内政も外交も失敗しているから | |
[日本の政治] | |
2018年8月31日 0時0分の記事 | |
昨日(30日)の毎日新聞の社説では、自民党総裁選の報道について、自民党が新聞・通信社に対して事細かに注文を付けていることが言われ、批判されています。 「社説 自民が総裁選報道で要請 介入の前に公平な選挙を」(2018年8月30日 毎日新聞) 「吉田氏『個人攻撃控えて』 石破氏に注文」(2018年8月30日 毎日新聞)
自民党は、総裁選候補者についての報道を公平・公正にといっていっているわけですが、現職総理である安倍氏とそうでない石破氏の露出がそもそも公平・平等になるのかと毎日の社説は疑問を呈しています。このような『公平』は、結果的に現職の安倍氏に有利の不平等になることは目に見えています。過去の例を見れば明らかなように、公職選挙法に縛られない自民党総裁選ではお金やポストが飛び交うもので、公正とは言いがたいものがあります。そういう所に「石破さんと彼を支持した人たちを干す――総裁選で“殲滅”狙う『安倍総理』のオフレコ発言」(2018年8月29日 デイリー新潮)という記事も生じるわけです。 自民党総裁選というのは、そもそも圧倒的に現職総裁=現職総理が有利であるわけです。そういう状況で、任期が限られていないと、現職総裁=現職総理が永遠に権力を持ち続ける独裁が発生するわけです。したがって、そのような独裁を避け、党内の多様性を保持し、バランスを取るために総裁任期2期という規定があるものと考えます。他国でも独裁を避けるために、大統領などの任期に制限を設けるわけです。 しかし、その任期を延長させたのが、他ならぬ安倍体制ですから、正に独裁の方向性がより強化される方向で、安倍体制で舵が切られたわけです。基本的に戦後政治とは、自民党の一党独裁であるわけで、その一党独裁でさらに独裁色が増せば、非常にいびつな危うい独裁政治が日本の政治シーンを覆うことになるわけです。それは国民の利益にはなりません。まさに民主主義とはほど遠い状況になっているのが、現在の日本の政治の実相であるのは明らかです。政治の失敗を取らず、そのツケを国民に回す、そういう危険な政治体制に日本はなりつつあるわけですが、かなりの人は既にそうなっていると考えているでしょう。私もそう考えます。 このような中で、総裁選について自民党が公平・公正な報道を新聞・通信各社に注文を付けるというのは、結果としてこの自民党と国政における独裁を助長することにしかならないのは火を見るより明らかなことです。 上記の吉田参院自民党幹事長についての記事も、吉田氏が石破氏を支持しているとは言え、石破氏に対して行なわれた同氏の注文も上記自民党のマスコミ各社への注文と同じ方向性のものでしょう。今回の自民党総裁選はかつてのようにお金やポストが飛び交っていないのかと疑問になります。上記のデイリー新潮の記事はそうでないことを示しています。もし、そのようなものが飛び交っていたら、そのような状態で現職ではない非力な候補者の露出が抑えられ、自由な言論が押さえられるという事態は、自民党の総裁選がお金やポストで動くことを世間に示すということになります。このような体制は日本国民全体の利益には全くなりませんが、端から見ていて自民党はそんなことをしていて本当に大丈夫なのかと他人事ながら思ってしまいます。 このような現職の総裁候補に明らかに有利なことが次から次に行なわれる状況は、一つのことを明確に示しています。それは、現職の安倍体制のおいて、既に6年が過ぎているのに、内政・外交共に成果が上がっていないどころか、失敗、行き詰まっているということです。誰もが文句を言うことができない成功が内外政共に定着していれば、このような措置をする必要はそもそもないでしょう。 実際、経済政策は、既に行き詰まりを見せ、矛盾が多くなっています。非常に危険な状況と考えますが、それらのことは本ブログなどで散々指摘してきました。外交も同じですが、昨日の本ブログ「考えられるポイントは明らかに拉致問題ではない」(2018年8月30日)で取り上げたように、日米関係ですら上手くいっていない状況が一般においても普通に言われるようになっています。 そのような失政を、ちょっとつつかれ、批判されれば、この約6年に及ぶ安倍政治が、容易に瓦解していく実相があるものと考えます。それが公平・公正という注文や、個人攻撃をするなというピント外れの注文に現われていると考えます。正に失政を、政治家としての成果以外で糊塗しないと、権力維持ができない実相がそこにあると考えます。 ただ、現在の日本政治を概観すれば、その実相は55年体制、即ち戦後構造の権化であった自由民主党は、戦後構造(朝鮮戦争の構造)が終わる現在、その存在基盤を既に失っていると考えます。だから、昨日の本ブログ「考えられるポイントは明らかに拉致問題ではない」(2018年8月30日)のように北朝鮮の脅威を温存しようとするわけです。このことはここ数年の安倍政権の本質ということでずっとザ・フナイで指摘してきました。 このような歴史の構造が終焉すると自民党も当然、終焉することになりますが、さらに言えば第二次安倍政権発足以降の悪政が自民党の終焉を決定づけていると考えます。ですので、これからの10年では、自民党党員であったというだけで差別されるくらいのことは当然生じるだろうと考えます。今とは全く逆ですが、歴史というものは往々にしてそういう劇的な変化を生じさせます。戦前、軍部の存在が圧倒的であったのに、戦後は全く反対になったというのと同じです。既に自民党の未来は終わっていると考えます。そういう意味で石破氏の昨今の言動は、自民党を延命させるものであるのですが、それにも限界があるものと考えます。石破氏以外の言動が、その終焉を早めています。石破氏はあくまでも自民党を考えているのでしょうが、しかし、いずれ、石破氏は自民党の衣を脱いで動かざるを得ない状況に直面するものと予想します。もちろん、あくまでも予想です。 「内政も外交も失敗しているから?」(2018年9月1日)へ続く。 | |
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