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集団免疫を行っていると考えられる小池都政?
[日本の政治]
2020年7月2日 23時50分の記事

経済に拘泥することが経済を破壊する――いい加減に理解しろ

昨日の本ブログ「集団免疫を行っていると考えられる小池都政?」(2020年7月1日)の続きです。

「トランプ氏、マスク着用を表明 批判に一転「大賛成」」(2020年7月2日 朝日新聞)

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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上記の朝日新聞の記事のように、トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染防止のためのマスク着用について「私は大賛成だ」(7月2日 朝日新聞)と述べて、これまでの態度を一転させています。マスク着用は当たり前の話しですが、どうしてここまで時間がかかったのかとやはりあきれます。
マスク着用に関して、米国では自由だ、権利だと言っていますが、とにかく人権の最たるものは生存なのです。そして、生存があっての自由なのです。マスク着用には、個人が感染予防のためにするということもありますが、着用によって他人への感染を防ぐという公衆衛生への個々人の配慮という側面もあります。
公衆衛生への個々人の『配慮』と言うよりは、本当は『義務』と考えます。自動車を運転して速度を自分が出したいだけ出すという自由はありません。それはサーキットの中だけで、公道では許されないわけです。また煽り運転のようなことをしても良い自由はないわけです。各人が好きなように速度を出したり、やりたい方題してしてしまえば、交通はまさに目茶苦茶になり、麻痺して、多くの人命が奪われていきます。そして経済も麻痺します。マスク着用についてもこれと同じなのです。
マスクはウザいですし、夏は暑く、熱中症の危険性もあります。しかし、マスク着用によって、新型コロナウイルスの感染拡大をかなりの程度抑えることができます。そして、そのことによって、感染症流行の問題がある中で、経済や社会活動をすべて止めることなく動かすことができるわけです。結局、このトランプ米大統領の方向転換も、マスクをつけないことが経済を圧迫しはじめ、社会を混乱させていることが最大の原因と考えます。まさに、米国で経済優先の集団免疫が破綻したということなのです。
以下のWorldometerの米国の新型コロナウイルス感染状況に関する統計で『Daily New Cases in the United States(米国での日々の新規確認感染者数)』を観ると、4月半ばから後半にかけて感染確認者数のピークを迎えて、その後、減少傾向になります。しかし、6月に入って急激に上昇して、現状まで状況はものすごい悪化しているわけです。このことは7日間の移動平均で観るとよくわかります(以下のイメージ参照。Worldometerより)。トランプ米大統領の態度の変化の背景には、間違いなくこのような状況があるのです。



Worldometer 新型コロナウイルス感染状況の統計 米国

なぜ、このような第二波のような現象が起きたかのか? その理由はとても簡単で、マスクをみな外したからです。米国で5月に何が起きたかと言えば、経済を優先せよとみんなマスクを外したわけです。以下の時事通信の記事は、この米国の動きをよく描いています。


 一方で、共和党の地盤である中西部や南部は、国際交流が薄い土地柄であるし、そもそも、人口密度が低く、感染のスピードが遅かった。
 半面、農業や製造業など中小規模の自営が多いことから、景気動向には極めて敏感でもある。
 トランプ大統領は、この地域の世論を意識する中で、4月10日ごろから「感染対策より経済」というメッセージを強く打ち出すようになった。

 ◆封鎖反対デモを称賛
 これに反応した「トランプ派」は、まず4月15日にミシガン州で、次いで全国で「社会を再オープンせよ」「ロックダウン反対」といったデモ活動を開始した。
 星条旗を振りかざし、中にはナチスや南部連邦の旗を掲げる文字通りの「トランプ派デモ」であり、参加者はマスクをすることもない。大統領は個人のツイートでこうした活動を称賛している。
 これを受けて、ジョージア州、テネシー州、サウスカロライナ州のいずれも共和党の知事たちは「小売業やサービス業の解禁」を含む「ロックダウン解除」を宣言するに至った。
 一方で、ニューヨーク州をはじめとする感染拡大地域の民主党知事たちは、経済危機には敏感であるものの、依然として「再オープン」には慎重だ。
 全国の医療従事者たちも、ジョージア州などの姿勢に強く反発している。
「危機の中、またまた国の分断をあおるトランプ米大統領【コメントライナー】」(2020年5月2日 時事通信)
 


