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マイナスは金利だけではなく、GDPも
[日本の政治]
2016年2月2日 23時47分の記事

日本経済研究センターがまとめた2015年12月の実質国内総生産(月次GDP) は、前月比マイナス1.1%となったとレポートされています。

「日本経済研究センター」

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本ブログ「状況と原因を直視できない経済失策が日本を滅ぼす 」(2016年1月30日)などでも取り上げましたが、通常、消費が活発になる年末で消費が落ち込んでいることには、大変に根深い構造的問題が背後にあると考えます。
このような状況ではGDPが落ちるのは当然でしょう。GDPの約6割が個人消費ですから、消費の落ち込みは即、GDPに直結します。そして、その消費は可処分所得に大きく左右されます。
現状の日本経済、そして社会問題もすべてはこの可処分所得に問題の起点があります。この可処分所得の問題は構造的、制度的な問題です。消費税を上げればこの問題をさらに悪化させることは明々白々であり、やめるべきと、今回の8%への増税前に散々、議論がなされました。しかし、現政権は強行したわけで、その結果は当然、予測の範囲で推移しています。
その上で消費税10%を来年から導入するのですから、当然、破滅への道を進みます。現状のままでも経済の縮小は間違いなく進行するでしょう。マイナス金利を導入して銀行や企業の資金をはき出させる政策をしても効果は限定的と考えます。理由は、企業と言っても状態や置かれている状況は千差万別、むしろ余裕がないところをさらに悪化させる可能性があります。
さらに、可処分所得が上向かないか減少する状況では、このマイナス金利のために、小口融資における日本版サブプライムローン問題が発生する可能性があり、そうなれば、さらに経済・社会に大きな悪影響を及ぼします。
可処分所得をあげるために、制度を変えるしかなく消費税を最低でも3%へ戻さない限り、日本の経済が回復していく可能性はないでしょう。むしろ、根本的な解決をしない状況で、小手先の戦術に頼れば、資源の疲弊を招き状況を悪化させるのは確実でしょう。それは社会や経済の基盤が崩壊していくことを意味します。それが、今の政権の政策的本質と考えます。既に終わりが始まっていると考えます。
そして、経済・社会の基盤が崩れたところは、海外から見て魅力ある市場などとは見えないでしょう。
このような状況で、以下の記事のように消費税増税どころか新税の創設を政府内で考えているというのですから、大変なものです。国民経済が成り立っていなければ、政府など成り立ちません。理由は簡単で、政府は何も生み出さないですし、そもそも生み出すための組織でもないからです。鶏と卵という関係ではなく、鶏は国民経済であって、その生み出す卵によって政府は成り立っているにすぎません。この原則を取り違えたとき、国は崩壊に進みます。

「政府内で『貯蓄税』と『死亡消費税』を検討 すでに布石も」(2016年2月2日 週刊ポスト)

本日、元プロ野球選手が覚醒剤所持で逮捕されニュースとなりましたが、この「疑惑」を2年前にスクープしたのは『週刊文春」でした。その報道は今回、正しいことが証明されましたが、その『週刊文春』は、先頃、甘利元大臣の贈収賄と考えられる疑惑についてスクープ記事を出しました。現状、双方の言い分が報道されていますが、金銭の授受については明らかになり、甘利氏は、大臣職を辞任しています。
この疑惑には、現状、公金が絡むことが可能性として考えられます。したがって、現時点で、贈収賄の可能性は、当然、あると考えられる状況ですが、政権においてこのような疑惑が浮上しているところに、新税創設ということを議論しているというのは一体、どういうことなのでしょうか。税金を出すのは国民であって、公金に絡むこのような疑惑があって政治不信が増加すれば、それこそ政治の根底は揺らぎます。
ここ5年間をみても消費税だけではなく、様々な増税や社会保障費の増額がなされています。所得が上がらないで、このような支出がかさみ、さらに政権のインフレ政策で物の値段がじわりと上がっているわけですから、可処分所得が大きな影響を受けているわけです。
その上にまた新たな税金の上乗せではたまったものではないでしょう。甘利氏の疑惑については、その金銭授受の場面が、時代劇の悪代官と同じだと言う向きもありますが、この税金の上乗せも同じように時代劇によく出てくる厳しい年貢の取り立てばかりをしている悪代官と同じでしょう。
スイスなどでは、国民に一律毎月2,000ユーロ以上を支給するということが議論されています。ベーシックインカムについては様々な議論が必要と考えますが、日本と比べてどちらが良い政治かは一目瞭然でしょう。
まさに現状、悪政と呼べる状況と言っても良いと考えます。非常に問題ある政治状況と考えますが、その上、今の憲法は悪いという頓珍漢なことを言う始末です。他のものに責任転嫁をするのではなく、まず自らの施策の失敗などをしっかりと検討し、公明正大な政治を実現すべきでしょう。そうでなければ、立憲主義に基づいた政治などできるはずもないでしょう。今の政権は、立憲主義から最も遠いところにいるものと考えますし、本質的に立憲主義的な考えの要素はないものと考えます。そもそも首相補佐官が「立憲主義」という言葉を知らなかったくらいですし、立憲主義を考えているなら報道に圧力をかけているなどと言われることもないでしょう。
自民党内で甘利氏の疑惑について調査するチームを発足させるくらいでないと、政治は今後、大きく迷走するでしょうし、政治不信は一層深刻化するでしょう。それは日本にとって致命的な状況を招くと考えます。
このような政治の失政の一部として、GDPの減少や消費の落ち込みが現れていると考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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