ご即位祝賀パレードは大変に素晴らしいものでございました | |
[日本の政治] | |
2019年11月11日 4時19分の記事 | |
昨日(11月10日)の天皇陛下のご即位祝賀パレード「祝賀御列の儀」は、快晴の中で行われ、大変に素晴らしいものでございました。
この祝賀パレードは10月22日に行われる予定でございましたが、台風などの豪雨災害での被災者の方々などをご考慮されて延期されました。その延期は大変に素晴らしいご決断であったと心から存じます。そのようなご決断が、この日の晴天の一つの要素ではなかったかと祝賀パレードを拝見していて存じました。ただ、そのような晴天であっても被災者の方々の生活の見通しが立ち、お心が完全に晴れるわけではないことは間違いないでしょう。政治、社会としてケアをしていく必要は間違いなくあるものと存じます。 さて、昨日のご即位祝賀パレードのテレビ番組を観ていて、一つとても気になったことがありました。天皇制が末永く続いていただきたいのでこのことは敢えて書きますが、それは「奉祝」という言葉です。ご即位に対して至る所で「奉祝」という言葉が使われ、祝意が示されています。それはとてもよいことなのかもしれませんが、やはりその言葉にとても違和感を感じます。というよりむしろ、私はその言葉は嫌いなのです。 奉祝とはお祝いを奉(たてまつる)るという意味です。下のものから上のものに差し上げるというのが、奉るという意味ですが、お祝いを奉ってよいのかとやはり思います。奉るには「上司に奉る」というように便宜上、高い地位にすえるとか、祭り上げるという意味もあり、これは形骸化や厄介払いという皮肉な意味にもなります。そして「奉祝」の奉にはそう言う意味があるように思えて仕方がないのです。 私は天皇陛下のご即位をお祝いし、そしてともによろこぶというのでよいのではないかと思いますし、それが日本人の心のありようではないかと心から思います。そうでないとやはり心が通い合わないと思ってしまいますし、心が通い合うことが何よりも大事なことなのです。心が相通じ、ともによろこぶ、それが苦楽をともにするということと私は思います。 だから、被災された方々をご配慮され祝賀パレードを延期なさるというお心になるのだと存じます。そのような心の通い合いが、日本をさらによいものにしていく礎・土台となると心から思います。 また、奉って、かしこまって恭順を示していて、実は一番心が遠いということは良くあることです。これが8月に放送された昭和天皇『拝謁記』での「下剋上」という言葉の意味だと考えます。昭和天皇は軍が勝手に動く様を「下剋上」と表現されていますが、それは以下の226事件に関しての箇所でも同じことと考えます。そして、この下剋上こそが戦前の日本の本質であったと考えますし、それは何よりも形骸化なのです。 昭和25年11月7日の拝謁で、昭和天皇は「青年将校ハ私をかつぐけれど私の真意を少しも尊重しないむしろありもせぬ事をいつて彼是(かれこれ)極端な説をなすものだ」と述べ、その翌月の拝謁(昭和25年12月26日)でも、「兎ニ角(とにかく)軍部のやる事はあの時分は眞ニ無茶で迚も(とても)あの時分の軍部の勢は誰でも止め得られなかつたと思ふ」と振り返ったと記されています。 「昭和天皇『拝謁記』 戦争への後悔 繰り返し戦争を回顧 後悔語る」(NHK) まさにこれが祭り上げる、奉るということでしょう。表向きもっとも天皇を奉ったのは軍部であって、その権威をもっとも利用して、権力を振りかざしたわけです。それが、統帥権や大本営であって、しかし、その実は昭和天皇の大御心を少しも尊重せずに、ありもしないことをいってかれこれ極端な説をなしたのが本当であったわけです。まったくひどいもので、間違いなく心が通い合ってはまったくいなかったのです。天皇陛下をもっとも担ぎ上げたものが、もっとも危険な存在であったわけです。 このことは今でも確認できる現象と考えますが、このような真の意味での不貞の輩に権威が利用されて国が、社会がめちゃくちゃになり、亡びたのが戦前の実相と考えます。当たり前ですが、それと同じことを二度と繰り返してはならないわけです。そして、この「奉祝」というその無意識に使われている言葉に、その危うい要素をどうしても感じてしまいます。だから、そのような言葉を使うことがとても嫌いなのです。 心が通い合い、ともによろこび、そしてともに歩むのが日本人の心のありようであると心から考えます。天皇陛下のご即位をお祝いし、ともによろこび、新しい時代をともに歩むということでよいとやはり心から考えます。 | |
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