仲介会社から「重要事項説明に関する情報の提供」との指摘を受けているわけですから、確実に売買に関連する「重要事項説明書」を作成する上で必要な情報を集めるために、管理組合に問い合わせを掛けているのは間違いありません。
ご自分がその不動産を購入する際に売主のマンション開発会社や仲介会社から売買契約前に交付された「重要事項説明書」をご覧になると分かりますが、かなり事細かな項目が列挙されています。これらの項目をもれなく記載する義務が売主側仲介の不動産会社にはありますので、分からない部分があったり、売主側が言っていることや書面に記入したことが真実なのかなどを確認する意味で、管理組合に問い合わせを行います。
特に、管理費や修繕積立金の滞納が発生していながら、売主側が真実を隠し、正しく書面で申告せずに、売買契約を締結した場合、仲介の不動産会社に対し、「重要事項説明に関わる調査義務を怠ったとして、後々に訴訟になると敗訴するとともに、業務停止の行政処分を受ける羽目になりますので、慎重になるのは当たり前です」
その意味で、管理組合役員の方からの情報が頼りなわけで、逆の見方をすれば、仲介の不動産会社は売主側のいうことを全面的にん信用していません。あくまでも管理組合からの情報を「真実」として、それを基に売主側の言い分や提出書面の内容が正しいのかをチェックするわけです。
ただ、管理組合の規約や毎年度定期に開催する通常総会の資料の管理責任は組合にはなく、管理組合員である売主となる現所有者ということになります。規約がなかったり、総会資料がある年度分だけ抜けて不足していたりした場合は、最終的に管理組合が対応することになります。
注意点としては、管理会社が入っている場合を指摘しますので、参考にするといいでしょう。規約や通常総会の資料などは現所有者に保管義務がありますから、写しを有償で発行することはできます。「手間もかかるので、事前に規約については有償で郵送代別の代金が掛かるがよろしいか」と仲介の不動産会社に尋ねて了解を取れば、「有償で頒布」ということになります。おおよそ規約の写しについては1,000円から数千円の再発行手数料、総会資料は1枚100円だったり、各年度で500円だったりまちまちです。自主管理型の管理組合であれば、理事会や総会で発行手数料を決めておくといいでしょう。
それから、仲介の不動産会社から連絡があった場合は、まずは担当の宅地建物取引士かどうかを確認し、そうでなければ、担当の宅地建物取引士から連絡を寄越すように伝えてもらえばいいです。重要事項説明書に署名・捺印が必要で、最終的な法的な責任を負うのが宅地建物取引士なので、管理組合に連絡を入れ、管理組合の担当役員と直接にやり取りするのは、担当の宅地建物取引士でなければならないからです。
そこで管理組合としてもう一つ確認が必要な書面としては、「媒介契約書」の有無です。本当に売主側から売買媒介の委託を受けて、規約や総会資料などを請求しているのかを確認する義務は、管理組合にあります。委託を受けていない不動産会社にうっかり出してしまうと、管理組合の管理責任を問われる可能性があるので注意しましょう。
次いで、仲介の不動産会社には、知りたい項目が何かを文書で送ってもらうことです。手紙やファックスでも構いませんが、電子メールの方が記録に残るので、「受け取っていない」「返信がない」のミスを防ぐことができます。その際には、仲介の不動産会社が売主側から聞き取り調査を行った際の書面があるので、一緒に送ってもらいましょう。空欄が分からなかった部分なので、管理組合側としては「その部分を埋めればいいのか」を確認すればいいわけです。
不動産会社ごとに書式は異なりますが、記入を求めてくる項目はほぼ同じなので、1回作成しておけば、マンションで売買が発生した際には、使い回しが効きますので、大きな負担にならずに済みます。
人(管理組合)に物事をお願いする際には、お願いするような言い方があります。依頼の仕方、どういう情報が必要なのかなど電話連絡1本で話した内容で、仲介の不動産会社の実力を推し量るバロメーターにもなります。そういう別の視点で不動産会社を眺め、組合の中で評価を行っておくのも必要でしょう。
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不動産の実務に即して少し詳しく説明しました。「不動産会社の実力を推し量るバロメーターね…」。宅地建物取引士の有資格者でもいろいろいます。「こんなんで大丈夫か?」と買主側の宅地建物取引士に思われているのもいるのも事実です。買主側の宅地建物取引士にも、集められる情報をすべて集める必要があり、相違な部分を売主側に再度確認するよう伝えることもあります。マンション売買だけでなく、不動産売買の仲介は売主側であれば神経を非常に使います。買主側の数倍の神経を通常は使うはずですが…みなさん、どうですか。
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