第二部 8話【力を合わせて……。】 | |
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第二部)] | |
2012年8月1日 17時16分の記事 | |
ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第二部 8話【力を合わせて……。】 UPしました是非読んでください(^▽^)ノ 今回のお知らせイラストは 【スパニールコッカスパニエル】です(*´∀`*)ノ
☆【第0部】【1P】 ☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】 ハラベエさんの犬星☆猫星 第二部 8話【力を合わせて……。】 ハラベエさんは、首筋に視線を感じました。 期待を込めて、恐るおそる振り返ります。 その視界に入ってきたのは、むびだにも忘れたことのないあの目でした。 黒目がちの大きな瞳は、深いふかい蒼を湛えています。 その両の目は、今にもこぼれ落ちんばかりの涙で溢れています。 BEEでした。 (BEE!) 声にならない声で呻いたハラベエさん、BEEちゃんに近寄ろうとします。 その胸に飛び込み甘えたいのでしょう、BEEもカプセルの中で激しく身悶えしています。 何か眼に見えない、ふたりを引き離そうとする力が働いているようです。 BEEは、その力に逆らっているようですが、逆らえば逆らうほど力は強くなるようです。 まるで、強風に対抗して風上に向かっているような形相のBEEです。 にもかかわらずますます力は強くなり、引きちぎられて遠くに飛ばされそうになります。 (ショウちゃん!) かなわぬ時の神頼み、ならぬ、ショウちゃんだのみでしょうか。 (BEEを止めて!……お願いします) 思わず手を合わせていました。 『BEEは今、カレの意志とは関係なく、指定された目的地を目指す力に支配されています』 (ほなほな、その力に頼んで) 『無理です……自分以外頼れるものはありません……しかし、相寄る者の熱い想いが奇蹟を生むこともあります』 (奇蹟?……それは……ショウちゃん) 返事がありません。 どこかへ行ってしまったようです。 (ところで肝心のBEEは?) 幸い、BEEは遙かかなたで奮闘中でした。 (BEE!) 思いを込めて呼びかけました。 すると、BEEのカプセルが、徐々に大きくなってきました……近付いてきたようです。 BEEは、ハラベエさんが好きな、いつもよく癒してくれたあのポーズ……そうです、ちんちんしてじっと見上げるポーズをとっています。 抱き締めようと手を差し伸べますが、カプセルの透明な壁に阻まれます。 何故かBEEには、吹き飛ばそうとする力に逆らう様子は見えません ひたすら抱かれるのを待つあのポーズです。 そのBEEが、ぐらりと大きく揺れました……強烈な力が、BEEのカプセルぐいぐい引っ張ります。 奇声が発せられました。 同時に、それまでBEEのカプセルの陰に隠されていたいくつかのカプセルが姿を見せました。 何とBOWとLOVESそれにヒナコが、BEEが飛ばされないように陰で踏ん張ってくれたようです……でもどうやら限界らしく、慌ただしい動きを見せ、交代要員らしきカプセルが現れます。 これはこれは……LOVESがお腹を痛めたBOWとの間の仔たち、BEEの兄弟達です。 生まれて直ぐ、遠くは九州……近くはご近所に引き取られていった兄弟が、BEEのために駆け付けたのでしょう、力を合わせてBEEのカプセルを押しとどめています。 この子達のカプセルは四人ずつ乗り組んでいるのが三つと、何故かBEEだけ一人抜けたのでしょう、三人乗りが一つです。 十五人と言っても、見るからに非力なカレ彼女たち、すぐさま助けを呼びます。 任しとけっとばかりに、現れましたリン・プー・クーの三人組、プー・クーはともかく、リンは雄大な体躯の持ち主、かなりの時間一人で踏ん張ります。 そのリンにも限界はやってきます。 さしもの巨体にも疲労の色が……。 その頃から入れ替わり立ち替わり、例え微力でもと手伝いを申し出る者、せめて声援だけでもという仲間が現れます。 あ?……あれは……ショウちゃんです。 隣にいる筈のショウちゃんの気配がさきほどから消えています。 どうやら、実況中継の解説の立場を離れて、まだまだ若い者には負けないと勘違いしている……ま、そんな人はいないでしょうが……ショウちゃんはそうだったんでしょう、見ているうちに歯がゆくなって飛び出したものと思えます。 一瞬でしたが、BEEのカプセルが、体勢を立て直しました。 それがショウちゃんの精一杯だったようですが、いつもは淡々と、それこそ我が道を行くといった趣の、カレにしたら珍しい行動です。 それだけに、このところ芽生え始めていた、二人の間の友情はほんまもんやという確信が生まれてきました。 片手拝みに謝意を表すハラベエさんに、軽く手を振って応えるショウちゃんでした。 これをきっかけに、援軍が続々とやってきます。 箕面の蝶々邸から、ジョイとキャロンの気位の高いふたり……イソロー・ミツコ・シロになにやら口うるさく小言を言いながら見ているだけです。 当然ゲランとその一族も姿を見せます……少々鈍くさいミル、サクラとトラジロウ、お転婆娘のミッチイ。 バド・フー・モモなども現れて、町内会のお年寄り同士風の立ち話を決め込みます。 古手ばかりではありません……最近知り合った新人達も、ハラベエさんを中心とする絆の輪に加わってくれました。 レトリバーのルイとシオン、シーズーのゴロー。 マルチーズのマル、ダックスのトム、柴のミー子たちも古くからの仲間に思えます。 そこに現れる小さな仲間、クーチャンの仔たちです。 向こう鉢巻きに襷がけで仲間達を鼓舞します。 リーダーはクーチャン一人で、仔たちは二組、タイガースの応援並みに唄い踊る、紛れもなく、クーチャン親子です。 それと見て、箭竹に逸るBEEの兄弟十五人です。 クーチャン親子と兄弟十五人の大声援。 周囲のカプセルを巻き込んでの大合唱に膨らみます。 まるで空を覆い尽くすかのようなカプセルが、全てハラベエさんとBEEの束の間の逢う瀬を祝福しているように見えました。 甲子園を彷彿とさせる全員一致協力の態勢もやがて終局を迎えます。 一同のどよめきの中、BEEのカプセルはいずことも無く飛び去りました。 残る冴えざえとした星空に、仲間達のカプセルもそれぞれに去っていきました。 星空は消え去り、いつの間にやら見覚えのある……そう……散歩コースの一つで、日光浴でよく使う小高い丘の上にあるベンチに腰を下ろしていました。 (終わったか) 深々と息を吸ったハラベエさん、全てをはきだすかのように吐息をつきました。 隣に気配があります……ショウちゃんです。 (ありがとう) 『どういたしまして』 もう淡々としたカレに戻っています。 (どうやら、終わりましたね) 『まだまだ、これからですよ』 (まだ、何があるんです?) 『はい……永久的に……』 (え、永久的?) 『あなたが置かれている立場の重さを認識すべきです』 (そんな……な、なんのことですか?) 『まだご存知ない、当然です、まだ言ってません』 (まだ聞いてません) 『これから言います』 (お願いします) 『あなた、いい研究材料』 (はあ?) 『地球にとっても、犬星猫星にとっても、大事な存在……いうなれば、歴史の証人です』 ショウちゃんが語る、ハラベエさん自身も知らない歴史とは? 宇宙に於ける、ハラベエさんの存在理由(レーゾンデートル)は? 知りたい!……謎が大きく膨らんできました。 →ハラベエさん徒然草ヘ〜 ☆【第0部】【1P】 ☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】 ランキング参加中 ポチっとお願いします〜(*´д`*)ノ くる天 人気ブログランキング フルーツメール | |
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