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[日本の政治] | |
2017年10月22日 21時43分の記事 | |
日経平均が14日間続伸で、56年ぶりの記録達成、最長記録に並んだと報道されています。 「日経平均大引け、14日続伸 9円高、56年ぶりの連続上昇」(2017年10月20日 日本経済新聞)
神戸製鋼所や日産、商工中金などなど、その他様々な大企業の不祥事や凋落が報道されている中で、日経平均が上がり調子一本で1,100円も上がっていますから、なんとも不可思議なことです。それほど良い傾向が経済にあるのかと首をかしげる人もかなりいることと考えます。 10月2日から14営業日間続伸というと、9月28日に衆院解散となって、1営業日をおいて、その後、ずっと上がってきたと言うことです。まさにこの記録的な上がり調子と衆議院解散・総選挙がぴったり重なった形です。このことは動かし難い事実ですが、これが今後いかに考えられ、評価されるかは、今後の株価の推移と政治の状況によってはっきりと見えてくるでしょう。 さて、そのような不可思議なお金の流れがある中で、データ改ざん問題に揺れる神戸製鋼所の既発債が、19日に実施された日銀の社債買い入れオペで、買い入れられたとの見方が市場で広がっていると以下のように報道されています。 「焦点:日銀社債オペ、神鋼債買入の見方広がる 投資家救済の声も」(2017年10月19日 ロイター) 「神鋼リスク、日銀に移転? 社債買い取りか」(2017年10月19日 日本経済新聞) さもありなんという報道です。なぜ、社会を欺き、人の安全を無視する企業を救済する動きが生じるのか? この神戸製鋼所の問題は投資家にも当然、社会的な責任があるのではないか? 上述した選挙時の相場と併せてみると、やはり問題点がはっきりとしてきます。 海外においては、この神戸製鋼所の案件は非常に問題視されています。それは当然でしょう。そして、これからも問題はより拡大、深刻化していくという見方が一般的です。もちろん、それによって神戸製鋼所だけではなく、日本も信用を失います。 この神戸製鋼所に対する日銀などの動きや世界の眼差しの意味を考える上では、神戸製鋼所というものが一体、何なのかと言うことが明らかにポイントと考えます。 ご存じの通り、神戸製鋼所は安倍首相が在籍していた企業です。リテラでは以下のように、このことに関する記事が以下のように載っています。 「安倍首相もコネ入社時代に不正に関与? 国策企業・神戸製鋼と安倍首相のただならぬ関係」(2017年10月18日 リテラ) このリテラの記事はとても良いものです。まず記事では、安倍首相の選挙区、山口4区に神戸製鋼所の長府製造所があり、選挙区事情からのコネと政略ということが書かれています。長府製造所はアルミや銅などを扱っているところで、昭和13年に工場建設に着手し、翌14年に操業を開始しています。今回の神鋼問題において、この製造所に関しては以下のように報じられています。今回の不祥事の一つの中心でしょう。 「神戸製鋼・長府製造所で、管理職を含む従業員が不適合品を報告せず」(2017年10月20日 レスポンス、Carview) 「神戸製鋼、品質データの自主点検で社員が妨害行為 不正を報告せず」(2017年10月20日 日本経済新聞) さらにリテラでは、「神戸製鋼は安倍政権の軍拡、武器輸出・原発推進政策で甘い汁」、「安倍首相もコネ入社時代に不正に関与? 国策企業・神戸製鋼と安倍首相のただならぬ関係」とあります。この二つがこの神戸製鋼所問題の明らかな核心と考えますが、特に「神戸製鋼は安倍政権の軍拡、武器輸出・原発推進政策で甘い汁」が最大級のポイントでしょう。このことを考えるために神戸製鋼所の過去について考えてみましょう。 神戸製鋼所の過去がよくわかる記事が以下のようにあります。1935年(昭和10年)12月17日の満州日日新聞の記事です。 神戸製鋼分工場鞍山に設立 関係方面の諒解成る 神戸製鋼所の満洲進出は同社が軍需工場として特殊技能を有する所から注目されていたが、愈々鞍山昭和製鋼所構内二万坪に亘り分工場を創設することに決定、来年三月解氷を待って着工八月頃工事終了直に操業を開始することとし、田子神戸製鋼所顧問役は十六日来連、満鉄その他関係各方面の打合せを完了した、神戸製鋼所満洲工場は鋳造、鍛造、機械の三工場に分れ十五瓲平炉、電気炉を設備し鉄道用、艦船用、鉱山用その他の鋳鋼、鍛鋼製品、機械を製作するもので工場完成と同時に資本金を五百万円とし神戸製鋼所より分離する予定である、而して昭和製鋼所より原料銑並に鋼の供給を受くる鉄鋼工場は既に 鞍山鋼材、満洲ロール、満洲鋳鋼、住友鋼管、日満鋼管、満洲亜鉛鍍、久保田鉄工所分工場 の七社の設立を見たが、ここに神戸製鋼所を加え一大重工業地帯を現出した訳である(神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫より) 神戸製鋼所は当時、「軍需工場として特殊技能を有する所から注目」されて、「満鉄その他関係各方面の打合せを完了」して満州に工場を建設することになっています。