言葉のトリック | |
[日本の政治] | |
2019年1月17日 0時1分の記事 | |
協調という言葉を使って、融和や平和をイメージさせ、その実、緊張や戦争へと導く言葉のトリックが日本の報道にはあるのではないでしょうか?
以下のトランプ大統領のNATO離脱意向の報道については本ブログ「戦前と何も変わっていない?」(2019年1月15日)で取り上げ、そのような発言がなぜ起るかという大方の理由は書きました。ただ、その本当の理由はこれまで何度もザ・フナイで書いてきましたので、詳細はそちらに譲ります。 「トランプ米大統領がNATO離脱意向=周囲に複数回漏らす―報道」(2019年1月15日 時事通信) この時事通信の記事において、NATO離脱の意向を漏らしたトランプ大統領について以下のように書かれています。 国際協調に背を向けるトランプ氏(同上) 「国際協調に背を向ける」と表現されていますが、先日、トランプ政権を離れたマティス前国防長官は、米軍シリア撤収に反対して辞任したときに、国際協調派という言葉で修飾されて、様々なメディアで報道されていました。 さて、この「国際協調」とは何を意味しているのか? 実は全く説明がないのです。米軍がシリアから撤収することやNATOから撤収することが国際協調に背を向けるということですが、そもそも中東や欧州から米軍が撤収の方向にあることは何年も前からその理由とともにザ・フナイで書いてきました。したがって、現状は当然の動きをしているわけで、このことは東アジアでの米軍のプレゼンスについても同じなのです。だから、朝鮮戦争の終焉の方向性が昨年から明示的になっているのです。 実はこの「国際協調」という言葉は、米ソ冷戦時代の米軍の世界展開、米国覇権に基づく米軍の世界展開を言っているわけで、米国が世界の警察官と言われた時代の世界観であり、まさに戦争の時代の世界観であるわけです。しかし、その米軍の世界展開、世界の警察官であることができない構造的ポイントがあって、その米国覇権時代は既に終わりを迎えているわけです(詳しくはザ・フナイで)。そして、それが何年も前から確認できる状況にあって、そのことはザ・フナイで書いてきました。 このようなことがあるから、昨年、トランプ大統領がイラクを電撃訪問をしたとき、米国は世界の警察官を続けられないと述べているわけです。 「トランプ氏、イラク電撃訪問 『米国は世界の警官続けられない』」(2018年12月27日 AFP) このような世界の情勢の変化がはっきりとある中で、米露協調を中心として、世界の新しい方向性、平和の方向性を築いてきたのがここ数年の世界情勢の実相であるわけです。これが本当の国際協調です。 しかし、上記の時事通信の記事のように「国際協調」という言葉の使い方をするのは、明らかに前時代的な米国覇権時代の構造の世界観、戦争の時代の世界観であって、実相はそれを残そうとしているからに他ならないと考えます。特に今の日本(安倍政権)ではそうでしょうが、実のところそのような世界観は既になくなっているのです。 このような前時代的、戦争の時代の「国際協調」の意味することは、シリアで内戦が続き、終わりなき戦争を続けることや、ウクライナがロシアを挑発したりすること、ロシアと緊張状態が生じること、北朝鮮と緊張状態が高まったりすること、朝鮮半島南北が分断され続けること、中国と緊張が高まったりすること、中東が不安定になること、イスラエルがシリアを攻撃したりすることなどです。他にももっとありますが、それらはすべて脅威をつくり出して「国際協調」という名の緊張状態、戦争状態を維持するためのものでしかありません。 国際協調という言葉が使われていると、平和や融和をイメージしますが、その本質は米国覇権時代の関係を維持して、緊張状態、戦争状態を温存するということなのです。これこそ言葉のトリックですが、そのような世界観と方向性を最後まで堅持している日本は、新しい世界秩序の準備が全くできていません。むしろ、今やその平和を基調とする新しい世界秩序の足を引っ張る存在となっているのです。このような認識がこれから世界的に生まれてくると考えますが、このことは大変なことです。このように日本がなる理由は上述の本ブログ「戦前と何も変わっていない?」(2019年1月15日)や本ブログ「戦前と何も変わっていない?」(2019年1月16日)で書きました。 | |
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