第二部 10話【ビッグ・ドッグ】 | |
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第二部)] | |
2012年9月1日 7時32分の記事 | |
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ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第二部 10話【ビッグ・ドッグ】 UPしました是非読んでください(^▽^)ノ 今回のお知らせイラストは 【ヨークシャテリア】です。
☆【第0部】【1P】 ☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】 ハラベエさんの犬星☆猫星 第二部 10話【ビッグ・ドッグ】 ショウちゃんの真意を、はかりかねるハラベエさんでした。 現在、地球上でリアルタイムに進行している、人類間の大小のもめ事を、口を極めて罵るかと思えば、「ビッグ・ドッグ」を初めとするこの宇宙での功績を、くすぐったいほどに褒めそやす、それも切り替えが瞬時ですので、その落差に付いていけないのです。 いつものショウちゃんとは異なり、感情をむき出しにするのを見て……これだ、これがいつか言っていたっけ、人類と犬猫類しか持ち合わせていない感受性ってやつだな、などと別なところで感心していました。 『私如きが、声を荒げて地球をあしざまに罵ってすいません……日頃から気にしていたんですが、今回が最期と言うことでつい……』 (?……さいご?) 『はい、間もなく次なる任地の星に向かって出発します』 (なんだって?) 『もっと早く申し上げるべきだったと思いますが……私……は……』 ショウちゃんのいつもの冷静さは影を潜め、語尾に湿っぽささえ感じられます……ハラベエさんの喉元にこみ上げてくるものがあります。 (クウ!……?……ショウ……ちゃん) 『はい』 二人は見つめあい、手を取り合いました。 会話はありませんでしたが、お互い言わんとするところは通じているようです……二人は友情でしっかり結ばれていました。 短い間のことでした。 同じ町内で暮らし、時々見かける程度のお付き合いだったショウちゃんが、今やハラベエさんにとって、掛け替えのない指南役として、信頼を寄せられて、、います。 そんなショウちゃんに話したいこと、聴きたいことがまだまだ沢山あって、ハラベエさんは焦りにも似た感情におそわれます。 (あの……僕……もっと) 『あなたに話しておきたいこと、教えてあげた方がいいこと、まだまだありますが、あなたはもう、私の助けが無くても十分状況判断が可能だと……』 (……ではありません、僕にはまだあなたの助けが……) 『いりません!』 と、鋭い語気で、ショウちゃんは応えます。 『私たちは大きな期待をあなたに寄せています、これからの地球を支えていく優れた人材だと』 (まさか、買いかぶりです) 『そう思いますか』 (はい) 『それは、失礼です』 (え?……) 『「ビッグ・ドッグ」の判断に疑義を差し挟むことのなりませんか』 (あ、すいません) 『謝るには及びません……みんな織り込み済みですから』 (私の反応など統べた想定内なんですね) 『そうです、因みに……あなたと私、遠く離れても意志は通じることになってます』 (ありがたい……ところで、「ビッグ・ドッグ」のお力で、小さな星なのに、紛争の絶え間がないこの地球を救済していただく訳には……) 『いきません……さっきも言いましたが、その肝心要の「ビッグ・ドッグ」のお膝元、地球の星政はがたがた、狭い地球にひしめき合い諍い争う有様は、地球最後の日が近い兆しと言えます』 (だからこそ「ビッグ・ドッグ」のお力で地球の救済を……) 『救済どころか消滅も考えられました、しかし、悪い見本でも、その成長過程の観察は、例え想定内のことであっても必要です……そこで、ほっといたらどうなるかという研究課題で、早よいうたら見捨てられてるのが……』 (地球という訳?……) 『そうです……しかし我々は地球を見捨てません、あくまでも地球を暖かく見守り続けるのが、犬星猫星の使命と心得ているからです』 という、ショウちゃんの言葉に、ふと悲壮感が漂ってるのを感じました。 (ショウちゃん、もう行くんですか?) 『判りますか……間もなく新しい任地に向かって出発します』 唐突なショウちゃんの、冷静さを装った言葉が、むしろハラベエさんの胸の内を激しく波立てます。 大事な存在であるショウちゃんの、突然聴かされた異動です。 心許ないやるせなさに襲われるハラベエさん。 そんな胸中を察したのか、ショウちゃんの声が。 『ご心配なく、新しい解説者がつきますから』 (新しい解説者?) 『はい』 (誰?……しりあいですか?) 『ようくご存知ですよ』 (そうですか、どなたなんです?) 『それはお会いになってのお楽しみです……では、これで』 声が途切れたときには、もう姿はありません……ショウちゃんらしい別れでした。 ショウちゃんとの別れはあっけなく、涙する暇もなく、ハラベエさんの意識は、新しい解説者との出逢いにに集中します。 しかしその機会は暫く、時を置くことになります。 半年ほど、皆目お呼びがかからなかった商業演劇から、珍しく仕事が舞い込んだからです。 ある演劇鑑賞団体の要請で、地方の都市の市民会館を会場に芝居の興行をして廻る巡業です。 演目は、過去何回か同様の公演で上演していますから、稽古も短期間で済みますし、公演日もとびとびに四カ所で、ハラベエさんが拘束されるのは半月ほどです。 座長は、大衆演劇出身の竜小太郎君で、竜小太郎Wikipedia→ ゲストが何人かと若手数名の小世帯……ハラベエさんが作・演出の爆笑時代劇と舞踊ショウの二本立ての舞台は、評判上々で,ここのところ数年にわたって実施されていた巡業でした。 ハラベエさんにとって、巡業といえば「ミヤコ蝶々特別公演」でした。ミヤコ蝶々記念館→ 日本の演劇界が地方公演で、大いに盛り上がった一時期がありました・ 歌手芝居がピークの状態で、舞台公演を専らとする俳優さんの劇団と併せて、東奔西走するいくつかの劇団の専用バスが、日本各地ですれ違っていたと言っても過言ではないでしょう。 蝶々さんの公演で特筆すべきは,『母桜』です。 『母桜』は、最終的には,大阪・名古屋・京都での、三ヶ月にわたる劇場公演と合わせて約三百回の上演回数を誇っています。 移動用のバスにも「全国縦断・三百回公演」と、麗々しく大書していたものです。 複数の車両で走る観光バスが、「?号車」の数字の大きい順に走行して、対向車に残りに台数を示すのを真似て、先頭を走る座長用のバスに……(専用の自家用車が伴走していたが、同行の息の合ったスタッフとわいわい言いながらの旅を楽しむ蝶々さんは、バスをよく利用していました)……「8号車」と掲げていました……因みにスタッフ用のバス、機材運搬用のトラック、伴走の車と続く最後尾の「一号車」は、買い物と遊び専用のママチャリでした。 キャスト・スタッフの別なく、全員、お仕着せのジャンパー……男性は黒女性は赤……を着用しての巡業は、意気揚々たる勢いがありました。 一ヶ月を超えるバスの旅は、結構しんどいものでしたが、興行は、いずれも大入り満員の盛況で、疲れを口にするさえ、憚かるような状態でした。 →ハラベエさん徒然草ヘ〜 ☆【第0部】【1P】 ☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】 ランキング参加中 ポチっとお願いします〜(*´д`*)ノ くる天 人気ブログランキング フルーツメール | |
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