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果たして吉と出るか、凶と出るか――トランプ感染 ?
[日本の政治]
2020年10月3日 23時59分の記事

トランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染というニュースが飛び込んできました。毎日、毎日、色々なニュースが次から次へという感じがしますが、普通に考えて、大統領選挙戦終盤でのこの感染はトランプ陣営にとっては大打撃でしょう。ボブ・ウッドワード氏の新著「Rage(怒り)」では、3月中旬にトランプ氏が新型コロナウイルスの危険性について認識していたことが書かれていますが、その危険性に対してトランプ政権が真摯に、そして全力で取り組んできていれば、米国での感染と被害の状況は現在よりはるかにマシな状態であったことでしょう。そして、そうなっていれば大統領選挙は8月の段階で不戦勝と言える状況でトランプ氏圧勝はすでに確定していたことでしょう。そして何よりも、今回のように本人が感染するということも、もちろんなかったことでしょう。


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しかし、そのようにしてこなかったので、新型コロナウイルス感染状況は世界最悪、選挙戦はトランプ氏劣勢、その上選挙戦終盤で本人が感染するという最悪の事態となっているわけです。
とはいうものの、トランプ氏の感染が、今後、吉とでるか凶とでるかは、選挙投票日まで、まだ1ヶ月ほどあるので、わかりません。選挙は最後の3日間で決まるとよく日本では言われますが、アメリカでもこのことは通用するでしょう。
政治リーダーが、新型コロナウイルスに感染したり、健康問題を抱えて、支持率が上がることがあります。ブラジルのトランプと呼ばれた同国大統領であるボルソナロ氏は、感染後に支持率が上昇するということが、実際、以下の記事のように起きています。この新型コロナウイルス感染や健康問題をどのように有権者が受け止めるかは、様々な要素が絡み、一概には言えないのです。

「ブラジル ボルソナロ大統領は感染後に支持率上昇」(2020年10月3日 NHK)

ボルソナロ氏は、そのキャラクターがトランプ氏のようで、ブラジルのトランプと呼ばれてきたわけですが、新型コロナウイルス対策とその失敗もまた同じくトランプ氏並です。ブラジルでは14万人が新型コロナウイルスの犠牲になり、その数は世界で2番目に多く、人口100万人あたりの死亡率は米国以上です。同国の防疫対策は米国同様、完全に失敗、経済も低迷し、最悪になっています。
これはボルソナロ氏が、コロナはかぜと危険性を軽視し、マスクを外せと狂ったように叫び、その上、無謀に経済を回せといったことの結果ですが、それで10ヶ月間において14万人の犠牲者が出ているわけです。ボルソナロは以下の記事のようにマスク着用をことごとく否定して、新型コロナウイルスを軽視し続けて14万人の方々なくなっているのです。記事にあるように三密でマスクをするなと言って、また人命より憲法を優先してマスクをつけさせない屁理屈をこねているわけです。本当に狂っています。ブラジル憲法に人命と人権の尊重が書かれていないことはないでしょうから、人命を奪う狂人の屁理屈なのです。生存が最大の人権なのです。
記事には以下のように書かれています。


しかしボルソナロ氏は、「商業・産業施設や宗教の礼拝所、教育施設および人々が集まる密閉された場所」ではマスクを着用しなければならないと明記されている条項は違憲だと主張。商談や会議が行われる密閉された場所に関する文言を引き合いに出し、「自宅が違反に当たる可能性」があると述べた。
 ボルソナロ氏はまた、店舗や企業による従業員へのマスク提供や、公共機関による「経済的弱者の人々」へのマスク配布を義務付けた条項についても拒否権を行使している。

「ブラジル大統領、マスク義務化法に拒否権 弱者への配布も却下」(2020年7月4日 AFP)


そして、さらに弱者への配慮もまったくしないわけで、トンデモナイ大統領であるわけです。間違いなく頭がおかしい大統領なのですが、そのことによって14万人が犠牲となっているのです。はっきりいって人殺しです。
以下の記事でもボルソナロはマスクは効果がないといっているわけです。

「ブラジル、感染者350万人超える 『マスクに効果なし』と大統領―新型コロナ」(2020年8月21日 時事通信)

そして、以下の記事のようにブラジル経済は、当然、最悪の状態になっています。要するに新型コロナウイルス防疫対策を疎かにして経済を回せば、疫病は蔓延し、そして経済も最悪になると言うことなのです。明らかにボルソナロの政策行動は殺人と破壊と同義です。

「ブラジル失業率13.8% 5〜7月、コロナで過去最悪」(2020年9月30日 日本経済新聞)

本ブログでは何度も指摘していますが、徹底した感染拡大防止をし、新型コロナウイルスを押さえ込まない限り、経済は成り立たないのです。疫病が蔓延している時に経済が成り立たないことは、子どもでもわかることです。
その上、以下の記事のように、ブラジルでは貧困家庭向けの現金給付策の拡充を財政赤字拡大懸念で断念したとありますが、普通に考えて、これでさらに経済は打撃を受けることになります。需要が喚起されないということもありますが、それ以上に、このことでブラジル社会はさらに傷つき、不安定になるからです。貧困者がさらに困窮すれば、社会不安が生じ、さらに困窮し、社会は一層不安定化していくという負の連鎖が必ず生じるのです。

「ブラジル大統領、現金給付拡充を断念 財政赤字拡大懸念で」(2020年9月16日 日本経済新聞)

ブラジルはまず、全力で感染の収束傾向をつくり出して、抑えこみ、その間、経済・社会の下支えをするしかありません。それを半年など一定期間続けないと、今後もトンデモナイ数の人々が犠牲になることでしょう。そして、そうなれば必ずそのことが負の遺産となり未来の社会不安をつくり出していきます。ワクチンが出きても、国民の命を守ると政治が決意を示さない限り、社会には必ず禍根が残るのです。
ブラジルは、感染防止は中途半端、それでいて社会の下支えをしないのですから、経済は言うまでもなく、社会そのものが崩れていくのは自明です。経済は、健全な社会にしか成り立ちません。社会基盤が崩れていては経済は上向かないのです。それは疫病が蔓延している社会で経済が成り立たないことと同じなのです。ボルソナロは明らかに新自由主義者ですが、社会よりお金の儲けを優先させるその思考の常として、社会を壊し、経済を壊していくのです。何も生み出さない、消費・破壊行為なのです。
新自由主義では、一部の人たちに一端は富が集中していきますが、その後、社会と経済全体は壊れていきますから、最終的にその一部の人たちもその崩壊を呑み込まれていくのです。誰も勝者がいない。要するに新自由主義というのは利己的な滅びの哲学なのです。それが何も生み出さない、消費・破壊行為という意味です。
社会を安定させ、発展させるには国民の命を守り、育むしかないのです。そう決意して、前へ進むしかないのです。
しかし、そのようなどうしようもないボルソナロ氏なのですが、感染後、支持率が上がっているわけです。端から見ていれば、早くボルソナロ氏を取り替えてしまった方が良いと思ってしまいますが、逆にこの無能キチガイ大統領への支持が上昇するということが生じるわけです。これは、ボルソナロが新型コロナウイルスに感染するという健康問題が浮上して、同情が生じ、反対派であっても敵意が和らぐなどのことがあるのでしょう。また、健康問題を抱えている人に対して批判もしにくくなります。

「果たして吉と出るか、凶と出るか――トランプ感染 ?」(2020年10月4日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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