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怖さがないのは野党だけなのか?
[日本の政治]
2020年9月13日 23時55分の記事

日刊スポーツの政治コラム・政界地獄耳は、数ある新聞などの政治コラムの中で、とてもクオリティーが高い部類にはいるものと評価します。政界での情報源もしっかりとしていますし、政治への眼差しが非常に良いので、私自身、政治への見方を補正したり、新たな切り口を考えるために、このコラムは毎日観ることにしています。

「緊張感が薄れるのは野党が怖くないから/政界地獄耳」(2020年9月12日 日刊スポーツ)

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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9月12日のコラムでは、政界において緊張感がなくなったのは野党が怖くなくなったからという自民党を支持する団体の幹部の声を載せて、論を展開しています。この政界地獄耳は3日ほどすると消されてしまうので、以下に全文を貼り付けておきます。


★自民党総裁選で都道府県連の票もまとまりつつある。ある自民党を支持する団体の幹部が総裁選について語る。「自民党の議員たちと同じで、党員たちも首相・安倍晋三以外はいないとこの間まで言っていた者もいるし、そのくせ今は官房長官・菅義偉しかいないと勝ち馬に乗ろうとしている者もいる。むやみに地方組織の声が大きい議員に引きずられている党員もいる。業界団体は当然、権力になびく団体や人もいる」。
★「私自身、長年家族で党員だし、頼まれれば議員のパーティー券も何枚か買って顔を出す。何度も閣僚経験者と一緒にゴルフを回ったこともある。ただ自民党なら何でもいいと思っているわけではない。全体の議員の劣化や言葉の軽さ、いささかのたかり体質、数え上げたらきりがないぐらい議員の質が低下している。それでも党員は、議員を育てていかねばならないと思っている。議員に何かを頼まれてぺこぺこしている者もいるだろうし、何か恩恵を受けている人もいるかもしれないが、多くの党員は最初はしがらみや付き合い、しかしそのうち議員のことがよく見えるようになる」。
★「そうなれば、あれは将来の首相候補、彼は…と人物評に花が咲くこともある。党員は議員のタニマチではない。それなりに吟味している。毎回、総裁になった人が完璧だなんて思ったこともないし、与野党の攻防も、そこは野党の言い分の方が納得できると思うこともある。世間はすぐマルかバツの評価ばかりするが、長く見ているとそんな簡単なものではないことがわかる。政治自体のレベルが低下しているだろうし、選挙制度の弊害や幹部がいばりすぎなど感じるところはいろいろあるが、実は野党が自民党を楽にさせている。緊張感が薄れるのは野党が怖くないからだ。政治や政治家はそうやって育つんだよ。君から、枝野に言っといてくれ」。(K)※敬称略

「緊張感が薄れるのは野党が怖くないから/政界地獄耳」(2020年9月12日 日刊スポーツ)


実際、立憲民主党の党首選を観ていてふと思うことは、候補者の両者の顔に迫力と深みがないことです。若さではなく、子どもっぽく見えてしまうのです。政界で広報を担ってきた者からすると、テレビに大写しにされる政治家の顔というのは、やはり正直なものなのです。テレビカメラの前に出たときと、そうでないときの顔というものが、まったく違うかというと、実はそのようなことはあまりないのです。まったく別人格になるという嫌な人間もたまにいますが、そういう人はあまり政治的に長生きできないように思います。
立憲民主党の党首選に出られたお二人の顔は、締まりがないというか、緊張感がない、そうどうしても思えてしまうのです。上記の政界地獄耳で言われているとおり、怖さがない、深みがない、緊張感がないとやはり思ってしまいます。いい人かもしれませんが、国を動かす人、人々に幸福を与える顔にはなっていません。そして、自民党を楽にさせてきた顔と言うことなのです。
政治家に顔に迫力があるというのは、国民のために身を挺して闘っているかいなかということと考えます。また、深みがあるというのは、国民への慈愛があるかいなかだろうと思います。そう言う意味で、立憲民主党の議員はまず顔作りからはじめないといけないのかもしれません。でも、一歩、その方向性に歩み始めれば、顔だけではなく、すべてが劇的に変わっていくことでしょう。自民党の政治家の顔もかなり劣化していますから。