上記のようにトランプ大統領が、景気動向敏感な人々を意識して「4月10日ごろから『感染対策より経済』というメッセージを強く打ち出すようになった」とあるように、経済を優先して、その動きの中にマスク着用を否定する同大統領の発言があったわけです。しかし、感染が爆発的に拡大して、マスクをつけると言い始めたわけで、それは経済を優先して、それが経済・社会に大きなマイナスになっていることを認めるしかなくなったと言うことでしかないのです。
このような経済優先を言って、感染拡大防止を放棄した論調は以下の記事でも確認できます。

「イーロン・マスクが『ロックダウン解除』要求、経済優先を支持」(2020年5月1日 フォーブス・ジャパン)

「米社会は経済再開へ、混乱回避の試行錯誤が続くニューヨーク」(2020年5月19日 ニューズウィーク・ジャパン)

これが5月の米国の経済優先、感染防止対策軽視の動きであり、必然、その後、現状に至るまでのものすごい感染拡大となっていくわけです。そして、これは、当然、第二波ではなく、米国が自分で経済を優先させて意識的に招いた感染爆発であるのです。近視眼的になって、自分でこけただけなのです。
では、この米国が経済優先で自分で招いた感染爆発はどのように判断されているのか? それが、以下の日本経済新聞の記事にあるように、この6月26日の時点で、米国の感染状況悪化と経済への悪影響ということになるわけです。当たり前です。


背景にあるのが、欧米における新型コロナの感染者数の急増だ。アセットマネジメントOneの小出晃三チーフエコノミストは「夏に再びロックダウンになりかねず、株価が織り込んだ景気回復時期が遅れるかもしれない」と懸念する。
日本の感染者数は相対的に落ち着いてはいるが、UBSウェルス・マネジメントの居林通ジャパン・エクイティ・リサーチヘッドは「日本は輸出経済の国。米国や中国で再感染が拡大すれば、海外投資家の日本景気への不安は高まる」と指摘。米中対立やトランプ米大統領の落選リスクなども警戒され、「再び2万円に接近するシナリオもありうる」と話す。
「日経平均2万円で『売る権利』、第2波警戒で取引急増 下値リスクに『保険』」(2020年6月26日 日本経済新聞)


米国で経済を優先すると言って自分たちでつくり出した感染爆発は、本当に笑ってしまいますが、経済が悪くなると評価されて、トランプ米大統領が方向転換をせざるを得なくなったというわけなのです。正直言えば、バカげた話しです。バカです、バカ。
こういう流れの中にマスクをつける、つけないのという話があるわけですが、経済を大切にするのならマスクをつければ良いわけです。つまり、トランプ米大統領の当初の主張である経済を優先して、マスクをはずせというものは、そもそもまったく矛盾に満ちたものであったわけです。本当にバカげた話しです。
また、上記の時事通信の記事にあった「星条旗を振りかざし、中にはナチスや南部連邦の旗を掲げる文字通りの『トランプ派デモ』であり、参加者はマスクをすることもない」(5月2日 時事通信)を観ると、どこの国にいっても右翼はバカの集団なのだとほとほと思います。
日本では、このようことに加え、新型コロナウイルスを風邪であると言ってみたり、メディアは感染者数を発表して過度に恐怖を煽っているとバカな右翼が言うわけです。米国も似たような論調があったと考えますし、だから、マスクをつけないという行動ができたのだと考えます。しかし、その結果、米国ではトンデモナイ感染拡大を招き、明らかに経済にマイナスに作用しているわけです。
現状、東京をはじめ感染が拡大しているのは、5月後半の緊急事態宣言解除後、明らかに事態を軽視してきた結果でしょう。実際、そのメカニズムは、米国と同じなのです。集団免疫。本当に右翼はバカ。バカなのです。
このような主張、感染対策よりは経済を優先し、マスクを外せというものは、言うまでもなく人命を軽視しているわけです。そのことが以下の記事のように、「テキサス州副知事『経済のためなら高齢者は犠牲に』」という言葉にもはっきりと現われているわけです。もちろん、経済優先のために命が軽視されているのは、高齢者だけではなくほとんどの人々であるわけです。経済優先、いい加減な感染症対策の中で働け、生きろというのですから、誰もが命を軽視されているのです。


