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日本にその資格はあるのか??
[日本の政治]
2018年2月27日 5時59分の記事

昨日の本ブログ「日本にその資格はあるのか??」(2018年2月26日)の続きです。

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現在から3年くらい前だったと思いますが、ピョンチャン冬季大会は開催が難しいのではないかという話を耳にしたことがあります。その理由は財政難と準備の遅れで、日韓共同開催や日本での開催と言うことが言われていました。丁度2017年2月に札幌でアジア大会があるので、その施設が五輪用として使われるのではないかとすら言われていました。実際、この当時、以下のような記事が出ています。

「韓国・平昌五輪のスキー競技会場、準備遅れに不安の声=日韓共同開催もやむなしか―中国紙」(2015年12月18日 レコードチャイナ)

今回のピョンチャン冬期五輪で、会場や選手村の宿泊施設の不備はこの財政難が響いているのではないかと推測します。またメインスタジアムに屋根がなかったのも、もしかしたら財政難が関係しているかもしれませんが、20年の東京大会のメインスタジアムも7月一番暑い時に会場に屋根はあってもエアコンがないというとんでもない不備ですから、他人のことは言えないでしょう。しかし、どうしてエアコンを付けなかったのか、誰がその愚策を決定したのかは心から知りたいところです。
いずれにせよ、そのような財政難を乗り越えて、今回のピョンチャン大会は良いものに終わったと思います。そして、何よりも今回の大会が開かれなければ、この2018年2月というのは、間違いなく朝鮮半島情勢が大きく戦争の方向に動いたものと考えます。それも一度も対話の可能性が探られずにです。実際、安倍政権を筆頭に日米では、昨年から北朝鮮との対話はしないとはっきり言って強硬姿勢、戦争の可能性を言っているわけですから、今回のピョンチャン大会がなければ、ただただ情勢が悪くなるだけで、北朝鮮が何を考えているかということも目耳にすることなく時が過ぎていたことでしょう。

平和への動きは政治的ではなく、あたり前のこと
今回のピョンチャン大会が終わって、その総括として政治色が強かったという評価が日本のマス・メディアを埋め尽くしています。しかし、この評価には正直、首をかしげます。
実際、オリンピックは平和の祭典としての性格を持っているわけで、その期間中、融和、平和、対話の方向性がオリンピックにおいて出ることは何一つ問題は無いことと考えますし、むしろそうすべきなのがオリンピックというものと考えます。実際、IOCのトーマス・バッハ会長は大会における南北朝鮮の融和を認めているわけですし、今後、北朝鮮を訪問する意向も示しています。また閉会式では、北朝鮮の選手と肩を組み各国選手とともに写真におさまる場面もありました。日本のマス・メディアはこのようなことを政治的と言っているわけですが、はっきり言ってそれはかなりおかしなことでしょう。これを政治的というのなら2020年の東京大会を開く資格は日本にはないと考えます。
また、ピョンチャン冬期五輪大会の開会式前の2月9日に安倍首相が、韓国の文在寅大統領に五輪後の韓米軍事演習実施を要請しましたが、内政問題として文大統領に一蹴されています。その韓国側の反応は当然なのですが、その後、ピョンチャン冬期五輪大会期間中も、日本では与党自民党がこの韓国の姿勢を批判し、軍事演習実施の必要性を言っていることが公に報道されています。これは明らかに、2年後に大会を開く国の与党の行動としてはふさわしくなく、オリンピックの精神を汚すものではないかと考えます。韓国が当事者としてそのように決断しているのですから、尊重するのが筋というもので、2年後の大会を開く国としてはこのくらいの筋は守るべきだったでしょう。ただ、東京オリンピック招致に関わる不正疑惑に関係する人物がシンガポールで起訴されたと2月15日に報道されてからは、日本でのこのような声はぴったと止まっています。
実際、この不正疑惑に関しては中心となった広告代理店との関係で物証が日仏の共同取材で見つかったという報道が出始めています。かなり確度が高いと記事では書かれていますので、この東京オリンピック招致に関しての不正や膿はここで一度全て出すのが最も良いことと考えます。このような不正を放置しておくのは、何よりも日本国民のためになりませんし、オリンピックそのものが日本国民に害となることを放置することになります。このような膿がしっかりと出せば、日本国民の支持も得られると考えますので、大会まで2年という時期に一気に大なたを振り下ろし、宿痾は断ち切るべきでしょう。

「電通『東京五輪買収』の物証」(2018年3月号 FACTA)

いずれにせよ、日本のマス・メディアが一斉に言っているように平和、融和、対話への動きが政治的という評価は明らかにおかしいものです。このような動きは政治的ではなく当然のものです。この日本の感覚は明らかにおかしく、また明らかに危険なものです。平和、融和、対話がいけないものと言っているようなものです。
むしろ、今回のピョンチャン冬季大会を政治的なものにしたのは、日本の方だと考えます。上記の内政干渉問題もありますし、以下の産経の記事がそのことを如実に物語っています。記事で書かれているように韓国は何も言えなかったのではなく、何も言わなかっただけです。なぜなら、何か言えば、それこそ五輪の政治利用になるからです。むしろ、この記事のように北朝鮮に主張した日本はすごいという論調をはる日本こそが五輪のことを理解していないわけです。こういうものを見ると、本当に日本には、2年後、東京大会を開く資格がそもそもあるのかと心から疑問に思います。この記事は結構問題と考えますし、産経新聞と言えば、安倍首相と一心同体と言われていますから、今後、このような論調が2年後の大会において問題になるかもしれません。
ピョンチャンでのオリンピック・パラリンピック期間中の2週間から1ヶ月の間、対話、融和、平和の方向性が出るからといって何が北朝鮮の時間稼ぎになるかよくわかりません。軍事というのはそのような短期間で動くようなものではありません。いかにも難癖に近い論調ですが、それと同様に、以下のような産経の記事の論調も、何を言いたいのかはっきり言って良くわかりません。あまりにもバカ正直な論調ではないかと思います。子供っぽさすら感じます。

「北に主張した日本、何も言えない韓国 ソウル支局長・名村隆寛」(2018年2月26日 産経新聞)


そういう中で、スピードスケート500メートルの小平奈緒選手と韓国の李相花(イサンファ)選手との関係は、不毛になりつつあった日韓関係を救うものでしたし、これからの日韓関係、日本と朝鮮半島の関係の道標となるものと考えます。良いものをしっかりと見つめて、未来を築くことが何より大切と考えます。この二人の関係にはその美しさがあります。

「小平奈緒と李相花の友情物語、韓国でも熱視線『美しい』」(2018年2月19日 朝日新聞)

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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