果たして野党だけの問題か?
ただ、この政界地獄耳のコラムを読んでいてふと思ったことは、この野党についてのことは、そのまま大新聞やテレビなどのマスコミにもまったくあてはまると言うことです。果たして今のマスコミは批判精神をもって、しっかりと政治について報道しているのだろうかとやはり思います。内容は単なる大本営発表の垂れ流し、伝え方はテレビショッピングで商品を紹介するのと同じ程度です。考えさせられるものは皆無で、伝え方は豊富ですが、情報は一方的なのです。
上記の政界地獄耳のコラムでの『野党』というのを『マスコミ』と置き換えても、実はそのまま通じてしまいます。『実はマスコミが自民党を楽にさせている。緊張感が薄れるのはマスコミが怖くないからだ。政治や政治家はそうやって育つんだよ。君から、マスコミ諸氏に言っといてくれ』と、まったく通じてしまうのです。政治に緊張感がなく、自民党がやりたい放題なのは、マスコミの体たらくにも大きな問題があるのです。そして、そういうマスコミの存在は政治を育てず、スポイルさせるのです。
ただ、そうであるのに、この記事でそのように言わないのは、文字数の関係もあるでしょうが、まず書いている人がマスコミの人であることが上げられるでしょう。マスコミの世界が非常に内向きで、自浄作用がなくなっている証左と考えます。
次に挙げられるのは、自民党を支持する団体の幹部がマスコミのことを言わないからでしょう。それは、マスコミが本気になってジャーナリズム、批判精神を発揮して自民党について報じ始めたら、今のレベルの低い自民党では2年ともたないからでしょう。要するにこの政界地獄耳の筆者も自民党を支持する団体の幹部も、野党批判をしているが、自分の責任は棚上げしているとこのコラムを観て思ってしまうのです。
アベ政権時代に、国家権力という絶対権力に対して、マスコミがもつ影響力を行使して、マスメディアやジャーナリズムはしっかりとしたチェックを行ってきたでしょうか? そうしていれば、田崎スシローというまったく腐った存在がテレビにでてくることはまずなかったことでしょう。
アベ自民党政権というあまりにも長い政権で、その政権の権力と影響力が肥大化し、マスコミが圧迫されてきたことは間違いないことでしょう。ただ、これはアベ最長期政権だけではなく、戦後60年以上続いてきた自民党のほぼ一党独裁状態において、培われてきた政治とマスコミの癒着というものが土台としてあるのです。その上に最近の記者、マスコミ人は思考のかたさ、画一性・柔軟性の欠如、なおかつ気骨がなくすぐ保身に走る弱さが、自民党を楽にさせる存在としてのマスコミを生じさせているのです。
エリートやマスコミの人間の保身こそが、一番、その地位を危うくすることなのですが、そのことに気がつかない思慮の浅さがあるわけです。今やマスコミには、権力を批判し、権力の暴走を監視するより、権力とともに下々に対して君臨することを選んだ責任を放棄した歪んだ精神を見出します。一体、その歪んだ精神から脱却している媒体がどれだけあるかと思うほどです。
まず、戦後、60年以上政権の座にある自民党という存在を解消する必要が日本には間違いなくあります。すでにそういう時代になっているのです。これからの時代の第一に実現しなくてはならないことは、このことです。さらにあともう一つは、マスコミの健全さをつくり出すことです。マスコミの健全さをとりもどすのではなく、つくり出すことが大事なのです。取り戻すといっても、そのことを、かつてできた人が今のマスコミ人にいるのでしょうか? ベテランのマスコミ人である田崎スシローに、そもそもその健全さがあるとは到底思えません。アベ氏と考えが同じである田原総一朗氏が、マスコミの健全さをしっている人物ともやはり思えません。あとは子ども新聞の池上氏がそうなのか? 彼の説明はいつもわかりやすいのですが、体をはっているとは思えません。逃げているといつも思います。
だから、ジャーナリズム、マスメディアの健全さをとりもどすのではなく、つくり出していくしかないのです。その意味で、当然、今、表に出ている人々は次の時代を担う人々ではありません。まだ表に出ていない人々、アベ長期政権時代で表から引きずり落とされた人々が、次の時代を担う人と、これからは必然的になるのです。これが日本のすべきことです。
まずは報道の自由度の世界ランキングにおいて東アジアでトップになることを最低でもしなくてはなりません。今のままではいずれ日本は東アジアで馬鹿にされながら孤立し、落ちぶれていきます。実はすでにそうなっています。自民党とマスコミのせいで。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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