には、公権力機関とメディアの「距離の近さ」を指摘する声が多い。

 郵便不正事件でも、捜査段階では検察情報に寄りかかった報道が散見された、との批判がある。客観的で対等な報道を心がけてはいるが、そうした指摘は真摯(しんし)に受け止めたい。

 常に公権力をチェックし、不正や不作為、うそがあればそれを批判的に報道するのがメディア本来の役割だ。読者が期待するのも、そうした調査報道だろう。

 本紙の世論調査では、新聞の報道を「信頼できる」と答えた人は87%で、ここ30年、高い率を維持している。

 新聞や放送の報道に携わる者は、読者・視聴者の信頼を裏切ってはなるまい。先日は、NHK記者が大相撲野球賭博事件のさなか、捜査情報を親方に漏らしていたという不祥事が露呈した。

 きょうから新聞週間。「きっかけは小さな記事の一行だった」が代表標語だ。記事の一行が読者の背中を未来へ押すこともある。

 日頃の報道を再点検したい。

(2010年10月15日01時21分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101014-OYT1T01340.htm

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 『読売新聞』は、
朝日新聞の「大阪地検特捜部の主任検事による押収資料改ざん事件」の特報に対して、他紙ながら見事というほかないと高く評価している。
という。

 確かに、朝日の記事は一応評価できるが、読売新聞の立場としては、発表がなぜあのタイミングであったのかという点について厳しく問わねばならないのではないかと思う。この問題はかなり早い時点から大きな問題となっていたようである。そうであるならばなぜ朝日の発表がここまで遅れたのかということも問題である。
 このことで思い起こされるのが、小沢氏の代表選や強制起訴の議決の日程である。安易な陰謀論に立脚するものではないが、やはり発表のタイミングに問題があるようにも見える。
 いわば、この問題の発表のタイミングに対する取引があったのではないかと云うことを厳しく監視するのが新聞社としての責任ではないかと思う。したがって、新聞社としての社会的責任感が少なくともこの社説からは、はっきりと見えてこないように思うのである。

 また、『読売新聞』は、

 最近のメディア批判の中には、公権力機関とメディアの「距離の近さ」を指摘する声が多い。
 
 常に公権力をチェックし、不正や不作為、うそがあればそれを批判的に報道するのがメディア本来の役割だ。読者が期待するのも、そうした調査報道だろう

とする。

 それならばなぜ、検察審査会の問題点について述べないのか。特捜検察が持つ、捜査や起訴の権限は公権力の中でも群を抜いている。その特捜検察の権力よりもさらに上回る権力を持っているのが検察審査会である。もちろん、検察審査会そのものが無用というわけではないが、ここまで大きな権力を行使する検察審査会が「ブラックボックス」化している現状についてなぜ言及しないのか。この点については、読売新聞の姿勢を厳しく批判したい。

 最後に、「本紙の世論調査では、新聞の報道を「信頼できる」と答えた人は87%で、ここ30年、高い率を維持している。」と自画自賛しているが、このようなことをするようでは『読売新聞』もおしまいである。むしろ、社内改善にこそ世論を使うべきであり自分の正当性を示すのに世論を使うべきでない。新聞週間に当たり、『読売新聞』には、今一度言論人としての自覚を持って欲しいと願う。


村木氏の問題については、以下のブログを参照させていただきました。
http://blog.goo.ne.jp/teramachi-t/e/bdbcdc760d07ae62ed58089e79cc4f18

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