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疑問なく当然の動き
[日本の政治]
2017年9月22日 18時17分の記事

フランスのスポーツ相が、平昌(ピョンチャン)オリンピックへのフランスの参加は、朝鮮半島情勢で安全が確保されない限り参加しないと表明しました。

「仏、北情勢悪化なら平昌五輪参加せず スポーツ相表明」(2017年9月22日 AFP)

「平昌オリンピック、北朝鮮の情勢次第でフランスは参加せずと表明」(2017年9月22日 ハフィントンポスト)

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約半年後のことですので、当然の措置でしょう。普通に朝鮮半島情勢の当事国でない国はこれからの1ヶ月で参加の可否を決めなくてはならないでしょう。そして、日本(安倍政権)も、国連総会で北朝鮮について、「対話する時期は終わった」「必要なのは対話ではない」と強硬姿勢を出席者がまばらな中で表明しているのですから、既に韓国へ渡航禁止、平昌オリンピックへの参加見送りの決定を政府主導で行うのは当然でしょう。日本は朝鮮半島情勢の当事国ですからフランスよりも遙か前にこのような決定をしなくてはなりません。ただ、実際は日本政府(安倍政権)の言っていることと実際があまりに矛盾だらけですし、普通に考えられる安全の感覚からするとあまりの“抜け作”ぶりに唖然とします。それとも日本政府(安倍政権)は、北朝鮮が攻撃しないこと、もしくは朝鮮半島情勢の結末を知っているのでしょうか?

普通に考えて見ましょう。朝鮮半島有事の場合、火砲で直接の平昌への攻撃は射程からして考えにくいですが、ソウルなどが攻撃されることは当然予想されるので、韓国全土は大混乱に陥ることは必至ですし、必然、選手団は帰国が難しくなるでしょう。これは最低限の攻撃の場合ですが、それ以上のことがあれば、当然、事態は選手団にとって一層絶望的に深刻化します。そのような場合、選手団を救援することは非常に難しいですし、当然、命の危険があり、命の保証はできません。
朝鮮半島有事の場合、選手団が徒歩か何かでなんとか平昌から釜山までたどり着いて、そこから日本への輸送と言うことは考えられますが、そのとき、日本も何もないという条件ではじめて可能になります。普通に考えて、朝鮮半島有事なら日本も当然、何らかのことがあり国内が大混乱しているのは十分予想できますから、朝鮮半島に渡った邦人を救出できるどうかは、はっきり言って未知数です。その可能性はどんなに高く見積もっても50%です。そこまでのリスクを選手に負わせるのは明らかに無責任ですし、今から平昌オリンピックへ参加は取りやめると安倍首相の国連総会の演説と共に表明するか、政府がそのように動くのは当然の動きです。しかし、日本政府はそう動いていませんし、また国内において平昌に選手団を派遣することになんら疑問がでないのは、明らかに矛盾しています。なぜ日本ではオリンピック委員会からこのような議論や動きがでないのか? またメディアや政府からでないのか? 非常に疑問に思います。Jアラートを弾道ミサイルらしきものが日本上空を通過しているときに鳴らし、避難を呼びかけるよりも、今から日本の平昌オリンピックへの不参加を表明することは、安倍首相の国連演説を見ればよほどの予防的措置であるのは明らかです。明らかに日本の朝鮮半島情勢に対する言動と実際にギャップがありすぎます。
外務省の海外安全情報を見ても、韓国は全くの安全地帯になっています。先日、安倍首相が熱烈歓迎されたインドの方が明らかに危険地帯になっています。

「東アジア地域海外安全情報」(外務省)

現状、20日に国連総会で行われた安倍首相の演説で、北朝鮮との対話をする意志がないと表明し、北朝鮮が反発、それに対して菅官房長官が明らかに国際社会への挑発行為で容認できないと述べたと以下の記事にあります。

「菅氏『明らかな挑発 断じて容認できぬ』」(2017年9月22日 FNN)

今やどちらが挑発しているのかと言える状況と考えます。このような状況で平昌オリンピックへの日本の不参加を表明せず、官房長官が「わが国としては、いかなる事態にも対応できるよう、国民の安全を守るため最善を尽くす」(同上)と言っているのですから、話になりません。政府としては失格でしょう。そして、そういう状況で国権の最高機関である衆議院を解散すると内閣が言っていると報道されているのですから、あまりにも滅茶苦茶なでしょう。全くの信じられない迷走です。本当に信じられない。

平昌オリンピックは、2011年、李明博元大統領の時に決まり、その李元大統領を引き継いだのが同じ党の朴槿恵元大統領です。今やこの勢力は韓国で野党ですが、この勢力が韓国において北朝鮮への強硬姿勢を日本の安倍首相と同じくしているわけです。しかし、平昌オリンピックを行うのなら、その前に北朝鮮との和平を実現させ、今からその和平に向けて動きを始めていなければ無責任というものでしょう。
昨日の本ブログ「韓国のとても良い動き」(2017年9月21日)で取り上げたように韓国の文在寅政権が北朝鮮への人道支援のような政策をして初めて平昌オリンピックの開催ということに矛盾のないものになります。実際、以下の記事のように北朝鮮との軍事的衝突を回避し、平昌オリンピックへの北朝鮮の参加実現に向けて意欲を示すのは、首尾一貫して矛盾がありません。大変に良い姿勢であると考えます。

「『北朝鮮の崩壊 望まない』韓国大統領が国連演説」(2017年9月22日 TBS)

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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