それが戦前の1935年(昭和10年)ですが、上記リテラの記事と合せて考えれば、基本的に神戸製鋼所の性格は戦前から今もって全く変っていないことが言えます。 上記満州日日新聞の記事でもはっきりしていますが、神戸製鋼所は満州と深い繋がりがあります。そして、満州と言えば安倍首相の祖父・岸元首相です。岸元首相は、満州において「弐キ参スケ(東條英機〔関東軍参謀長〕、星野直樹〔国務院総務長官〕、鮎川義介〔満州重工業開発株式会社社長〕、岸信介〔総務庁次長〕、松岡洋右〔満鉄総裁〕)と呼ばれた満州の実力者の一人で、岸氏が満州を自らの作品とまで呼ぶほどに実質的な中心人物です。このことを含め岸氏の意味は本ブログ「この国のかたち」(2016年12月1日)で書きました。 また以下のリテラの記事も非常によく、この満州と岸氏の関係がよくわかります。 「安倍首相が心酔するおじいちゃん・岸信介の戦争犯罪! アヘン取引でブラックマネーを集め戦争を遂行」(2015年8月16日) 因みに、鮎川義介〔満州重工業開発株式会社社長〕は日産コンツェルンの創始者で、満鉄総裁であった松岡洋右は、日独伊三国同盟締結、国際連盟脱退で有名ですが、岸氏、佐藤栄作氏、そして安倍首相と縁戚関係にあります。そして、出身地は基本的に同じです。 松岡氏が総裁をしていた満鉄(南満州鉄道)に、明治期、エドワード・ヘンリー・ハリマンが経営参画をすることを阻止したことが、満州が世界から敵視されたという論調がありますが、実際は1932年の満州国建国後にフォード・モーターやゼネラルモーターズなどのアメリカ企業や、香港上海銀行(HSBC)などが同国内に支店を置いています。そして同国内において、フォードやGMの乗用車が実にシェアの半分を獲得しています。因みにヘンリー・フォードはナチスに多額の資金援助をして、勲章を授与されているのは有名な話です。 この満鉄に調査部というのがあります。この満鉄調査部は、単に鉄道会社の調査部ではなく、実質、満州国の政策立案を行うシンクタンクとして機能していました。この満鉄調査部は政治、経済、社会(文化)、産業、法律、地質調査などと満州とその周辺のありとあらゆることを調査しています。これらのことが、満州国の政策になっていくわけです。 その満鉄調査部の中に地質研究所というのがあり満州及びその周辺の鉱物資源などの資源調査をしています。実に戦前のこの時代から満州(中国東北部)とその周辺の資源について日本は把握しているのです。 そして、このことは今や非常に意味があります。 9月20日、安倍首相が国連総会で演説をしました。以下のリンクにそのときの発言が記載されています。 「首相『対話は無に帰した』 国連演説、8割は北朝鮮問題」(2017年9月21日 朝日新聞) この時の発言に「北朝鮮が勤勉な労働力や地下資源を活用すれば経済を飛躍的に伸ばし、民生を改善する道があり得る」(同上)とあります。北朝鮮の地下資源があることを知っているのは、当然、満鉄の過去の調査があるからです。日本はよくわかっているわけで、第二次世界大戦後には、北朝鮮の資源について日本が知るよしもありません。つまり、この時の発言は、過去の満州の歴史を知るものからすれば、また満州をやろうというメッセージに聞こえるはずです。果たして、中国、ロシア、アメリカはどう考えるでしょうか? 非常に危険なものと考えます。 安倍首相と神戸製鋼所の問題は、神戸製鋼所長府製造所が安倍首相の選挙区にあるからと言うことだけではないでしょう。もっと深い意味があるものと考えます。それは岸氏と満州を抜きにしては見ることができないでしょう。そして、今、日本の政治において私たちが観ているものは、戦前の満州に関わって起きていたことと実は同じなのです。それはいまだに戦前の構造が日本に色濃く残っているからです。ただその一点のみです。だからこそ、21世紀の今になっても戦前と同じことが起るのです。日銀が神戸製鋼所を救済するのも非常にわかりやすいことと考えます。 長府製造所の建設が始まった1938年(昭和13年)は、国家総動員法が公布・施行され、ナチス・ドイツがオーストリアを併合、またナチスがユダヤ人迫害を開始(水晶の夜)した年です。ヒットラーユーゲントも来日しています。この2年後、日独伊三国同盟を締結、日本は破滅へと突き進んでいくのです。 | |
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