明らかな憲法違反 | |
[日本の政治] | |
2017年9月23日 2時9分の記事 | |
北朝鮮情勢については、様々な発言がありますが、やはり実相を良く考えるべき時ではないでしょうか?
北朝鮮がなぜ今になって急に米国と共に情勢をエスカレートさせているかは、実は誰も説明できていませんし、していません。これまで北朝鮮が国際社会を欺き、時間稼ぎをして国際社会の脅威となる兵器を開発してきたからというのなら、現状のように実験段階という中途半端な状態で、それもこれ見よがしに激しい声明と実験を繰り返して緊張を高めることをせずに、もっと秘密裏にことを運んだでしょう。そして、体勢が整った状態で、国際社会に対して何らかの行動に出るのが普通でしょう。明らかにおかしいわけです。現状、(日)米朝のエスカレーションだけがクローズアップされていますが、その本当の理由を誰も語っていません。ただ北朝鮮は悪者というイメージにそってこのエスカレーションが成立している非常に不思議な状況なのですが、誰も疑問を持ちません。もちろん、この理由についてはザ・フナイでずっと書いてきました。実相は日米朝と韓国(半分)のエスカレーションで、そこにはちゃんと理由があります。そしてだからこそ中露はそこに関わってきませんでした。非協力的なわけではないのです。 トランプ米大統領は、19日、国連総会で北朝鮮を非難、以下の記事にあるように「自分や同盟諸国を防衛するしかない状況になれば、我々は北朝鮮を完全に破壊するしか、選択の余地はない」(2017年9月20日 BBC)と述べています。明らかに戦争を述べています。 「トランプ氏、初の国連演説 『ヘイトスピーチ』と批判も」(2017年9月20日 BBC) トランプ氏はこの演説で、一時、中東有事になりかけ、2015年に国際的な協力によって平和を保ったイランとの核合意を批判し、またベネズエラを批判しています。まさに四方八方に喧嘩を売る姿は、ロケットマンと他人を批判する前に、自分がマッドマンになっているのではないかと自覚を持つべきでしょう。 この演説でマッドマンは、否、トランプ氏は国際社会の対北朝鮮姿勢について、「その上で、『正義の側にいる多数』が『悪しき少数』に対決するよう呼びかけた」(同上)とありますが、まずこれがこの演説の一つのポイントでしょう。 また、このBBCの記事でポイントなのは、フランスも含め各国首脳がトランプ氏の発言に対して眉をひそめる中、イスラエルが対イラン姿勢で賛同してることです。これは非常にポイントで、上記の日米朝+韓国(半分)にこのイスラエルが入ると言うことです。つまり、この繋がりは中東及び黒海周辺でも、朝鮮半島以外のアジア地域(南アジア、東南アジア、中央アジアなど)でも同じと言うことです。そうやって世界を見る必要が現状、あるものと考えます。 このトランプ氏の北朝鮮についての発言に対して、これまで北朝鮮問題について対話を説いてきたドイツのメルケル首相は「いかなる軍事行動も完全に不適切であると考えており、ドイツは外交的な解決を主張する」(2017年9月21日 ロイター)と主張して反発しています。まっとうな発言でしょう。 また昨日の本ブログ「疑問なく当然の動き」(2017年9月22日)で取り上げたように、北朝鮮問題で当事国中の当事国である韓国の文在寅大統領は21日、国連総会で北朝鮮との軍事的衝突を回避し、平昌オリンピックへの北朝鮮の参加実現に向けて意欲を示しています(「『北朝鮮の崩壊 望まない』韓国大統領が国連演説」 2017年9月22日 TBS)。当然の動きです。当事国中の当事国である韓国と日本との温度差がなぜこれほどにあるのか、普通なら七不思議でしょう。 このような中で、安倍首相は現地時間20日に国連総会で「対話による問題解決の試みは無に帰した」(2017年9月21日 ハフィントンポスト)、「対話する時期は終わった」(2017年9月20日 ロイター)と述べているわけです。対話の必要がないと言うことですから、外交的に解決をするつもりはないと言うことです。この演説では北朝鮮への制裁を主眼にしていますが、それでいて対話や外交的解決の時期は終わったと言うことは、制裁の先には戦争をすると言っているわけです。そして、上述のトランプ氏と同じように「北朝鮮による挑発を終わらせることができるかどうかは国際社会の結束にかかっている」(2017年9月20日 ロイター)と述べるわけです。日米共に制裁と戦争と同じことを言っているわけです。