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歴史と社会科学
[日本の政治]
2017年8月14日 23時56分の記事

ザ・フナイでの連載も早いもので24回目、丁度2年を経ました。拙論のような常識や固定観念を一切気にしないで書く考察は、思考の自由が確保されているザ・フナイでしか許容できないと思っていますが、それでもよく2年間も拙論を載せていただいたと思っています。同時に読者の皆様も辛抱強く見守っていただいたと思っています。心から感謝申し上げます。

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先日、9月発売の10月号の原稿を出したばかりなのです。色々と書きましたが、これまでの連載を読み返して2年前に書いたことが今もって有効であるのは、自分でも良く書けたなと思っています。拙論の場合、中長期のことが多いので、今後、このようなことは増えてくるのではないかと思っています。この視点では、2年前のことでも、実は今日のこと、むしろ未来のことと言えるのです。また、今月発売の9月号と来月発売の10月号では巻頭で鼎談の機会もいただきました。是非、ご覧ください。
しばらくブログをお休みしていましたが、また書き始めます。日刊ゲンダイでとても良い記事が載っていました。以下のものですが、この記事には宗教の本当の姿が書かれています。

「インド仏教界頂点の僧侶 佐々井秀嶺さんに日本はどう映る」(2017年8月14日 日刊ゲンダイ)

『ザ・フナイ2016年4月号』や拙著『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(2015年 ビジネス社)では宗教について書きました。ザ・フナイの拙論は生命論と宗教についてでしたが、宗教の本来の姿とは社会科学(自然科学)であり、政治(政)であると考えます。そして、その目指すところは救済であり、生命の維持です。生命とは個々人の生命と同時に社会というものも含みます。ただ、この生命としての社会というものは全体主義を指すものではありません。個々人の生命は独立しては生きられません。それは地球(ガイア)という生命系の中で生命が成り立つのと同時に、社会という生命系の中ではじめて成り立ちます。ただ、これは逆も真で個々人の生命が活性化して、社会という生命系は成り立ち、地球という生命系も成り立ちます。そういう個々人から地球に至る生命系の生命を救済し、維持し、守り、育むのが宗教であり、その視点を支えるのが社会科学と考えます。社会科学というよりそのような生命系や社会を分析する科学的な思考です。
上記記事には、インドにおいての虐げられ貧しい人々を、インド仏教代表の佐々井さんがいかに救済したかが載っています。その言葉は、まさに社会科学であり政治です。だからこそ、救済出来たわけです。そして、その手法はほぼ間違いなく仏教の経典には載っていないものでしょう。載っているのは手法に至るエッセンスであると考えます。
聖書でも同じです。今日のコンピュータ社会や環境問題が聖書に書かれているわけではありません。ポイントは、そのような聖典に答えが書かれていて、それをそのまま実行するのではなく、人間論、生命論のエッセンスを踏まえて、現実に問題を解決させて生命系を維持し、育むことです。現在を生きるものが考えることが何よりも要求されますし、この要素がなければ宗教は死ぬのです。
そういう社会科学的視点を持たせるのが歴史(学)です。社会科学も歴史学があって初めて成り立ちます。その歴史学がユダヤ・キリスト教では聖書であるわけです。ユダヤ教のタルムードはまさに思考の歴史書になっているわけです。
世界の三大宗教というのは、このような歴史を元にした社会科学なのです。

日本ではこのような宗教の視点が全くないのは本当に驚くと同時に、ここが日本の最大の陥穽でしょう。宗教というと個人の御利益になってしまいますし、同時に社会科学的な視点がないので歴史の感覚が社会にも宗教にもありません。したがって、何が社会のポイントで、何を大事にしなくてはいけないかという視点が欠落しています。だから、平気で過去にも良いものがあったから、昔が良いという復古主義がすぐに頭をもたげるわけです。そして、この思考には現在の否定が同時にあるわけです。今はよくないし、考えるなと。
歴史の趨勢において、何がポイントになり、どのような結末に至ったかが何よりも重要なことです。このことを常にポイントにおかなくてはなりません。個別のポイントを拾い上げて、一般論とするようなめちゃくちゃな思考(一時左翼もあったが)がこの復古主義にあるわけですが、明らかに社会を人を損する結果を招くだけでしょう。なぜなら結局、それは歴史に学んでいないからです。
国家神道などというのは、はっきり言って宗教ではなく、狂信思想です。いまだにそのことが理解できない人々がいることには心底、驚きます。なぜ、狂信思想かと言えば、それが人々や社会を救済するどころか、破滅させたからです。この一事をもって全てであるのです。宗教の本質から離れているのです。害になるだけなのです。
ただ、付言しますが、神道そのものは、私は否定はしません。神道というのは自然科学であって、社会科学的な宗教とは次元が違うものなのです。そういうことが理解されていない。しかし、だからこそ神道には仰々しい政治思想はないのです。根幹と言えるのは、平和を実現し、人々の安寧を実現することだけです。ただこの根幹があるだけです。
このことからも明らかなように、日本には元来、歴史学、社会科学的な視点や思考がないのが特徴ですが、多くの場合、それは陥穽となります。この陥穽を避けるためには、歴史学や社会科学の思考をしっかりと意識することです。そして、現状、右翼にはこの思考はありません。彼らの思考は、確実に日本を窮地に追い込むだけと考えますし、彼らの論の目的はそもそも利益追求と考えます。まだ左翼・リベラルの方が明らかに歴史学や社会科学の思考があるものと考えます。
上記記事にはその歴史学や社会科学の視点、宗教の本来の姿がはっきりと書かれているのです。

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○ 『餓死した英霊たち』

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先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

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◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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