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8月15日だからこその苦言
[日本の政治]
2021年8月15日 23時50分の記事

以下の共同通信の記事では、特攻隊員に覚醒剤(ヒロポン)入りのチョコを配布していたことが書かれています。以前、元将官クラスだった人と飲んだとき、その方が『特攻隊員はみんな喜んで出撃していった』と述べていたのを聞いて、また同じことをするつもりなのだと思い、とてつもなく腹が立ちました。そして同時に、この国は必ずまた負けるなと率直に思いました。
言ってみれば、この記事の意味は、そういう『喜んで出撃していった』人々に覚醒剤を実は渡していたということなのです。

「これだけあった?特攻隊員に覚醒剤?外道の証拠 『チョコ包むの見た』証言から元教員が追跡」(2021年8月15日 共同通信)

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この記事で、以下の部分が非常に心に引っかかりました。このことは、上記の一緒に飲んだ人と重なることと考えます。


軍国主義教育で染め上げられた社会の中で、徹底的に粗末に扱われた若者の命と対照的に、上官や軍部の無責任さも浮かび上がる。「最後の一機で必ずおまえたちの後を追う」と部下を鼓舞しながら、敗戦となると「後始末も大事だ」と言葉を翻し、戦後を長く生きた上官らもいた。


この文を読んで、東条英機のことを思い出したました。東条は軍人に軍規を徹底させるために『生きて虜囚の辱めを受けず』という戦陣訓を示達しています。
この言葉の意味は、捕虜になることを拒否しろということですが、だからこそ、負け戦になったときに玉砕や集団自決となり、特攻のようなことにもなったわけです。それで民間人も含め莫大な数の日本人が命を落としているのです。
しかし、敗戦となり、1945年9月11日、GHQが東条逮捕のために東条宅に来たら、東条はピストルを胸に向けて発射、自殺未遂をはっかのです。
でも、命に別状はなく、明らかにポーズの自殺未遂。ピストルなら普通は頭に向けるものです。まさに小役人と言われた東条らしい迫真の『演技』ですが、そういう小器が首相などのついてはならないポジションについてしまった日本の悲劇が、日本の歴史に厳然としてあるのです。そして、このことは、今のスガ氏と一緒です。
話しを元に戻すと、東条がこのポーズとしての自殺未遂をして生きながらえたことを『昭和天皇をお守りするため=国体護持』と指摘する向きもあります。
しかし、国体は大丈夫とポツダム宣言受諾前に昭和天皇は、杉山・畑・永野の三元帥におっしゃっているので、東条もそのことはわかっていたでしょうし、だからこそ、東条が国体護持のために延命する必要はそもそもなかったのです。そして、実際、その後はそうなっています。
要するに東条も『敗戦となると「後始末も大事だ」』と死にきれなかったにすぎないのです。まったく恥ずかしい、情けないとも言えますが、しかし、私はこれが死を前にした普通の人間の感覚だと思います。
であるのに、彼らは下のものに対しては『生きて虜囚の辱めを受けず』と厳命して、玉砕や集団自決となり、特攻をさせた。そこに本当の問題点があるのです。
本ブログで良く取り上げてきた『日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 (新潮文庫)』(2014年 新潮社 NHKスペシャル取材班著 352−53頁)に、戦後、『回天』という人間魚雷・特攻兵器の搭乗員と上官の間でなされた会話の一場面が以下のように書かれています。


反省会で、軍令部の特攻への関与を厳しく指摘した鳥巣健之助元中佐は、軍令部の指示を、直接、現場の兵士たちに伝えてきたがゆえに、責任を感じていた。
元中佐が、戦後、回天の元搭乗員に詰め寄られる場面があったという。ある年の「回天烈士追悼式」後の懇親会の席でのことだ。証言したのは、その場に居合わせた大津島出身の元海軍兵士で「回天顕正会」会長を務める高松 巧氏である。
酒が進んできた頃、ある元搭乗員が突然立ち上がり、上座に座る鳥巣元中佐に怒鳴った。
「鳥巣さんよ、あんたが上座に座るもんじゃないんだよ。あんたはあれだけのことをやりやがって、一番下に座るのがお前の役だ」
「命令だったんだよ・・・・・・」
鳥巣元中佐は、そう答えるのが精一杯だったという。
彼ら組織の中堅幹部たちが、戦国抱えた苦悩を、高松氏は代弁する。
「軍令部の参謀なんか本当にくそ食らえと私は言うんですが、ああいう奴らは戦時中ひどいことをやりながら、自分は戦後関係ないけれど、実践におった隊長とか参謀とかは非常に苦しみながら、戦後も死ぬまで担いだと思います」

特攻兵器を作り出した技術者達もまた、責任を感じ続けていた。


軍令部とは海軍のトップのことですが、そのトップが戦後、自分は関係ないといったと言うことです。
特攻に散った方々の心は純真だったと思います。そして、その命は間違いなく崇高なものです。しかし、だからこそ、その命はこのような形で国や社会によって消費されるべきものではなかったと考えます。
生きて生きて人生を輝かせ、社会を輝かす存在にならなければならなかったと考えます。そして、そうさせるのが政治の役割です。
しかし、それができなかったこの時代は、政治がやはり大きく間違っていたのです。それだけが最も重い事実です。
上記をみれば、結局は戦前において兵士の命が上官や国に消費されているではないですか。そう言う声をそこかしこでみることができます。無論、そこに美談なんぞはそもそもないのです。
そして、兵士の命が上官に消費されているのと同じものを、冒頭で紹介した一緒に飲んだ元将官クラスの人の言葉に、私は見いだすのです。
一事が万事。こういう感覚がある国は、経済においても、外交においても、何にしても絶対に強くなりません。その理由は簡単で、人を生かし、活かすことができないからです。
人を生かし、活かすことができなければ、社会において何も生まれてきませんから、強くならないのです。今の日本の社会はまさにこのようになっていると考えます。そもそも、ヒロポンを渡して特攻を行わせた日本は勝ちましたか?
人の命はすべて平等です。たとえ上官であっても兵士であっても、その生命は平等なのです。それが崩れると社会が必ず崩壊するのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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