投げた言葉は倍になって返ってくる | |
[日本の政治] | |
2017年9月30日 0時54分の記事 | |
28日、安倍首相が街頭演説をし、新党ブームを批判し、与党への支持を呼びかけたと報道されています。 「安倍首相 民進党の事実上合流を批判 与党支持を呼びかけ」(2017年9月28日 NHK)
上記のNHKの記事では、安倍首相は以下のように訴えたと書かれています。 この中で安倍総理大臣は、民進党が「希望の党」に事実上、合流する方針を決めたことについて、「1990年代の新党ブームの結果、政治は混乱し、日本は長い経済の低迷に突入した。そして2009年の民主党ブームでいよいよ混乱を極め、日本からどんどん雇用が失われた。ブームからは決して希望は生まれない」と述べました。(同上) 1990年から現在までの約27年間で、新党ブームによって政権が変ったのは約4年間です。民主党政権は新党ではありませんでしたが、実際の所、これら二つの政権はどちらも短期で何もできないうちに終わってしまったというのが本当でしょう。事実上、自民党の長期政権が続いているに等しく、明らかにこの間の政治責任の大半は自民党にあることは間違いありません。まずその責任感がこの言葉には見当たりません。 また演説では以下のように訴えています。 そのうえで安倍総理大臣は「今回は、日本の未来をどの党に託すのか決める選挙だ。日本を守り抜き、子どもたちの未来を切り開くことができるのは、私たち自民・公明の連立政権だ」と述べ、支持を呼びかけました。 少子化はこの27年間ずっと言われてきたのに、自民党長期政権において解決されることはありませんでした。27年目にして安倍首相が少子化対策を先頃、明示的に表明しました。しかし、このことは本当なら第二次安倍政権が発足してすぐにいわれなくてはならないことですし、それから5年近く経っていますから、当然、結果が出ていなくてはなりません。しかし、そのようなものはなく、今頃になって少子化対策を言っているわけで、未来の子どものことを本当に考えているとは明らかに言えないでしょう。辻褄があっていません。少子化対策も上記の言葉も明らかに選挙対策と考えます。 さて、新党ブームが本当に問題なのかと考えます。基本的に問題ではないと考えます。そして、政治を乱すこともないと考えます。それは現与党ではないからです。新党をつくることは別に問題ではなく、それを問題視するというのなら、それは明らかに思想弾圧ですし、国民から選択肢を奪うことになります。だからといって希望の党を全く評価しませんが、新党が生まれ、ブームになる、即ち国民の選択を批判することは、国民に向って「こんな人たちには負けない」と叫んだことと明らかに同じで、“首相”として非常に問題がある言葉と考えます。ブームとはいずれにせよ国民の選択なのです。 実際、安倍首相がさすこれまでの新党ブームの本質は、与党としての自民党政治の行き詰まりや、自民党の政治能力や政権担当能力の低下、そしてスキャンダルなどで国民の不信感が増大した結果です。そうでなければブームになることはなかったわけです。実は問題の源泉は自民党自信にあったわけです。 第二次安倍政権発足後これまでの約5年間は、旧民主党政権の体たらくへの国民の不信感がつくり出した一種の新党ブームであったわけです。だから、今や問題となっている安倍チルドレンが大量生産されたわけです。そして、安倍首相はつい最近まで、政治において責任を負う与党であるのに、野党である旧民主党批判を繰り返してきました。それは、そうすることが政権浮揚に結びつくと考えたからと考えるのが自然でしょう。 ただ政権期間が長くなるとそれはできなくなりますし、また現状は、かつての新党ブームのように加計学園問題や森友学園問題で、国民の不信感が増幅し、そのことに対して国民の納得がいく対応ができなかった政権担当能力が明らかに問題となっているのです。だから新党という選択肢に国民が注目するわけです。その新党ブームは、かつてと同じく自民党政権への不信感の裏返しであるわけです。 もし、首相が今年中盤に辞任していれば、このような状況にはなっていなかったでしょうし、自民党にとっては恩恵になっていたでしょう。しかし、国民の不信感が残ったまま続投しました。新党ブームの問題の源泉は明らかに首相自信にあるわけです。自分で原因をつくって、それを批判しているわけです。そして、このツケはこれから自民党を追い込んで行く可能性は極めて高いのです。 | |
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