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1月の実質消費支出が前年比3.1%減
[日本の政治]
2016年3月1日 23時55分の記事

3月1日に発表された総務省の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出が実質で前年同月比で3.1%減少したと報じられています。

「1月の実質消費支出、前年比3.1%減 市場予想は2.7%減」(2016年3月1日 日本経済新聞)

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年ごとに消費支出がマイナスになっているという大変な状況に現状、あると考えます。昨年12月も消費支出が大きくマイナスでしたから、このマイナスのスパイラルが家計において進行しているわけで、早急で抜本的な対応が必要であるのは間違いありません。株価が高くともこのような状況になっているわけで、今や世間一般での経済が良いなどというイメージは幻影であることは確実ですが、その幻影もいずれ消えてなくなるでしょう。
もちろん、この消費支出マイナスは暖冬が理由ではありません。1月の平均気温は平均的なものでしょう。経済に対して幻影をつくり出したり誤魔化したりすることはもはや通用しなくてなっていますし、現実をしっかりと捉え対応できる政治・政権が今や求められていることだけが、唯一、日本において確実なことでしょう。そうしなければ、今後、国民が大きな苦痛を強いられるだけです。
安倍政権は経済政策などをいろいろと打ち出しているようですが、それらは明らかに政権維持にポイントがあると考えられ、言葉が踊るだけで場当たり的な対応が目立つだけと考えます。ビジョンが全く感じられません。これまでの3年間において、様々な追い風要因があったにもかかわらず、ほとんど成果を上げられず今や連続してマイナスがつづくのですから、安倍政権において問題解決ができるとはもはや考えないほうが良いのは明らかです。既にこの3年間の答えは出ていると考えます。
この状況で経済のファンダメンタルズは大丈夫という認識ではまず何も解決されないでしょう。悪化させるだけです。家計の消費支出は年末年始の消費が活発になる時期に大きくマイナスでそれも連続してなっており、GDPはマイナス、日本の名だたる企業は空前の赤字を計上し、海外の企業に買収されそうになってもふたを開ければこれでは買い物にならないと言われ、人口減少が初めて記録され、日銀は史上初のマイナス金利を打ち出し、信用創造をやめ、市中の銀行は賃上げできないという始末。これでファンダメンタルズが大丈夫と言う方がどうかしていると思いますし、正直、滅茶苦茶な状況になっています。今や新機軸をもった政権の誕生が早急の課題になっています。
家計の消費支出がマイナスになるのは、明らかにお金がないからです。可処分所得です。賃金が伸びず、税金や社会保障費などが上がれば、必然的に可処分所得は減ります。その上、インフレ政策をしていたのですから大変なものです。だから、消費支出がマイナスになるのは、当然の結果なのです。しかし、この期に及んで「増税断行」という論調があるのは本当に信じがたいものです。日本の経済、日本人の生活をどうしようとしているのでしょうか? 
消費がマイナスになれば企業の収益は確実に落ちます。そうなれば新しいものを企業が生み出せなくなります。そうなると企業の競争力は確実に低下していきます。そして、それがまた家計に影響をじわじわと及ぼし、結果として企業の収益を落とします。完全に負のスパイラルですが、このようなことがシャープなどの状況にあるものと考えますし、日本経済の実相でしょう。
こう考えれば、家計にお金を回すことが何よりも大事になります。それが企業の収益を上げ、新しいものをつくり出す方向に向かわせます。それがまた競争力をつけるということになります。
実はこれが、日本の高度成長期の構造です。輸出が日本企業をつくったのではなく、内需が日本企業をつくり、その結果として輸出競争力がついたのです。輸出というのはあくまでも結果であって、原因ではなく、輸出が日本経済を強くしたというのは全く幻想です。このような構造ですから、構造改革や規制緩和などは実は本質ではありません。本質的にはあまり意味がないものなのです。むしろ、内需主導の成長の構造を崩してしまっておかしくなっているのです。
内需がしっかりと営まれ、その結果として世界をリードする企業を誕生させることができたというのが、本当で、企業が先にあったのではないのです。あくまでも家計など社会基盤がすべてなのです。
これが高度成長の構造ですが、今も全く通用するものです。実際、これまで輸出を主眼においた政策はほとんどうまくいっていません。
このような好循環のシステムの中に、財投や全総などがあったわけです。その財投などを止めてしまい、国家予算と同じほどのものが消えたわけですから、国内でのお金の回りは半減するほどなったわけです。そしてその同時期に消費税を上げて、消費と家計を圧迫させたわけですから経済が上向かないのは当然の理です。これをこの20年間ずっとやってきてさらに増税をしたのですから、それはおかしくなります。よくここまでもったと思います。
このような滅茶苦茶ことをしたので、「財政赤字」と言われるものも急激に増えたわけです。財政赤字が増えたらから増税なのではなく、上記のように滅茶苦茶ことをしたから財政赤字になったのです。それが小泉・竹中路線からはっきりと現れるわけです。
日本経済の場合、外需ではなく内需に焦点を合わせることが何よりも重要です。外需の割合はせいぜい1割程度のウェイトしかありません。内需がしっかりと活性化していることが、世界で通用する経済を作り上げていくのです。ですから、外需を目当てにしているTPPは、農業だけでなく、経済も確実に崩壊させます。それが今回の家計調査の本当の意味です。これまでの20年間、経済がうまくいっていないのですから、そろそろ常識を疑ってみる時期であることは、間違いのないことでしょう。日本の未来は日本人のこの認識にかかわっています。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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