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経済のファンダメンタルズ
[日本の政治]
2016年3月30日 23時51分の記事

3月30日、経済産業省が発表した2月の鉱工業生産速報値は前月比マイナス6.2%で、2カ月ぶりのマイナスとなり、その低下幅は2011年3月以来、4年11カ月ぶりとなる大きさとなったと報道されています。

「鉱工業生産、2月は前月比6.2%減 4年11カ月ぶりの落ち込み」(2016年3月30日 ロイター)

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昨年末から現在にかけてGDPや消費支出などの指数は軒並みマイナスになっています。そして、今回、鉱工業生産指数も大きなマイナスとなっています。政権の閣僚からはこの間、経済のファンダメンタルズは問題ないとの発言が相次いできましたが、そろそろそう言えなくなってきているのではないでしょうか。
実際には経済のファンダメンタルズは既に大きな問題を抱えるに至っていると考えます。これらの指数に加え、様々な要因があるにせよこれまで日本の産業のフラッグシップであった家電メーカーは買収、整理という状況に直面しています。そして、その状況に日本の企業や国が、救済などの対応を実は出来ないというもう一つの深刻な側面があるものと考えます。既に経済のファンダメンタルズは脆弱になっており、このことに至った原因は外部要因ではなく、構造的な問題と考えますし、政権の経済政策に大きな問題があったと考えています。このことはこれまで何度も申し上げてきました。マクロ経済政策をやってきたにもかかわらず、それが何の効果も上げていないのは、効果を上げるためのポイントを押さえていなかったと同時に、一方で反対のことをしてきてすべてを相殺してしまったと言うことです。
労働環境の問題、可処分所得の問題、税制の問題、保育所の問題、少子化の問題、社会基盤の問題などこれから問題を一貫した方向性で動かさずに、それぞれ個別の論理で処理し、また経済政策においても方向性を整理できなかったと言うことです。方向性が整理できないとは、それぞれの方向が相殺すると言うことであり、それでは効果は期待できません。
日本人の潜在力を心から信じていますが、その潜在力をマイナスにしてしまう様々な政策が、マクロ経済政策の推進の一方で行われてきたということと考えます。そして、まだその潜在力を発揮させるための新しい経済財政政策が現われてもいません。多くは個別の状況に目をとらわれて全体の方向性を見失っているものと考えます。
首相の経済対策の検討指示や補正予算などについて報道されています。ただ、これらは構造的な問題に対して明らかに一時的な施策に過ぎないものと考えます。それでは問題は解決しません。若年層の消費の落ち込みがひどいので、商品券を配るという発想と同じものです。付け焼き刃に等しいものです。また対応も遅いとも考えます。

「首相、経済対策の検討指示へ 補正予算10兆円の見方も」(2016年3月30日 朝日新聞)

安保法制が施行されましたが、まだ本格的な運用は選挙前なので避けているものと考えます。

「参院選前リスク隠し 安保関連法施行 政府・与党、批判避け利点強調 野党『大きな分岐点』」(2016年3月29日 北海道新聞)

恐らく、この発想は経済政策にも通ずるものと考えます。即ち、選挙前だから経済政策を打つと言うことなのだろうと考えます。もちろん、これでは構造的な問題は解決できませんし、選挙後の経済は必然的にきついものになるものと考えます。実際、政権においては経済のファンダメンタルズは問題ないという状況判断ですから、その状況で経済対策というのは当然、論理的には一時的なものになります。ただ、実際は経済のファンダメンタルズが悪いことを目の前にして、対処のしようがなく、選挙前ということで一時的な経済政策を打ち出すというのが実相と判断します。
構造的問題をつくり出した者が、新しい構造を作り上げることができるとは考えません。そして、そもそもそれをつくり出した責任問題があります。現在の日本には新しい基軸が確実に必要なものと考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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