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生命の摂理、自然の摂理
[日本の政治]
2016年2月17日 2時51分の記事

働きアリの中に2〜3割存在する「働かないアリ」というのは、実は集団の長期存続において非常に重要な役割を果たしているということを北海道大学などの研究チームが解明し、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表したことが報じられています。実はこれと同様のことを『ザ・フナイ』の2016年1月号から4月号(来月発売)で生命論として書いてきました。このお話は集団という生命の摂理(生命論)なのですが、アリだけではなく、人間の集団、社会全体にも当てはまることなのです。それが、この北海道大学などの研究チームの発表で裏付けられました。このことを報じた以下の毎日新聞の記事は非常に秀逸で、とても大事な意味を持つと考えます。

「<働かない働きアリ>集団存続に必要 働きアリだけは滅びる」(2016年2月16日 毎日新聞)

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無駄のように思える人でも、集団において実は重要な意味を持っています。無能で無駄と思える人材をどんどん組織から除いていくと、その組織は効率化するどころか崩壊してしまうのです。昨今の日本企業の不振や社会の低迷は、実はこのような潔癖主義にあります。またその中で人を判断する基準も非常に偏狭で「人間の頭」で考えられるレベルの範囲でしかないので、結果として組織における思考の硬直化、可能性の先細りなどの状況に直面します。そして、状況を改善しようとして、さらにどんどん人を切っていくことによって、状況はさらに悪化していきます。
昔の日本企業の経営者は、この弊害をわかっていたと考えます。だから、会社や社会に可能性や活気というものが担保されていたのだと考えます。現状はエゴイズムとナルシズムで一杯のエリート様の潔癖性が組織の可能性を大きくつぶしているものと考えます。現状の日本の問題はエリートという自意識過剰な凡庸なリーダーによって起こされているのです。
このことは社会全般においても同様です。人がコストになったときからこのようなこと始まりますが、非正規労働者をどんどん増やす政策などを行っている現状の日本はまさに凋落まっしぐらなわけです。記事には、働きアリしかいない効率化した集団は滅びると書かれていますが、今の日本がたどっている状況とまったく同じではないでしょうか。
したがって、だからこそ、社会において弱者を包摂しなくてはならないのです。能力がなく、無価値と思ってしまう人も、生命の摂理においては非常に重要な価値を有しているのです。これを生命の平等と言います。このことがこれからの時代、非常に、そして極めて重要になります。
地球において生命環境を構築している「ガイア」も実は、生命の摂理ですから、これと全く同じ構造となっています。地球において生命が生存できる環境があるから私たちは生きていけるのですが、その環境をつくり出しているのはバクテリアや藻類など人間から見れば無価値と思ってしまう存在なのです。無価値と言うよりは「害」と思っているのではないでしょうか。しかし、その存在のおかげで私たち人間は生きていけるのです。逆に言えば、その無価値もしくは害と思っている者を排除する潔癖症に陥れば、私たち人間も生きていけなくなるのです。
生命の摂理、生命の構造というのは、大小かかわらず同じです。その生命の階層が幾重にも重なっているのが、生命の本質ですが、その一つの重要なポイントは多様性です。『ザ・フナイ』では「ポピュレーションセオリー」というものを書きました。これは間違いなく21世紀の哲学になります。そして、今回の記事は、そのことを立証するものなのです。『ザ・フナイ』の2016年1月号から4月号(来月発売)を是非、お読みいただけると次の時代がよくわかり、いかに生き、そしていかに良い社会を形づくっていくかがよくわかります。
働くアリだけに効率化した集団は滅びると研究結果が報告されたと上述しましたが、一億総活躍などと新自由主義の延長で効率化を進めると社会は間違いなく滅びていきます。人の意味を一面的にしか考えていない証拠です。みんな同じように活躍する必要はないのです。この硬直した思考は、かつて戦前も同じではなかったでしょうか。そして滅びたわけです。このような発想が出てくるのは、間違いなく生命の摂理、自然の摂理を理解していないからでしょう。リーダーの質が低いのです。非常に危険な発想です。
どんな人もいるだけで活躍しているのです。活躍しろと言わなくとも活躍しているのです。問題はそのような人々の生存を確保するために平和と生活の安寧を実現することこそが政治の本当の役割です。人がコストとして扱われることを促進するのではなく、人が生命の摂理の中で存在がしっかりと保たれるようにすることこそが政治の役割なのです。そして、無価値と思われる人々もしっかりと社会的に包摂していくこと(弱者の社会的包摂)が何よりも重要なのです。このことがとにかく一番のポイントなのです。

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くる天

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○ 『餓死した英霊たち』

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先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

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◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐勇治(政治評論家) さん
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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