日本での報道とのギャップ | |
[日本の政治] | |
2017年9月29日 1時25分の記事 | |
韓国の新聞『ハギョレ』が以下のようにとても良い記事を出しています。 「米安保補佐官『精密打撃では北朝鮮核問題は解けない』」(2017年9月26日 ハギョレ)
この記事では、ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安全保障問題担当補佐官が「北朝鮮核問題を解くことのできる精密打撃は存在しない」(同上)と認め、「北朝鮮核問題を解くことのできる軍事封鎖も存在しない」(同上)と述べたと報じています。ハギョレが報じているマクマスター補佐官の認識は常識的なもので、なぜ、日本ではそれとは全く反対のことがこれまでまかり通ってきたのか、極めて不可解です。実際、このマクマスター補佐官の言葉は、知る限り日本では一切報じられていません。ハギョレはリベラル系ですが、この記事に書かれていることが偏向しているとは思いません。日本にとってはまずいから報道されないというのが本当と考えます。 記事にはスティーブン・バノン元アメリカ合衆国首席戦略官・大統領上級顧問の言葉が書かれています。バノン氏のことについてはザ・フナイ次号11月号で詳しく書きました。バノン氏は解任される直前、北朝鮮問題について「軍事的解決などない。忘れてしまえ。開戦30分でソウルの1000万人が通常兵器で死亡するという難題を一部でも解決しない限りは、意味不明だ」(2017年8月20日 ハフィントンポスト)と発言していますが、ハギョレはマクマスター補佐官が「すべての対北朝鮮軍事オプションが韓国を危険に直面させる北朝鮮の対応を招くことになる点を認めた」(2017年9月26日 ハギョレ)と報じています。これも常識的な認識で、マティス国防長官の言うように有事の場合、ソウルに何もないということの方が圧倒的に考えにくいものです。そして、常識的に考えて日本もこの範疇にはいるのは当然です。 明らかに軍事オプションだけに絞り対話を拒否する日本の安倍政権や先日のトランプ大統領の国連演説というのは、常識的に考えて大変なリスクがあるもので、当然、その他の方向性も考慮し、表明しなくてはならないわけです。しかし、本ブログ「明らかな憲法違反」(2017年9月23日)で取り上げたように、安倍首相は対話の時期、つまり外交の時期は終わったと国連で述べたわけです。そして、ここにハギョレがマクマスター補佐官の言葉として伝えているのは「交渉条件として『核施設査察・核兵器放棄宣言』提示」(同上)をしたというものです。これも知る限り日本では報じられていません。明らかに安倍首相の方向性とは違うものだから報道されないのでしょう。この提示された交渉条件の可能性がいかに低くても、報道されなければならないでしょう。 昨日、テレビ朝日のお昼の番組『ワイド!スクランブル』を見ていたら、司会の橋本大二郎さんとジャーナリストの末延吉正さんが北朝鮮問題についてやり取りしている場面がありました。午後1時38分頃です。 末延:解散を早めた理由の一つに、年を越すと北朝鮮のミサイルが完成するだろうという情報ですよね。その中で早めにやるしかないというのは、プラスの理由のひとつにはあったと思います。 橋本:そこはね、もし、もう少し、あの、誰から聞いて、総理が誰から聞いてどうかということは、もちろん言えないにしても、そういうことをきちんとなんか、おっしゃるなら、表明でおっしゃってほしいなと。北朝鮮についておっしゃったのは、外交力を強めるために、有権者のさらなる支持が得たい。で、それなのに、何十議席も失うことがわかりながら、それを理由にするのは、いささか。 この後、末延氏は、官邸を取材しているとそういう情報をアメリカとやり取りしていると言うことがわかるし、そういうことを表明すべきという主旨のことを述べています。 末延氏の発言は、上記のハギョレとの差が非常に鮮明です。明らかに偏っています。橋本さんのコメントはもっともなものでしょう。国連で対話の時期は終わり、外交の時期は終わったと述べて、日本では外交力を強めるために支持を得たいというのは、明らかに欺瞞です。国民を欺いています。 末延氏の発言をそのまま考えれば、取材で得た政府が発表していない軍事的情報を、数百万人が見ているテレビで言っているということです。これはこれで普通なら大きな問題でしょう。そういうことでなければ、上記のハギョレとの差を考えれば、明らかに与党寄りの扇動が目的と考えます。どちらにせよ、このようなジャーナリストを出演させてコメントさせること自体、到底、理解できることではありません。 日本はあくまでも平和を志向しなくてはなりません。 | |
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