共和党員のなかにはトランプ氏と同じ意見を持つ人もいるようだ。NBCニュース(電子版)の報道によると、テキサス州のダン・パトリック副知事(共和)はFOXニュースのトークショーに出演し、「我々70歳以上の人々は自分で自分の世話をし、国を犠牲にすることはしない」と発言。自分の命を新型コロナウイルスの危険にさらすことと「私たちの子供や孫のために愛するアメリカを維持する」ことのどちらかを選ぶなら、前者の危険を選ぶと述べた。
 もちろん、パトリック副知事の発言は、新型コロナウイルスで最も命が危険にさらされているのが高齢者であることを踏まえての発言だ。つまり、同副知事の発言は「アメリカの生活を守るためなら高齢者の命を犠牲にしてもいい」という意味であろう。
「人命より経済を優先? トランプ政権、復活祭までの経済再開をプッシュ」(2020年3月31日 NewSphere)


防疫失敗という行政の失策と近視眼的な経済優先を、愛国心を持ち出して、命の犠牲を強いることで肯定するという反吐がでるような発言です。人間として極めてレベルが低い。
この発言は3月になされたものですが、その後、280万人以上が感染し、13万人以上がなくなっているわけです。この犠牲者数は、ベトナム戦争での犠牲者の優に倍以上であるわけです。ベトナム戦争は、その後の米国社会を深く蝕みましたが、この新型コロナウイルスでの犠牲者の規模が、どれほど深刻なものかこの数字を観れば一目瞭然でしょう。

「米国の新型コロナ死者数、ベトナム戦争を上回る 過去の戦争との比較で見えてくる新型コロナの恐ろしさ」(2020年5月1日 ナショナルジオグラフィック)

本ブログ「この緊急時にこの政権の遅さは致命的?」(2020年4月16日)などで何度も生をあくまでも肯定し、生に焦点をあて、死を肯定ぜず、死に焦点を合わせるなと述べてきました。それは、政治が死を肯定し、死に焦点を合わせると、政治はどこまでも弛緩して、人が死ぬことを何とも思わなくなり、むしろ許容し、それを要求するようになるのです。その最たるものが戦中の一億総玉砕という言葉なのです。そんなことになれば、国がなくなってしまいますし、だからこそ、そのような主張に対して断固として終戦がはかられたわけです。
このテキサス州副知事の言葉を観れば、アメリカの政治が完全に失敗していることは明らかなのです。その後の経緯を観ても、実際、失敗しているわけです。そう言う中でのトランプ米大統領のマスクに関する発言の180度の転換なのです。
それに、本当なら、このようなテキサス州副知事の見解こそ人権と自由への侵害と最大級に糾弾されるべきことです。権利、自由は基本的に個人と権力との関係においてある概念です。その権力が、国民の命を犠牲にするのは良いというのなら、それはまさに最大の権利、自由への挑戦であり、侵害なのです。マスクの比ではないのです。呼吸をする権利以前に、呼吸することを権力が否定しているのですから、問題になって当然です。
実は、日本にもこのテキサス州副知事と同じ発言をしてる人物がいます。以下の橋下氏のものですが、政治・権力が死を肯定することをいっています。明らかに許されるものではないでしょう。この人物は集団免疫を言っていました。集団免疫を言う者は、共通のものとして、経済優先、人々の死を肯定する、感染症対策の軽視があると考えます。ただ、それはスウェーデンでも、アメリカでも完全に失敗しているのです。ブラジルでも。

「橋下徹氏、経済活動の再開を主張『政治家がある程度、死亡者が出るかもわからない…こういう事を覚悟して言えるかどうか』」(2020年4月21日 スポーツ報知)


