ステグリッツ氏とクルーグマン氏? | |
[日本の政治] | |
2016年3月23日 23時53分の記事 | |
政府の国際金融経済分析会合に、ノーベル経済学賞を受賞した二人の経済学者、スティグリッツ氏とクルーグマン氏を招いて意見を聞いたと報道されています。 「世界経済は弱さ蔓延、収支気にせず財政出動を=クルーグマン教授」(2016年3月22日 ロイター)
二人とも10%への消費税増税に対して異を唱えています。当然でしょう。消費税がいかに経済に悪影響を及ぼすかは明白なのですが、これまで消費税を20%にすべきと平気で唱えてきた評論家などの言っていたとおりに政策を進めれば間違いなく日本経済は撃沈します。空想、仮想の世界のお話しをしていたとしか思えませんが、そこにリアリティーはありません。そもそも消費税増税が経済に対して悪影響を及ぼすことは、施行前から明らかなことでした。 もちろん、今の日本経済や日本の問題点は、この消費税増税だけの話ではなく、この消費税増税も含めて構造的な問題となっているわけです。このことは何度も指摘してきました。また、政治において増税は、古今東西、悪政の表れなのですが、そのことに疑問を持たなくなっていることも、そもそも大きな問題点でしょう。 スティグリッツ氏とクルーグマン氏は共に消費税増税に異を唱え、クルーグマン氏は財政出動を強調しています。もちろん、財政出動の必要性は本ブログで何度も指摘していますが、これは非常に重要なことなのです。経済にお金を回し、最終的に一般の人々にお金が回ることが最も重要なことで、これはデフレ時代と言われていた時期と昨今の状況に共通する日本の最大の問題点です。インフレにすることが目的なのではなく、あくまでもここにポイントがあります。 そういう意味で再分配が必要なのであり、これを現政権は否定してきたわけです。年頭の所信表明演説で安倍首相は、このことを完全に否定しています。しかし、必ず最終的には、再分配の方向に向かいます。そうでないと経済は回らず、縮小し、必然、社会や政治的不安定を招来しますから、確実に再分配をする方向に動かざるを得なくなります。しかし、それが物理的な現象をともなって成されるか、政治的に前向きな形で成されるかは政治家の手腕によります。現状は政治家の能力や手腕が低いレベルなので、必然的に前者の方向性が強いものと考えます。これは安倍政権の負の遺産として確実に将来、評価されるでしょう。 一方で、スティグリッツ氏とクルーグマン氏を政府として招いたのはとても良いことです。これは評価すべきことでしょう。しかし、この会合を今やるのは、遅すぎるものと考えます。少なくとも3年前にはすべきでした。 しかし、実際には、3年前にスティグリッツ氏から安倍政権は意見を聞いています。その成果があったのかどうか? 3年前、スティグリッツ氏はTPPに対して反対を述べています。今回もそう政権に伝えていると日本農業新聞では報道されていますが、この非常に重要な指摘は、一般的に報道されていません。これは大変に問題があることです。 いずれにせよ、3年前にも政権は同じことを言われているのに、この3年間のふたを開けてみたら、実に安倍政権は率先してTPPを推進しているわけです。今や日本だけが前のめりなっています。これは何を言われても本質は理解していないと言うことです。のれんに腕押し。ここに現政権の本質があるでしょう。日本人のために行動しているとは思えません。 今回のようなセレモニーをして、いろいろな人の意見を聞き、その良いとこ取りをしたつもりで今後、政策を出すのでしょう。そして、一貫性がないので確実に失敗する。実際、これがアベノミクスの本質ですから、同じ思考過程で、今回も同様のことがなされるものと推測します。一貫した政策理念によって方向性を打ち出せていないことが、経済の失敗に繋がっているわけですが、一貫性がしっかりとあれば消費税増税をそもそも施行してはいなかったでしょう。 この両氏に関してはまた後日詳しく、書こうと思います。 「TPPは悪い協定 米議会で批准されぬ ノーベル経済学賞・スティグリッツ教授」(2016年3月17日) 「ステグリッツ氏とクルーグマン氏?」(2016年3月24日)へ続く。 | |
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