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神の見えざる手??
[日本の政治]
2016年3月3日 23時50分の記事

昨日の「神の見えざる手??」(2016年3月2日)の続きです。

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神の見えざる手?
消費税を上げれば、予想通り景気は落ち込むわけです。このことは消費税を3%から5%に上げた約20年前から菊池英博先生などのエコにミストがずっと指摘してきたことです。その上、他にも税金や社会保障費が上がり、一方で雇用は不安定化・非正規化、所得も伸びていないのなら、消費は落ち込むのは目に見えています。このことが、さらに雇用の不安定化(非正規化)、所得も伸びないという状況を招き、スパイラルに陥るわけで、ここでインフレ政策をかけるのですから国民一般にとってはたまったものではないでしょう。
消費税を上げれば経済が落ち込むという相関があると言うことですから、経済において純粋な市場原理や競争原理があるわけではないのです。通貨ひとつをとっても同じです。通貨は人がつくり出したもので、その運用次第でいくらでも変わります。最近のマイナス金利政策を見てもそれはわかるでしょう。
つまり経済において神の見えざる手はないのです。これを世界規模で見るとさらにはっきりしますが、そのことを拙著『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(2015年 ビジネス社)などでも書きました。コンドラチェフの波などが本当にあるかは実は疑わしくあります。
自由競争というのは実は限定的なものです。個人の視点から見ればそうは感じないでしょう。しかし、上述したように全体としてみた場合、市場原理などそもそも限定的なものです。これは限定された枠組みの中で、個々から見た個別的な視点で言われるものです。それは具体的に言えば個別的な企業の視点ということになります。この20年を見ても、この論点を言うのは必ずどこかの企業のトップで、最終的にはその企業が儲かるようになっていますから、全体のことを考えている訳ではないのです。
この視点は、限定された枠内でお金儲けをいかにするかと言うことは常に考えていますが、お金(通貨)とは何かと根源的なことは全く考えていません。よく例えるのですが、海を泳ぐ魚と同じで、いかに泳ぎ餌にありつくかはわかっていますが、海そのものが何かを知らないということと同じなのです。こういう視点であると自由競争や市場原理なるものを信じてしまいます。これは一個人の認識力の限界から生じます。
したがって、競争政策や規制緩和などは、個別の企業にとって有利か否かであって、全体性の発展にはあまり意味のないものです。むしろ大抵の場合、害があります。なぜなら、個別の問題を全体に広げれば、当然、全体はいびつになります。賃金ひとつとってもそうでしょう。競争、競争と言って非正規労働を加速させたり賃金を削れば、その企業にとっては一時的には恩恵かもしれませんが、全体にとっては明らかにマイナスになります。そういう構造をつくってしまったのが現状なのです。そして、このことの結果は、最終的に個別の企業にマイナスとなって帰ってきます。現在のシャープなどの問題にこのことが如実に現れていると考えます。
実際、これまでずっと競争政策や規制緩和をしてきて日本の経済は強くなったでしょうか? 日本の企業は20年前より競争力をつけたでしょうか? そうではないでしょう。強くなっていればシャープや東芝の話などなかったでしょう。もうそろそろ競争政策や規制緩和という論点について検証をすべき時です。本当に遅すぎるくらいでしょう。
今の政権は、この思考、新自由主義的な思考から抜け出せていません。考え方も個別事象を拡大解釈する傾向がありますし、時間軸もありません。このような思考では現状の問題を解決することはほぼ不可能でしょう。
アベノミクスの三本の矢もそもそも矛盾した政策を三本に束ねるというかなり無茶苦茶なことをしていますから、各政策が相殺して政策の成果が出ないどころか、前述したような負の構造を作り上げています。現状はこの矛盾した政策のつけが出ているのであって、このことを解決するには全く新しい基軸でものを考えなければなりません。現状、政権は自らの失政で苦しめられているのであり、それは当初から予測できる必然的なものですが、本当に苦しんでいるのは何よりも国民ですから、一刻も早くこの状況を改善する必要があります。そして、自ら失敗を招いた今の政権では、その失敗の解決は無理と考えます。
首相をはじめ安倍政権の閣僚からは経済のファンダメンタルズは堅調という声が聞こえてきますが、本当にファンダメンタルズが何かをわかっているのか疑問になります。昨日も触れましたが実際、消費支出が大きくマイナスを記録し、GDPもマイナス、世論調査では現政権の経済政策への不信が増加しています。それで、経済のファンダメンタルズが堅調というのはかなりの無理がある言説でしょう。現実から乖離してそのように言うことは誰でもできます。
ただ、最近、首相の口からは賃上げのかけ声が消えたように思います。それは経済のファンダメンタルズが悪いと言うことをわかっているからでしょう。現状を打破するには、最低賃金を思い切って引き上げるとか、消費税を5%減税するとか、非正規労働についても昨年の改正前に戻すなどの施策をしないと不可能でしょう。もちろんそんなことをする勇気も能力も思考もないのは、当初から賃上げをかけ声だけしか行っていないことからも明らかでしょう。
成功は自分の手柄、失敗は他人のせいという政権の姿勢が非常に鮮明に見えます。しかし、それでは問題の解決は永遠に不可能でしょう。行くところまで行かないと正常化しないと言うことであろうと考えます。また、一方で一般において市場原理や自由競争と言うことに関しての幻想がなくならないと正常化はしないでしょう。もう既に市場原理や自由競争などについて検証し、認識を新たにすべきときになっているものと考えます。神の見えざる手は実はないのです。

「神の見えざる手??」(2016年3月2日)

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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