ジョージ・フロイドさん事件は単なる人種差別問題ではない
米国において、5月、このような命の軽視、経済優先、マスクを外せといっている中で起きたのが、5月25日のジョージ・フロイドさん事件であるわけです。この事件に対する抗議運動が大きくなりいまだに続いているわけですが、この問題の背景には、間違いなく新型コロナウイルスで人の命を優先せずに経済を優先することへの巨大な反発があると考えます。だから、単なる人種問題ではないのです。
以下のコラムのように、白人でもこの運動に参加している人々がかなりいることがそのことを表しています。テレビでデモの報道を観ていても、多くの白人の人々がデモに参加してます。
今までも人種差別反対運動に多くの白人の人々が賛同して参加していますが、以下のコラムのように白人の人々の賛同と参加に焦点が当てられるのは、今回は特に白人の人々の参加傾向が強いからでしょう。やはり、このことが今回の人種差別反対運動の特徴としてあると考えます。

「白人はなぜ黒人デモを支持し始めたのか」(2020年6月21日 猪瀬聖さん)

そして、この運動の背景に新型コロナウイルスで人の命の優先せずに経済を優先することへの巨大な反発があるからこそ、以下の毎日新聞の記事のように、デモ参加者は感染防止対策を基本的にしっかりとしているわけです。当たり前です。因みにこの毎日新聞の記事はとても良い視点で書かれています。

「米黒人男性暴行死 コロナ再燃、デモと関連薄く 屋外でマスク着用、リスク低下か」(2020年6月30日 毎日新聞)

要するにジョージ・フロイドさん事件に関わるデモなどの行動は、人種問題以上に経済・社会問題が背景にあるのです。だからこそ、根深いのです。新型コロナウイルス問題があり、上記のような人の命を軽視する発言があったからこそ、ジョージ・フロイドさん事件に関わるデモなどの行動をさらに大きくした要因と考えます。
4月から5月にかけてのトランプ米大統領をはじめとする様々な判断ミスが、その後に極めて大きな経済・社会問題をつくり出しているのです。そして、その結果として上記のように経済に懸念が生じているのです。つまり、経済優先が、経済と社会を破壊しているということなのです。
そして、そのままその姿勢を温存すると大変なことになるので、必然、トランプ米大統領の変節が起きたということなのです。要するに経済優先(集団免疫)の敗北宣言ですが、この転換が中途半端なら、必然、今後も問題は温存され、状況はさらに悪化していくわけです。
昨日の本ブログ「集団免疫を行っていると考えられる小池都政?」(2020年7月1日)で以下のように書きました。


このような浅はかな施策の先には明らかに集団免疫というバカげた施策があると考えます。そして、このバカげた施策が、今後、極めて大きな形で経済の足を引っ張ると考えます。何度も申し上げますが、経済に拘泥すれば、経済を損ねる、経済を失うのです。社会を損ね、社会を失うのです。近視眼的な発想、自分のことしか考えない愚かな発想、人の命と健康を大切にしない発想、それらすべてが経済・社会を台無しにしていくのです。日本はこのような発想の最たるところにいると考えます。新しい時代の要諦は人の命と健康を何よりも大事にすることです。これからの時代のすべてはここからはじまります。そして、それができなければ終わります。


人の命と健康を何よりも大事にすることから、これからの時代のすべてははじまっていくのです。日本の感染状況が米国ほどではないのは、東アジアに共通する遺伝的・人種的な要因であって、それは日本にとって単に幸運ということでしかないのです。
以下の記事のように、米国での経済悪化を理由に経済優先をはかる論調が観られますが、その結果、上述のようにさらなる経済・社会の悪化を招いているわけです。このような論には、人の命と健康を何よりも大事にする発想はなく、単に経済悪化で人々が苦しむということを持ち出して、経済を優先させようとしているに過ぎないのです。だから、アメリカは失敗したのです。こういう議論は、要するに弱者救済を装った、弱者虐待で、そのことが経済社会を歪め、破壊するのです。

「アメリカの半分の州が、コロナよりも経済悪化を問題視し、規制を緩める」(2020年5月1日 CUBE MEDIA)

そもそも、経済と感染拡大防止を二者択一にすること自体に大きな問題があるのです。経済を大切にするのなら徹底した感染防止対策をしなくてはならないということがまったく理解できていないことに、そもそも大きな問題があるのです。
近視眼的で横着で、短絡的な利益追求がすべてをおかしくしているのです。その代表的なものが、上述のアメリカでの経済優先ですし、集団免疫であるのです。しかし、トランプ米大統領はその方向性を変え始めているわけです。
一方、まだそれを安倍政権と小池都政はしているのです。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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