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第二部 3話【第二のクーちゃん】
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第二部)]
2012年6月1日 14時2分の記事

ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第二部 3話【第二のクーちゃん】をUPしました♪
ぜひ読んでくださいね(^▽^)ノ


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ハラベエさんの犬星☆猫星の第一部〜三部の
リンクを作りました。
使ってくださいね(*´∀`*)ノ♪

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ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛  

第二部 3話【第二のクーちゃん】     




 黒い猫が、ハラベエさん目がけて一目散に駈け寄ってきました。池をめぐる小道を右に大きくカーブして、いつも一服している、池に突き出した四阿(あずまや)が視界に入ったときです。
 この四阿は、(之の字池)の之の字の天辺、書き出しの点にあたるところで、池全体を見渡すロケーション抜群の場所にあり、常に何人かの人が木製の床几に腰を下ろしてくつろいでいます。
 正面に眺める池畔の樹間を縫う小径を、三々五々たどる人々……この人影はやがて之の字の書き順を逆にたどり、十分かそこいらで左方の岸辺、これもハラベエさんが勝手に名付けた(アヒル・アイランド)を見下ろす辺りに姿をあらわします。
(アヒル・アイランド)の主は勿論アヒル、他にいろいろな小鳥も棲みついているようですが、専用の小屋もあって、島を我が物顔にしているのは四羽のアヒルたちだけです。
 このアヒルの一族の内一羽はどうやら高齢らしく、他の三羽が池を遊弋しているとき、必ず物憂げに島に残っています……「わしゃしんどい、留守番してるから行っといで」……とでも言ってるのでしょうか。
 そして、三羽のアヒルの傍には、この時に限って必ず一羽の小さな野鴨の姿があります、何か約束事があって代役を務めているのか、その辺の事情も知りたいハラベエさんでした。
 池の周りの小径を逆行する人は殆ど無く、皆、同一方向に歩を進め、四阿への小橋の橋がかりを通り過ぎた、そこだけ樹木が疎らな空き地に屯して、何かが始まるのを待つ様子です。
 やがて世話役らしい人が、立木の枝にぶら下げた携帯ラジオの音量を上げるとラジオ体操が始まりました。
 池畔を巡っていた人ばかりではなく、いつの間にかそこここから湧き出るように現れた人も併せると百人ほどになりますが、若い姿はほとんど無く、おおよそはリタイア組に見受けられます。
 習熟度はそれぞれに異なり、お世辞にも……一糸乱れずとは……言えませんが、結構力感溢れる動きを展開します。
 中には、一人で歩いているときなど、両手を大きく振る速足で「お早うございます」と、新顔のハラベエさんにまで、元気な声をかけて追い抜いていく初老の女性……その活発な挙措から、女子高生の体操選手を連想して、ハラベエさんが(ハツラツさん)と密かに名付けている人もいます。
 そんな光景を眺めながら、その日の初めての煙草をくゆらすのが、このコースを歩くようになって固まりつつある朝の定番と言えます。
 そして、その行動を定番化しようとする要因がもう一つあるんです……黒い猫の存在です。
 何かが始まる予兆だったのでしょうか、このコースの歩きの初日が、黒い猫との出逢いの日、いや再会?の日でもありました。
 その日初めて、之の字の書き順を逆にたどり……ということは人々の流れに従って……(アヒル・アイランド)に差しかかったときのことでした。
 一メートルはありそうな緋鯉や真鯉が数尾、悠然と泳ぐ水路を隔てた島に、
せわしない動きで羽繕いをしている四羽のアヒルがいました。
 他にもいろいろ……知識不足で正確にお伝えできぬハラベエさんを許し下さい……雑多な野鳥の姿がありますが、名前入りの小屋を与えられているのは、アヒルたちだけです。
 その島の向こうに見える四阿と空き地にたくさんの人影があります
 アヒルと鯉たちにに別れを告げ、四阿に歩をすすめるハラベエさんの目に飛び込んできたのは、コンクリート製の水飲み場を取り囲み覗き込んでいる十人ほどの人垣です。
 空き地のそこここに屯している人達とは、明らかに違う雰囲気に興味を抱いたハラベエさんが、人垣の間から覗いてみると、輪の中心にいたのは黒い猫でした。
 一人の老女が、持参したと思われるしわくちゃの袋からから、キャットフードを与えていました。
 貪るように食べていた黒猫が、ふと、顔を上げてハラベエさんの目と目が合いました。
 「クーちゃん!……クーちゃんやないか」
 と……思わずもれる言葉、周囲は一瞬沈黙に襲われます。
 次の瞬間。
 「クロちゃん、もっと欲しいか」
 「美味しかったか、クロちゃん」
 「よかったな、クロちゃん」
 と、飛び交う言葉。
 どうやら、ハラベエさんの間違いをお年寄りの優しさで、遠回しに訂正してくれてるようでした。
