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問題あるインドでの岸田外相発言
 
2015年1月21日 4時0分の記事

 1月17日、岸田外相が訪問先のインドで、インド-中国間での係争地についてインドを支持しました。これはインド-中国間で戦争になりかけた問題を蒸し返すもので、中東情勢緊迫など世界情勢が不安定化している中で新たな火種を作り出す大変に危険な発言です。

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 1月17日、岸田外相が訪問地のインドにおいて、インド-中国間で係争地であり、インドが実効支配しているアルナーチャル・ブラデーシュ州をインドの領土と明言したということですが、これはかなり問題があるのではないかと思います。そもそも外交上、このような踏み込んだアクションは異例ですし、その他、多くの問題を誘発するものと思います。米国でさえ尖閣問題において明言はしません。この種の問題は慎重さが極めて要求されますが、今回の発言は挑発的と言われてもしかたがないでしょう。これが積極的平和主義というのであれば、それはちょっとおかしいでしょう。何を指して平和主義というのでしょうか。

岸田外相「印北東部州はインド領」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150117-00000549-san-asia


 ○2年前、インド-中国間で戦争の危機があった
 2013年8月に、インド-中国間で領土問題を発端として戦争があるという情報がありました。その戦争は核戦争まで発展するということも言われていましたが、様々な方々のご努力によって、2013年暮れにその戦争が抑止され、現在まできました。このことに連なることとして中国の習政権下で、人民解放軍の元トップや中国石油の幹部の更迭やテコ入れがあったと言われています。このことについては昨年、様々な人にお伝えしました。

 私はインドの防衛関係者とも面識がありますし、中国の膨張主義は良いとは思いません。しかし、今回の岸田外相の発言は、2013年に一度クールダウンした貴重な平和への動きを止め、元に蒸し返すものと私は思います。これが平和主義などとは全く思えません。

 ○日中間で無用な緊張状態を作り出すだけ
 インド-中国間でもそうですが、日中間でも、この発言で緊張感は間違いなく高まると思います。尖閣諸島は日本の領土ですが、だからといって今回のような挑発的発言で、緊張状態をつくりだし、戦争の可能性を高めるのは決して良いことではないでしょう。一度、戦争が起これば、どのような展開になるかはわかりません。こちらの都合で戦争は動きません。

 また、その影響として台湾なども巻き込む可能性もあります。

 ○明らかにヒートアップしている(されている)中東情勢
 現状、中東ではイスラム国やフランスのテロ事件などの影響で戦争の危機が高まっています。フランスが対イスラム国空爆のためにペルシャ湾に空母を派遣すると表明しています。また、昨日(1月20日)には、イラク軍を支援しているカナダ軍と「イスラム国」が交戦したというニュースが流れました。欧米諸国の部隊がイスラム国と交戦するのが確認されたのは今回が初めてで、明らかにフランスのテロ事件以来、中東情勢はヒートアップしています。ただ、実相は「ヒートアップされている状況」と思いますが、情勢がきな臭くなっている現在の世界情勢下で、さらにアジアでも火種を作るような今回の岸田外相発言は非常に問題があると思います。

カナダ部隊が「イスラム国」と交戦=米欧初の地上戦闘―イラク
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/カナダ部隊が「イスラム国」と交戦=米欧初の地上戦闘―イラク/ar-AA8mxFy


 同時にそのような明らかにヒートアップしていて慎重を要する中東において、安倍首相が中東各国に援助外交をし、そのことによって、イスラム国による人質殺害予告のニュースが流れました。明らかに火に油を注いでいる状況と思います。

 これらフランスでのテロ事件からはじまる一連の戦争の火種が拡大する流れは、シンクロしているように私には見え、単なる偶然と失策によるものではないと思います。このような状況、私から言わせれば「作られた状況」では、今後の自衛隊の中東の派遣は間違いないものと思いますし、そのような流れが間違いなく今後、作られていくでしょう。そのような作られた状況(戦場)に、3.11の時、国民を救った自衛隊員を送って良いものか、私は甚だ疑問に思います。

自衛隊海外派遣恒久法案 通常国会提出へ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015012002000149.html


 ○第三次世界大戦という認識
 ローマ法王が昨年、世界は既に第三次世界大戦になっていると警鐘を鳴らしています。これは比喩ではなく、現実を言ったものです。戦争は戦争を起こしたいと思っている人々が起こすもので、その人々は大抵の場合、敵だと思っている対象ではありません。戦争を起こそうと画策する人々は戦争によって利益がある人々です。それは世界でも一部の人々です。しかし、そのことによる犠牲者は極めて多くの名も無き人々です。これが近現代の世界史の本質であると思います。だからこそ、現在のような状況がヒートアップされていく時代は慎重に戦火を避ける必要があります。これは尖閣問題にも当てはまります。

 尖閣問題がある日中間において、岸田外相の挑発的と言える言動によって、尖閣への中国の動きを加速させることは自然と考えられます。中国は新月の日に軍事行動を起こす傾向がありますが、今後、新月の日は要注意日でしょう。もし、今後、中国軍の尖閣への動きが生じるとすれば、今回の岸田発言はその動きを誘発した無視できない要因ということになることは間違いないでしょう。

 インドと外交防衛関係を緊密化することは良いことと思いますが、今回の岸田発言は非常に危険なものであると思います。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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