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『モーソー1号』8
[『モーソー1号』]
2009年3月7日 1時34分の記事



今週から学校が毎日2時間授業〜♪しかもまともが授業なぁい♪♪
ノッカも思わず歌いだしちゃうような極楽な平日です(^O^)〜♪
今日はお父さんが特別講師としてわがS高校に赴き、進路講話をしました!
・・・・・もっとも、受け持ったクラスは私たちのクラスではないけど(*´U`*)
それなりに力を発揮できたらしいので、ほんと良かったですw


今日はナゾノクサくんです♪
前に一度擬人化イラストを書いたことがあったんだけど・・・もう忘れた!だからこれでいいやっ!!

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〜私の小説〜
『モーソー1号』8

 「泣いてみて」
 泣き顔クンが急に言ったから、あたしはちょっと驚いだけど、やってみようと思った。
 無理やり悲しいことを思い出した。寂しかったことも、感動したことも思い出した。目に涙は浮かんだけど、流れては行かなかった。
 「やっぱり難しいね」あたしは両目をこすった。
 「じゃあ、笑ってみて」
 笑顔ちゃんの一言で、あたしは瞬く間に笑顔を作った。
 「笑顔はとっても簡単だね」
 あたしは率直な感想を述べて顔を戻す。
 「ねぇ、表情を無理やり作るのって大変なの?」
 「え?」
 あたしは何故そう訊かれたのか良く分からない。
 「そうだね、確かに大変かも。慣れてないし」
 「ふうん」
 二人は笑いながら、泣きながら、それなりに納得しているようだ。
 「なんでそんなことを訊くの?」
 「あたいは、作り笑いもできるけど、無理やり表情を作ってるわけじゃないの」
 「おいらもだよ」
 だからか。二人は表情そのものだから、嘘泣きも嘘笑いも、全て本物。そのときの感情に反したりしないわけだ。
 不意に、笑顔チャンの様子がおかしくなった。笑いながら、涙を流している。しかも、凄く大粒の涙。
 それを見た泣き顔クンは、心底悲しそうな表情になった。それは泣き虫の顔じゃなくて、本気の悲しみのようだった。
 「なんであたいは泣いても笑ってるの?」
 「なんでおいらは笑いたくても笑えないの?」
 今度は深刻だ。あたしは困り果てていたけど、どうすることもできない。二人が笑顔や泣き顔として生まれてしまったのが原因なんだから。でも、この二人が居なくちゃ、あたしはあたしでなくなっちゃうんだろうね。
 今思えば、嫌というほどいろんな表情をしてきたなぁ、でも、それが当たり前であって、それがあるからこそ、あたしはやってこれた。この子たちが悲しくなるのも、無理はないかも。今まで、あたしを何度もかばい続けて来たんだから。泣きたくても泣けない。その辛さはきっと言葉にできないくらいの大きな感情になるんだろうな。自分の思いの丈を、ずっと心の内に仕舞い続けるなんて、とっても可哀そうだ。
 特に、あたしは弱い人だから、悲しいと、とことん泣きたくなるし、嬉しいと、どこまでも舞い上がってしまいそうになる。
 それを抑えることは、作り笑いや作り泣きよりずっと辛いはずだ。
 「ごめんね、二人とも」
 あたしは冴えない顔で言った。
 「君たちは、あたしの気まぐれな感情に応えてくれてるのに、あたしは何にもできなくて・・・・・」
 「やめて」
 笑顔チャンが急に涙を止めた。その顔は相変わらず笑っていたけど、真剣だった。
 「あなたはアタシさんなんでしょ? あたいがこの電車に乗れるのも、アタシさんがちゃんと感情を持ってるからだよ。泣き顔君だって同じだよ」
 「そうだよ、アタシさん。おいらたちが泣いたり笑ったりするのは、アタシさんが嬉しくなったり、悲しくなったりするからだよ」
 二人の子供に、こんな慰め方をされるなんて。あたしはやっぱり弱いみたいだ。強いように見えて、実は弱さを隠している、嘘吐きなんだ。大人になれば、そうした嘘吐きの自分はもっと増えていくんだろうな。こうして純粋な笑顔チャンや泣き顔クンがあたしの空想の中に存在するからこそ、きっと平気な顔で居られるんだ。
 「ありがとう」
 二人はそれぞれ違う表情で、同じように満足そうだった。
 やがて二人は同じ駅で降りて行った。駅名はシンジツ。
 あの二人は、ずっと偽りのないもので居て欲しい。ずっと純粋な感情であって欲しい。
 あたしにとって利益となること。そんな誤魔化しのために、あの二人を呼び出さないようにしなくちゃ。
 だから、イツワリ駅にあの子たちを下車させちゃいけないよね。



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