 ハラベエさんもその頃には,クーちゃんとの付き合いがあったのは、同じ大阪でも二十キロ以上も離れた場所、いかに神出鬼没のカノジョでも現れるのは無理と思う冷静さを取り戻していました。
それにしてもよく似ています。
 金色に輝く瞳は、生まれたばかりの四人の子の命を、心ない人の手に奪われたときの深い哀しみをたたえているのです。
並み居る雄猫を睥睨していた負けん気の強さもうかがえます。
 皆さんの手前、自分もクロちゃんと呼ぶが、俺の中ではクーちゃんだよなとみずからに言い聞かせていると、ラジオのものと思えるアナウンスが流れ、全員いつもの居場所らしき空き地に移動していきました。
四阿の床几に腰を下ろし、時折出張って来るアヒルたち、ラジオ体操に励む人々、そしてクーちゃんを眺めて一服する,ハラベエさんの朝の歩きの定番が決まりつつありました。
そして十日あまり……。
この章の冒頭に述べたような動きを、クーちゃんが初めてしたのです。
腰の辺りをハラベエさんの足に二度三度すりつけると、二三メートル離れて物言いたげに見あげます。
ハラベエさんが傍に寄っていくと離れます。
何度と無く繰り返す内に、ふたりは樹木がまばらに生えている緩い傾斜地を登って行き、道路を隔てて高層マンションを望む地点にいました。
すると突然……クーちゃんが道路を横切り走っていきました。
ハラベエさんも続こうとしましたが、車の通行を待って横断したときにはクーちゃんの姿はありませんでした。
翌日、ハラベエさんが四阿についたとき、クーちゃんの食事は既に終わり、体操の時間になっていました。
水飲み場にいたクーちゃんに近寄るとちらっと横目で見あげます。
「スキンシップはなしか」
と、ハラベエさんが近付くと、身を翻してクーちゃんは離れます。
昨日同様の動きがくり返しあって、車の邪魔もなく誘導されて行ったのは、マンションの裏手の物置風の小屋でした。
なんとそこには、まだ目の開いていない真っ黒でちいちゃな子たちが、しかも四人もいたんです。
その傍らで、きちんと座ってハラベエさんを見あげている母猫の姿こそ。紛れもないクーちゃんに見えます。
暫時、時の経つのも忘れ、猫の親子と遊び戯れるハラベエさんでした。
 そしてそのまた翌日は、ハラベエさんにとって苦い失望の日になりました。
 黒猫は姿を現さず、物置に仔猫たちもいなかったのです。
その後、淡い期待を胸に毎日歩くハラベエさん、徒労に終わりました。
東京の仕事もなるべく短めに切り上げて帰阪して、その頃は仲間意識で親しく言葉を交わすようになっていたハツラツさんたちに訊いても、杳として行方はわかりませんでした。
それでも同じコースを歩き続けるハラベエさん。
その直向きな思いが通じたのでしょうか。
ある日、やや遅い時間に歩いていると、視線の端を黒い影がよぎりました。
クーちゃんでした。
体操用の空き地の中央にあるベンチに腰を下ろしている、ハラベエさんと同年配の男性から、いりこをもらって食べていました。
傍に寄って、
「久しぶりやったな……どこにおったんや……心配してたんやでえ……元気やったか」
などと矢継ぎ早に、応えるはずもない相手に話しかけました。
「おうきに……可愛がってくれてはりましてんな」
代弁するかのように男性が応えました。
「わてが入院してる間、ずうっと付き添いしてたんですわ」
「付き添い?」
「歩いても行ける病院やさかい、入院するときに着いてきて、離れへん……可哀想やいうて……院長先生が猫好きでよかったな、クー」
と、愛しげに喉元ををくすぐっています……ゴロゴロこたえるクー。
「やっぱりクーちゃんやったんや」
「皆さんは、クロちゃん言うてはりましたやろ」
「あのー、仔猫たちは……」
「知ってはりましたん?」
「この子が連れて行ってくれました……可愛らしかった」
「可哀想やけど、家のもんが処分しました」
「処分?」
「もともと、この子も家の中では飼(こう)てまへん……野良猫同様のこの子にわてが付き合うてました……まして、四匹もの仔猫」
「?」
「娘が喘息でねえ」
「!」
「小児喘息やったんですけど、いまでも時々救急車のお世話になってまつさかいな、そこにわての入院でっしゃろ」
心なしか,男性の目にうっすらと光るものがあります。
ハウス・ダストに並んで猫の毛が喘息の大敵とされています。
人間の都合で命を絶たれた仔猫たち、ハラベエさんの脳裡には、嘗て心ない人の手で命を絶たれた仔たちの姿が二重写しになります。
そうだ、あの仔たちは元気に猫星に帰って行ったっけ。
「……心配要りません……その内きっと……」
と、慰めの言葉を書けようとしたときにはベンチは無人で、遙かかなたに、覚束ない足取りで歩を運ぶ老人と、それを気遣うようにまとわりつく黒い猫の姿がありました。


→ハラベエさん徒然草ヘ〜


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地域:大阪府
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ジャンル:趣味 漫画・小説
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シーズの愛犬BEEとハラベエを取り巻く生き物たちとの、
出会いと別れを描いた感動、ファンタスティック・ノベルです。

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