そもそも道徳観がない | |
[日本の政治] | |
2017年2月24日 23時54分の記事 | |
安倍首相夫人が、現在、大きな問題になっている森友学園の名誉校長を辞任したと報じられています。 「森友学園:『妻、名誉校長辞任』 首相、寄付金集め抗議も」(2017年2月24日 毎日新聞)
安倍晋三記念小学校という名目で寄付金を募ることを知って、首相は憤慨し、再三断り、抗議し、そのような形で名前が使われたのは遺憾と述べています。この言葉をそのまま信じれば、この募金でいくらお金が集まったのかはわかりませんが、実際にお金が集まっているのなら、明らかに詐欺行為でしょう。普通に事件です。なぜ、現状まで法律的な動きがこの件に対して首相側からそもそもなかったのか非常に疑問です。 また、お金が集まっていなくとも、未遂(法律的に問題がある)の状況ですが、そこで、この学園側への評価は少なくとも確定するはずです。人物評価と善悪の判断が当然、あるはずで、関係がそこで終わるのが普通です。普通に見てかなり悪質なケースなのです。 首相側の説明を聞いていると、この首相側の発言には時間軸がないように思います。したがって、前後関係をしっかりが明らかにする必要があります。 一方、首相夫人は名誉校長を辞任したと言うことですから、明らかに就任をしていたわけです。その就任の経緯は首相夫人がいきなりスピーチをする直前に言われ、そのスピーチではそのような肩書きで紹介され、その後、何度も何度も『断った』が、名誉校長に『就任し』、ずるずると現状の辞任までそのポストであり続けていたわけです。 上記の寄附金募集が明らかになったとき、この学園とは普通なら関係を止めるはずです。首相は非常に憤慨していたわけです。しかし、首相夫人は、この学園と現在からほんの少し前まで関係があったわけです。名誉校長にむりやりさせられた経緯があるのにです。しかし、以下のような言葉が首相から国会の答弁で出ています。 しかも、17日の答弁で安倍首相は、籠池理事長について「いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね」「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と言明。昭恵夫人も前述講演会で「こちら(森友学園)の教育方針はたいへん主人も素晴らしいというふうに思っていて」と話すなど、夫婦そろって籠池理事長の教育を肯定的に語っていたのだが、きょうの答弁では手のひらを返すように、こう言い放ったのだ。 (2017年2月24日 リテラ) 以下は産経新聞の2015年1月8日の記事では、森友学園が運営する塚本幼稚園に首相夫人が感涙したということが書かれています。この記事には、ご丁寧に今回問題となった小学校のことも書いてあり、非常に力を入れて記事が書かれていることがわかります。この記事、もしかしたら他の媒体は知るよしもない産経新聞の『スクープ記事』かもしれません。また、ここで使われている論法も私たちは被害者というものと考えます。いずれにせよ、2015年というのはこの森友学園の件においては非常にポイントの年であるのは明らかです。 「安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える“愛国”幼稚園 『卒園後、子供たちが潰される』と小学校も運営へ」(2015年1月8日 産経新聞) いずれにせよ、なぜ、首相側と森友学園の関係についてこのような首相側の発言と実態に矛盾が起こるのか、やはり不思議です。 普通なら、名誉校長就任の経緯が非常に卑怯な手を使われているのですから、当然、そこで判断ができます。実際、首相夫人は辞任していますし、随分と卑怯なやり口で名誉校長にさせられたと述べているわけです。その場でなくても早期に就任は辞退し、関係を断ち切るのが普通です。辻褄があっていません。そして、そもそも寄附金募集時に大きな問題があることは既にわかっているのですから、そうするのは必然です。 しかし、それが出来なかったのはなぜなのか、ここに非常に大きな疑問が持ち上がります。この件の最大のポイントがあるでしょう。弱みでも握られているのか、それとも同じ穴の狢なのかはわかりませんが、首相側の説明は非常に不自然なのです。今になって辞任できるのなら、はるか以前に辞任は出来ていたはずです。首相夫人なのですから。そして、ここに来ての辞任が意味することは、明らかに森友学園について公で指摘された問題性を認めたということと考えます。今まで辞任することがなかったのですから当然、そう考えるのが自然です。通常、このような場合、トカゲのしっぽ切り、自分たちは被害者という立場への転換と考えるのが自然ですが、これは上記のように関係が不思議と『深い』ということの逆の表れと考えます。 このような件が、大物政治家、一国の首相ともあろうお方が関わりがあるということは非常に信じられないものです。なぜなら、首相側の説明では、善悪の判断、人物評定もそうですが、それ以上に、何かを無理矢理言われると断れない一国の首相の姿がそこにあるからです。それが例え理不尽であってもということになります。普通であればあり得ないお話しですし、これは非常にこわいものです。無理矢理言われると断れないというのでは、そもそも国民の命は到底守れないでしょう。国益を簡単に打ってしまう可能性もあります。首相側の説明は、自ら『私は首相としての地位にふさわしい人物ではない』と、言っているということに等しいものです。ただ、これは、そう思われてもしかたがないと何かを天秤にかけて考えた結果なのかもしれません。しかし、今後、そういうわけにはいかない気がします。 普通、政治家は、見知らぬ人が調子の良いことを言って近づいてきても、相手をできる限り調べます。この森友学園のように妻が名誉校長になるということならなおさらです。そのような要望をする相手ならきちんと調べます。どこに落とし穴があるかわからないですから、そうするのが普通ですし、政治家でなくとも誰でもそうするでしょう。ただ、今回の場合、普通の政治家ではなく、一国の首相になるような方なら、当然、そのようなステップは踏みます。マスコミ幹部と会食を繰り返し、しっかりと世論対策をしていると批判されるようなお方ですから、当然、用心深さをお持ちだと考えます。 しかし、それでも、素性がわからなかったということはあるかもしれませんが、首相側の説明を見ても、上記のようにこの学園側と関係を断ち切るチャンスはいくらでもあります。しかし、関係は断ち切っていませんでした。むしろ、上記のようにこの学園を肯定的に評価する言葉まで、最近、首相は国会で発言しています。 このようになるのは脇が甘いからではなく、相手を信用していたからと考えるのが普通です。本人との関係でなくとも、そこに断れない第三者がいる可能性もあります。ただ、いずれにせよ、首相側が森友学園に対して、安倍晋三記念小学校や名誉校長就任について何度も断わり、憤慨し、卑怯なやり口をされたという主張とは裏腹に、これまでの関係の経緯が示すものは、この学園理事長をはじめとする学園側を首相側は信用しているということです。主張と実態が非常に不自然と考えますが、この不自然さが一つのポイントでしょう。森友学園について今回の首相側の説明は、首相側と森友学園との関係が不自然に深いことを自ら言ってしまっています。その深さには何があるのか、当然、誰もが疑問に思うポイントなのです。 「そもそも道徳観がない?」(2017年2月25日)へ続く。 | |
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