これは同盟国ですから当然ですが、しかし、この安倍首相の発言は明らかに憲法違反です。日本は専守防衛ですから相手がいかなるものであろうと日本側から戦争を前提とした発言をするのは国是に反します。明確に安倍首相の越権行為です。あくまでも安倍首相に許された発言は、対話や外交的解決というオプションを残すことであって、対話や外交的解決の時期は終わったと“断言”することは、許されるものではありません。それは北朝鮮への攻撃という戦争を意味するからです。そしてそれは専守防衛ではありません。対話や外交的解決というオプションを言うことは、当事国中の当事国である韓国もドイツも中露も言っていることですから、非現実的ではなく、現実的な対応です。そして、このように比較した場合、安倍首相の発言は北朝鮮問題をエスカレートさせることにその主眼があることは明白です。 第二次安倍政権以降、これまで憲法違反と言われた安保法制や共謀罪を見てもわかるとおり、安倍政権は憲法遵守・遵法の精神に乏しいと考えます。また、加計学園問題や森友学園問題での首相も含めた安倍政権の閣僚の答弁は、真実味が疑われるものが頻発し、いまだにその疑惑が解けていません。 このことは有事において国家・国民にとって極めて危険な状況を招くことを意味します。有事の場合、その情勢や戦況をマスメディアによって検証することは不可能ですし、国民自ら検証することはできません。あくまでも政府の発表を信じるしかないわけです。しかし、政権が遵法精神に欠けたり、国民への言葉に嘘があると、国家・国民にとって不利な情報が隠され、国民が知らずに危険な状態にさらされることが当然、生じます。また、政権に対して国民の信用が揺らげば、それだけで社会の不安定材料になります。 日本はもちろんこのことを一度経験しています。戦前・戦中です。戦況がとんでもなく劣勢の状態にあるのに、国民に対しては日本は優勢、優勢と情報を流し、ふたを開けてみれば、事態は全く逆で、そのことによって特に戦争末期には百万単位の人が命を落としたわけです。そして、そのような政府はそれでいて何の責任もとらないわけです。戦前回帰を標榜している安倍政権ですから、同じことを考えているものと考えますが、安倍首相に安全保障を語る資格はないと考えますし、情勢が緊迫化しているなら、普通に考えて、安倍首相は情勢に対応する資格はないと考えます。明らかに首相は交代させるべきでしょう。これまでの安倍政権の言動を見れば、安倍首相は自らをそのような立場に追いやっているのです。 上述したロイターの記事の最後の部分には、実は面白いことが書かれています。安倍首相は国連での演説の前にニューヨーク証券取引所で演説をしていますが、以下のようにその内容が書かれています。 またNY証取のスピーチでは、国内投資を促進するために税制や予算、規制に焦点を当てた「大胆な政策」を実施するほか、コーポレートガバナンスのさらなる改革を推し進めることも明かした。(2017年9月20日 ロイター) 北朝鮮が脅威であるのなら、その影響がある日本に投資を呼びかけて、税制などに焦点を当てた大胆な政策ということを言っても、普通は誰もまじめに受け止めないでしょう。非常に間が抜けたものです。実際は違うでしょう。この発言で安倍首相は明らかに北朝鮮は“脅威ではない”と言っているわけです。だから、日本にも投資してくださいとニューヨークの証券取引所で発言するわけです。そうでなければ辻褄があいませんし、間が抜けたようなことを言うのなら首相としていただくのは恥ずかしいレベルです。 明らかに北朝鮮情勢について安倍首相の発言には欺瞞があるわけです。それは、昨日の本ブログ「疑問なく当然の動き(2017年9月22日)で取り上げた平昌オリンピックへの日本の対応もそうです。最低でも日本はフランスより先に、平昌オリンピックへの選手団派遣を考えると言わなくてはいけないのに、何も言っていません。また、このような欺瞞を考えれば、北朝鮮情勢が緊迫していると言われているときに国権の最高機関である衆議院を解散するという話も出てくるのは当然でしょう。そして、北朝鮮情勢について、脅威ではないのに脅威と言っているということは、現状のエスカレーションがトランプ政権だけではなく、日本(安倍政権)が演出していると言うことは明白なのです。そうでないと上記のようなロイターの記事は出てきません。 | |
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