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ホロコーストに関するネタニヤフ首相の発言の背景にある事情
2015年10月27日 23時3分の記事
 
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のホロコーストに関する発言が世界的に物議を醸し、批判されています。
10月20日にエルサレムで開かれた「世界シオニスト会議」で、ネタニヤフ首相は、ヒトラーは、当初、ユダヤ人を欧州から「追放」するという考えであったので、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)は、もともとはヒトラーの考えではなく、当時のイスラム教の宗教指導者・大ムフティーだったパレスチナ人が、ヒトラーに進言したため生じたと発言しました。
この発言に対して、イスラエル内外で批判が生じており、イスラエルの歴史家からも「ヒトラーと宗教指導者が会談する前からユダヤ人の虐殺は始まっていた」(2015年10月22日 NHK)と発言は事実を歪曲していると指摘されており、イスラエルの野党でも批判が生じています。国連も激しく批判しており「全くの論外」(同前)と切り捨てています。以下リンクのCNNでも論調の批判的トーンは高いものになっています。
この発言は「歴書の歪曲」や「歴史を歪める発言」という表現で批判されていますが、悪しき歴史修正主義と言えるものです。このような発言は、世界に無用な対立を生じさせ、憎悪を激化させ、大きな混乱を招きます。ホロコーストが強い憎悪をベースにした蛮行とするなら、このネタニヤフ首相の発言の背景もまた同じものではないでしょうか。

ネタニヤフ首相「パレスチナ人がホロコースト進言」(2015年10月22日 NHK)

Israeli PM Benjamin Netanyahu criticized for saying Holocaust was mufti's idea, not Hitler's(2015年10月22日 CNN/「ベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相のホロコーストはヒトラーの考えではなく大ムフティー(イスラム法学者)のものとする発言に批判」【筆者訳】)

ネタニヤフ首相は、発言の翌日の21日、ベルリンを訪問しメルケル独首相と会談しています。この会談の後の共同記者会見で、イスラエルの新聞「ハアレツ」の記者が、このネタニヤフ首相の発言に対するドイツのメルケル首相の見解について質問をし、メルケル首相は「私たちは、自らの歴史観を変えるいかなる理由も存在しない。私たちはドイツ国家として、ホロコーストに対する責任を全うする」(2015年10月23日 The Huffington Post)と述べています。 メルケル首相の発言は非常に良いものです。
ネタニヤフ首相がこのような発言をするのは、明らかに現在衝突が散発するパレスチナ問題が背景にあります。そして、同時にドイツ訪問をする前日にナチスドイツ時代のホロコーストについて発言することには、明らかにドイツというファクターがそこにあります。またホロコーストについては、この70年もの間、ずっと問題として取り扱われているにもかかわらず、この種の発言を今、するということの最大のポイントは、実は歴史ではなく“現在”にあります。それでは、“なぜ今なのか”ということでですが、その背景は以下のようになります。
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片桐勇治(政治評論家) さん
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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