核心を突く | |
[日本の政治] | |
2016年3月31日 23時53分の記事 | |
先ほど、テレビ朝日『報道ステーション』で古館一郎さんが最後の挨拶をしていました。5分くらいの長さであったと思います。とても良いものでしたが、同番組のキャスターとしては12年間、仕事をされていたわけです。
12年前かと話を聞いていて考えれば、2004年、丁度、郵政民営化問題が政治の中心であった時期で、2005年には郵政解散・選挙が行われたときです。私が国民新党に入ったのは実質、郵政選挙が終わった後でしたので、2004年からこの選挙までの間の報道はチェックしていてません。ただ、当時を知る党の関係者は「朝日が郵政民営化に流れて一気に情勢が変わった」とよく言っていました。当時の報道ステーションもそんな論調の流れにあったのかもしれません。 その頃に比べたら古館さんの「論調」も昨今は大きく変わったのではないかと発言を聞いて思います。私だって国民新党に入った頃は“郵政民営化賛成”でした。ただ、あの党に入って本当にいろいろなことを勉強させていただいてものの見方が少しは出来るようになったと思います。とてもこのことに感謝をしていますが、この基礎がなければ今、バチカンについて書く事も出来なかったと思います。当時、世間一般においても経済に対して一辺倒な見方が多くあったのではないかと思います。そして、それが今の経済状況を招いているものと考えます。 古館さんの今日の最後のメッセージを見て、そんなことを考えました。最近の彼の発言はとてもキレがあり、本当に良いものがありましたが、最後のメッセージの中で言われた「キャスターは孤独」との彼の言葉に、彼が最近、この12年間で培い見いだした「真実」を率直に話していたことを見いだします。彼のメッセージには、社会全体の中でいかに自分の役割と責任を果たすかという迎合しない姿勢が見え、それはとても良いものと思いました。彼にはずっと続けて欲しかったのでとても残念です。 さて、話は変わりますが、ロイターがGPIFについて以下のように報道しています。 「〔マーケットアイ〕外為:ドル112円前半、GPIFの15年度運用実績は7月末に発表予定」(2016年3月31日 ロイター) この記事の中で、GPIFの運用について以下のように言われています。 市場では、通年より遅い運用実績の公開について「1―3月の運用実績が悪いことが予想されるので、選挙をにらんだ政治的な配慮があったのではないか」(国内銀)との声が出ていた。(2016年3月31日 ロイター) 実際、GPIFの運用実績が悪いことは多くの人が予想していますが、選挙と絡めてこのようにロイターが書いたのは大変な驚きです。普通なら書きづらいことを率直に書いたもので、まさに核心を突くものです。そして、この見方は当然、常識的なことと考えます。 安倍政権が率先して行ったGPIFの株式運用比率を上げたことは、今後、自民党のアキレス腱どころか、自民党を崩壊させるほどのインパクトをもつものと考えます。自ら死地に入り込んだと言えるものと考えます。時価会計で運用益がでるまでこの問題の責任は追求されますし、しかし、一方で世界の経済情勢は楽観視出来る状況ではありません。同時にその運用益がでるまでは、年金支給を減額するとは、政治的責任上、絶対に言えないというジレンマがあります。これらのことがこれから運用益がでるまで追求されるわけです。自民党がこれにどこまで耐えられるかという宿痾を自民党は抱え込んでしまったのです。年金支給を減らすことは、どんな理由をつけてもこれから大変な追求にあいます。 一方で、2月の実収入が前年同月比でマイナス2%以上と以下のようにレポートされています。 「家計調査(二人以上の世帯)平成28年(2016年)2月分速報 (平成28年3月29日公表)」(2016年3月29日 総務相統計局) この表だと2月の消費支出だけがプラスですが、これは今年が閏年で1日多いので、その分プラスになっている状況ですから、消費支出、実収入とも軒並みマイナスという惨憺たる状況です。いかに可処分所得が減っているか、そしてそのことが経済においていかに大きな問題であるかということを如実に示しています。もちろん、可処分所得が減っていると言うことは各家庭が大変に苦しんでいると言うことですし、この数字は低所得者層が本当に厳しい状況に直面していると言うことです。同時に中間層の崩壊が生じている状況ですので、子どもの貧困や保育所の問題が当然、深刻になる状況であるわけです。 これは明らかに構造的問題をつくり出した現政権の経済政策の失敗であり、それがGPIFや家計消費・実収入の昨年から続く減少に非常に明確に現われています。この状況は、新機軸を打ち出さなければ解決できませんし、そのためには新しい体制が必要であるのは何よりも明白なことであると考えます。 | |
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