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都市と田舎の問題 その2 日常と非日常の時代の変わり目で
[日本の政治]
2020年6月25日 22時5分の記事

昨日の本ブログ「都市と田舎の問題」(2020年6月24日)では、都市と田舎の問題を取り扱いましたが、今日はその続きです。


(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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昨日のブログで、私自身を「東京で生まれ育った」と表現しました。この表現は別に格好をつけているわけではないのです。意味することは、都会(東京)のいなかっぺということなのです。その意味は都会に日常があると言うことで、親がいて、子どもがいて、兄弟姉妹、友人、恋人、親戚がいて、学んだ学校があり、職場があると言うことなのです。
日常とは生きている場所と言うことです。この東京のいなかっぺで最たる場所は下町です。東京で生まれ育ったものからしても、下町は独特の変なところであるわけですが、日常の最たる場所なのです。下町はとても面白いところですが、大抵の場合、田舎(地方)の人は東京の下町に憧れは持ちません。憧れるとしたら大抵、港区、渋谷区、世田谷区などのはずです。それは下町には日常が溢れ、港区などには非日常が溢れているからです。田舎(地方)という日常から下町という日常に移動したいとは思わないのです。トリップするのなら非日常の世界である港区などであるわけです。
もし、「東京生まれ東京育ち」という表現が格好良いと思ったのなら、それは田舎モノの証拠で、東京に幻想を抱いているにすぎない存在であることを認識すべきです。そしてだからこそ、東京に来てはならない人でもあるのです。

レインボーブリッジを赤くライトアップする感覚
都知事の小池氏が行った新型コロナウイルスに対する東京都の施策は、レインボーブリッジを赤くライトアップしただけと言えるほどです。ステージ何とかとか、東京アラートなどと変なカタカナ語は言っていましたが、何か具体的な施策を積極的にしたという印象がとても薄く、結局、PCR検査もしっかりと行われているとは思えない状態はまったく改善されずに現在に至っています。
そう言う中で東京アラートといって都庁やレインボーブリッジを赤くライトアップしたわけですが、そんなものは東京に日常があるものからしたら、どうでも良いことなのです。実際、ほとんどの都民はその赤くライトアップされた非日常的な光景を直接見ることもできませんし、見たとしても感染を抑制するモノにならないのです。そして、そのライトアップの光景は日中ではなく夜だけなのです。本当に意味が無い。
都知事の小池氏の新型コロナウイルス防疫対策において都民の『日常』に働きかけるものは、ほとんど皆無であるわけです。以下の記事にあるように、昨日の会見でも、小池氏は新規確認感染者数が多く、職場での集団感染が発生したとは言っていますが、これまでと何も変わらず具体的な施策は何も言っていないわけです。
新型コロナウイルス対策として、医療崩壊にならないように医療体制は充実させたのか、医療用マスクや防護服などの備品の確保ができているのか、保健所の体制を整備したのか、PCR検査体制を構築したのか、通常医療を心配なく受けられるようにしっかりと対策をとったのかなど、感染状況が小康状態の今だからこそ、都がすべきことがしっかりとなされているということを、まったく一言も聞かないわけです(このことは国も同じです)。私からしたら、小池都政は都民の日常を守ることを何もやっていないに等しいわけで、それでいてすぐに法律の不備などに責任をなすりつけるということを繰り返しているようにしか見えません(このことは国も同じです)。
要するに小池氏にとって東京には日常がないのです。東京に根を張って生活している人間の感覚が小池氏にないのです。東京モノではないのです。東京がダメになったら自分もダメになるという感覚がそこには無いのです。レインボーブリッジを赤くライトアップするという感覚は、非日常を演出してるということに過ぎず、あの感覚は田舎の人が憧れる東京の感覚なのです。だから、小池氏は田舎モノそのもので、必然、都知事として何も具体的なことができないのは当たり前のことなのです。
都市を知らない無能モノ。そういうことが、あのバカみたいカタカナ語の使用にも端的に現われているわけです。小池氏のキーワードはあくまでも非日常性であり、それは言い換えるとバブルであり、幼児性なのです。しかし、そういう時代ももうすぐ確実に終わります。

「東京都、新型コロナウイルス新規感染55人を確認 小池知事『職場で集団感染が発生』」(2020年6月24日 ニューズウィーク)

因みに右翼というのは、実は非日常なのです。言ってみれば、壊れた日常から生み出される劣悪・醜悪な非日常(幻想)にすぎないのです。そして、その行き着く先は75年前と同じく『死と滅び』しかないのです。幻想だからそうなる必然なのです。そして、排他性はここから出てくるのです。実はこれは極左も同じなんですけどね。
今の右翼を裏で支えているのが、化粧品・サプリの企業と整形外科、ホテルという非日常性の典型であるのは、実は偶然ではなく、必然なのです。バブル(非日常性・幻想)を糧とするバブルの延長としての右翼であり、右翼のキーワードはまさしく非日常と消費(死、ナルシシズム、即物的な快楽)なのです。だから、それはいずれ確実に潰えるわけです。この本質が見えないものは次の時代をつくれないのは必然なのです。つまり次の時代のポイントは日常と生産(希望と喜び、生きるという快楽)、生命、繁栄にあるのです。

田舎の立て直しの第一歩は日常に眼を向けること
田舎(地方)の問題は、日常が壊れていることです。それは地方経済が衰退しているから日常が壊れているのではなく、日常が壊れているから経済が衰退しているのです。
それではなぜ日常が壊れてしまったのか? 私は田舎での生活がアメリカでしかないので、よくわかりませんが、恐らくその原因はテレビだと考えます。田舎の日常に、テレビを通じて都市(東京)の非日常がダイレクトにどんどん入ってきて、それが生活・社会の中心になったこと最大の原因と考えます。だから、必然、田舎の日常が壊れるのです。
テレビを通じて入ってくるものは、幻想としての非日常の東京であったりするわけですが、それが幻想と判断がつかないが故に、田舎(地方)の場合、東京よりも大きく日常が破壊されていくわけです。
そして、テレビによって日常が破壊された田舎(地方)は、必然的にその経済も社会も壊れていくわけです。そうなれば、壊れた田舎(地方)から、非日常性に洗脳された人々がどんどん東京を目指すのは必然なのです。でも、その壊れた田舎(地方)から東京に来た人々は、結局は小池的な非日常性しか持ち合わしておらず、実は東京の日常にプラスにはならないのです。
もちろん、テレビだけではなくネットにも同じ側面はもちろんああります。
だから、レベルの低い非日常を垂れ流すテレビ番組を馬鹿らしいと割り切って、テレビのスィッチをきって、日常と生産、生きると言うことに眼を向け、自ら取り組み始めたときから、田舎(地方)の再生がはじまるのです。これは東京も同じですが、地方の方が劇的に変わることでしょう。そうなったとき、東京の一極集中はなくなり、東京も住みよいところになるわけです。
そして、そのようになったとき、実はテレビもレベルの高いものになっていき、ハイクォリティの非日常を流すようになるわけです。そのハイクォリティの非日常を芸能と言うのです。今は芸能ではないのです。あれは単なるナルシシズムなのです。人を感動させないのです。人を別世界に連れて行かないのです。
そして、もう一つ田舎(地方)に必要なことは、自分たちにフィットした非日常の都市空間を周辺に作ることです。そして、その都市空間については、東京に訊くのではなく、自分たちに訊かなくてはならないのです。自分たちの内なる声に訊く。それができたとき、東京の人々も憧れる場所になるのです。まだ大阪はそんなレベルではないですね。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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